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亡くなった人の口座はいつ凍結される?解除までの流れ

亡くなった人の口座はいつ凍結される?解除までの流れ

親のゆうちょ銀行の通帳を持って郵便局へ行き、死亡を伝えた日から、その口座のお金は動かせなくなります。

市区町村に死亡届を出しても、その情報が金融機関へ自動で伝わる仕組みはありません。

口座が止まるのは、相続人の連絡などで金融機関が名義人の死亡を把握した時点です。

止まるのは出金だけではありません。

年金や家賃の入金、公共料金やカードの引き落とし、貸金庫を開けることまで一緒に止まります。

しかも「凍結解除」という単独の手続きはなく、相続の手続きを終えて払い出すか、口座を引き継ぐかのどちらかになります。

本記事では、口座が凍結されるタイミング・ゆうちょ銀行で用意する書類と取り寄せ先・相続放棄の3か月と預金に手を付ける順番を解説します。

ゆうちょ銀行の口座が凍結されるのは、死亡届の提出日ではない

死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡地・本籍地・届出人の所在地のいずれかの市区町村へ提出します(戸籍法86条)。

ここでよく誤解されるのが、この届出をきっかけに銀行が口座を止めると思い込むことです。

市区町村から金融機関へ死亡情報が回る仕組みはないため、届出を済ませても通帳とキャッシュカードはしばらく使える状態のままです。

実際に凍結がかかるのは、相続人や親族からの申し出などで金融機関が死亡を把握したときです。

つまり、いつ止まるかは家族側の連絡タイミングでほぼ決まります。

「まだ伝えていないから使える」という状態が、あとで大きな問題になることもあります。

理由は次の段落で書きます。

凍結で止まるのは出金だけではない

凍結という言葉から引き出しだけが止まると考えがちですが、口座は入口も出口も閉じます。止まるのは次のものです。

  • ATMやキャッシュカードでの引き出しと振込
  • 年金・家賃・配当などの入金の受け取り
  • 電気・ガス・水道・通信費・カード代金などの口座振替
  • 定期的な自動送金や定額の積立
  • 貸金庫を開けること(相続人がそろわないと開扉できない扱いが一般的です)

引き落としが止まれば、料金は未払いになります。

督促状が実家に届いてから気づくケースを避けるため、口座を止める連絡と同時に、何が引き落とされていたかを直近の通帳記入から拾ってください。

通帳が数か月分未記入なら、その分の履歴も相続手続きの中で照会できます。

連絡は相続人の一人からでもできる

死亡の申し出そのものは、相続人のうち一人が行えば受け付けられるのが通例です。

そのあとの払い出しや名義の引き継ぎには相続人全員が関わりますが、最初の一報で全員をそろえる必要はありません。

申し出のときに聞かれるのは、名義人の氏名と生年月日、死亡日、口座や証書の種類、相続人が何人いるかといった基本情報です。

受付の窓口と提出書類の様式は金融機関ごとに違い、ゆうちょ銀行も独自の届出書を使います。

手続きに入る前に、公式サイトの案内か郵便局の貯金窓口で現行の必要書類を確認してください。

「口座凍結の解除」という手続きは存在しない|相続手続きの完了で払い出される

検索では「凍結解除の方法」という聞き方をされますが、金融機関の側にその名前の手続きはありません。凍結された口座は、相続人が確定して必要書類がそろった段階で、次のどちらかの形で処理されます。

  • 口座を解約して、残高を相続人の代表口座または各相続人の口座へ払い出す
  • 口座をそのまま相続人の名義に引き継ぐ(金融機関や商品によって扱いが異なります)

元の口座を故人の名義のまま使い続けられるようになるわけではありません。カードや通帳が復活するイメージを持っていると、窓口での話がかみ合わなくなります。

もうひとつ整理しておきたいのが、「口座の手続き」と「遺産分割」の関係です。

誰がいくら受け取るかが決まっていなくても、金融機関は残高証明書を出してくれます。

むしろ残高証明は、相続税の計算や兄弟での話し合いに先に必要な資料です。

金額が分からないまま分け方を相談すると、話が感情論に流れます。

ゆうちょ銀行のように商品が複数に分かれている場合は、通常貯金だけでなく定額・定期の貯金や投資信託の有無まで含めて残高を出してもらってください。

同じ金融機関に複数の口座があるなら、まとめて申し出たほうが書類の取り直しを減らせます。

相続放棄を考えているなら、凍結前でも預金に手を付けてはいけない

ここは順番を間違えると取り返しがつかない論点です。

相続放棄と限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します(民法915条)。

起算日は「亡くなった日」ではなく「自分が相続人だと知った日」です。

疎遠だった親の死を後から知った場合は、そこから数えます。

問題になるのは、この3か月の間に故人の預金を引き出して使ってしまうことです。

相続財産を処分すると、相続を受け入れたものとして扱われ、放棄が認められなくなるおそれがあります。

借金の有無が分からない段階では、通帳が使えるうちに動かしたくなっても手を付けないでください。

調査に時間がかかりそうなときは、3か月の期間内に家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられます。

負債の照会や不動産の評価が終わらないまま期限が近づいているなら、この選択肢を先に検討する段階です。

数え方と申立ての手順は相続放棄の期限と期間伸長の申立てで解説しています。

なお、相続放棄をしてもお墓や仏壇を引き継ぐことはできます。

祭祀(さいし)財産は相続財産とは別枠で、1人が承継する扱いです(民法897条)。

「放棄したら墓守もできなくなる」と考えて判断を誤らないようにしてください。

ゆうちょ銀行の相続手続きで用意する書類と、それぞれの取り寄せ先

必要書類は金融機関ごとに様式が違いますが、集める中身は共通しています。窓口が別々なので、取り寄せ先を先に押さえたほうが往復が減ります。

書類取り寄せ先つまずきやすい点
故人の出生から死亡までの戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)本籍地の市区町村転籍していると複数の市区町村に請求が要ります
相続人全員の現在の戸籍謄本各相続人の本籍地の市区町村兄弟に本籍地を聞く必要があります
相続人全員の印鑑登録証明書各相続人の住所地の市区町村印鑑登録をしていない人は登録から始めます
金融機関の相続手続きの届出書郵便局の貯金窓口または公式サイト相続人全員の署名と実印が必要になる欄があります
通帳・キャッシュカード・貯金証書自宅で探す見つからなくても手続きはできますが、申告が必要です
遺言書または遺産分割協議書自宅・法務局・公証役場など自筆証書は開封せずに家庭裁判所へ持ち込みます

家の片づけを始める前に探しておくもの

遺品整理を先に進めると、手続きに要る紙まで一緒に処分してしまいます。捨てる前に必ず探すのは次のものです。

  • 通帳・キャッシュカード・貯金証書
  • 保険証券と年金手帳
  • 不動産の権利証と登記識別情報の通知
  • 遺言書
  • 印鑑と印鑑登録証
  • 貸金庫の鍵と契約書
  • 有価証券の取引報告書、借用書

これらが出てこないと、相続の手続きはあちこちで止まります。

とくに借用書と督促状の類は、放棄するかどうかの判断材料そのものです。

片づけ業者を入れる日を先に決めてしまう前に、書類だけを箱1つに集める作業を済ませてください。

相続人全員の署名が要るのか、それとも1人で済むのか

払い出しの段階で必ず確認されるのが、相続人が誰と誰なのか、そして分け方に全員が同意しているのかという2点です。ここは遺言の有無で分かれます。

遺言書がある場合

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、家庭裁判所の検認を受けてから使います(民法1004条)。

封をしたまま持ち込むのが原則で、自宅で開けてしまうと手続き上の不利益が生じることがあります。

一方、公正証書遺言と、法務局の自筆証書遺言書保管制度を使ったものは検認が不要です。

この保管制度は2020年7月10日に始まり、保管申請の手数料は1件3,900円です(法務省 遺言書保管所/2026年9月時点)。

親が「法務局に預けてある」と話していたなら、検認を待たずに動けます。

2019年1月13日以降に書かれた自筆証書遺言では、添付する財産目録をパソコンで作成したり通帳のコピーで代えたりできます。

ただし本文は全文自筆のままで、目録の各ページには署名押印が要ります(民法968条2項)。

有効か無効かの判断は弁護士の領域なので、疑問がある文面はそのまま持ち込んで相談してください。

遺言書がない場合

法定相続人の全員が関わります。

配偶者は常に相続人で、第1順位は子、子がいなければ第2順位の直系尊属、それもいなければ第3順位の兄弟姉妹です(民法887条〜890条)。

前の配偶者との子や認知された子がいれば、その人も相続人です。

戸籍を出生までさかのぼって取るのは、この確認のためです。

連絡が取れない相続人がいると、そこで手続きが止まります。

行方が分からない、あるいは相続人が誰もいないという状況では、家庭裁判所を通した手続きが必要になります。

財産の行き先がどうなるかは相続人がいないときの流れで解説しています。

話し合いそのものがまとまらないなら、預金の払い出しよりも先に弁護士に渡す段階です。

費用の目安は相続を弁護士に頼む費用で解説しています。

凍結中に止まる引き落としと、立て替えたお金の記録

口座が止まっている期間も、実家の電気代や施設の利用料は発生し続けます。

相続人の誰かが自分の財布から払う形になりやすく、この立替が後の不満の種になります。

払った人が領収書と日付を残し、何を誰がいくら立て替えたかを一覧にしておいてください。

分け方を決めるときに、この一覧があるかないかで話の温度が変わります。

公共料金や通信費は、契約者の変更か引き落とし口座の変更で先に止血できます。

実家を売る前提なら、電気とガスは解約の時期も一緒に考えることになります。

年金の受給停止は、厚生年金なら死亡から10日以内、国民年金なら14日以内に年金事務所または市区町村へ届け出ます(日本年金機構)。

世帯に15歳以上の人が2人以上残る場合は、14日以内の世帯主変更届も出します(住民基本台帳法25条)。

入ってくるお金もあります。

国民健康保険や後期高齢者医療の加入者が亡くなると葬祭費、健康保険の被保険者が亡くなると埋葬料が支給されます。

健康保険の埋葬料は一律5万円です(健康保険法100条/2026年9月時点)。

国民健康保険の葬祭費は市区町村ごとに額が違うため、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。

配偶者が残っている場合は、遺族年金の受給要件も早めに見ておく段階です。

誰がもらえるかは遺族年金の条件と金額の計算で解説しています。

相続の手続きにかかる費用は、書類の実費と専門家に渡す範囲で変わる

預金の払い出しそのものに大きな費用はかかりません。

負担として出てくるのは、戸籍や証明書の取り寄せの実費と、専門家へ依頼する部分です。

取り寄せの実費は、故人が何回転籍しているか、相続人が何人いるかで枚数が変わります。

地方の本籍地に郵送請求を重ねると、往復の日数も見込んでおく必要があります。

自分でできる範囲と、渡したほうが早い範囲の線引きはおおよそ次のようになります。

  • 金融機関への死亡の申し出、残高証明書の請求、戸籍と印鑑証明の取り寄せは、相続人が自分で進められます
  • 不動産の名義変更は司法書士、相続税の申告は税理士、相続人の間で折り合いがつかない場合は弁護士の領域です

実家が相続財産に含まれるなら、預金の手続きと並行して登記の準備が要ります。

登録免許税と司法書士報酬の目安は相続登記の費用で解説しています。

預金だけを先に片づけて登記を後回しにすると、次の見出しで書く期限に引っかかります。

相続の期限から逆算する順番|口座の手続きはどこに入るか

口座の手続きには法律上の期限がありません。

そのため、期限のあるものを先に並べて、その隙間に入れるという考え方になります。

期限があるのは次のとおりです。

期限手続き起算日
7日死亡届の提出死亡の事実を知った日
10日/14日年金の受給停止(厚生年金/国民年金)死亡日
14日世帯主変更届死亡日
3か月相続放棄・限定承認の申述自分が相続人だと知った日
4か月準確定申告(事業所得などがある場合)相続の開始を知った日の翌日
10か月相続税の申告・納付相続の開始を知った日の翌日
1年遺留分侵害額請求相続開始と侵害を知った時
3年相続登記の申請不動産を取得したことを知った日

この並びのどこに口座の手続きを入れるかは、相続税の申告が必要かどうかで決まります。

基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数です(相続税法15条/2026年9月時点)。

相続人が3人なら4,800万円で、ここを超えなければ申告そのものが不要です。

超えるかどうかを判断するには預金の残高が要るため、残高証明書だけは早めに取り、払い出しは分け方が決まってからでも構いません。

判断の分かれ目は相続税は誰にかかるのかで解説しています。

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って納税額が0円になる場合も、申告書の提出が要件です。「税額が出ないから何もしない」で10か月を過ぎると、特例が使えなくなるおそれがあります。

口座をそのまま放置すると、署名を集める相手が増えていく

手続きが面倒で数年放っておくケースがあります。金額が数万円なら急がなくてもよさそうに見えますが、時間が経つほど作業量は増える方向に動きます。

いちばん重いのは相続人の数です。

手続きをしないまま相続人の一人が亡くなると、その人の相続人が新たに加わります。

兄弟3人で済んだ話が、次の世代の配偶者や子を含めて7人8人の署名集めになることもあります。

面識のない親族に実印と印鑑証明を頼む場面を考えると、先に片づけたほうが軽い作業です。

不動産が絡む場合はさらに厳しくなります。

相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がなければ10万円以下の過料の対象です(不動産登記法76条の2)。

2024年4月1日より前に相続した不動産も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。

実家が親名義のまま何十年も置かれているなら、期限はすでに動いています。

自分の代でこの手間を繰り返させないための備えもあります。

どの金融機関にどの口座があるかを一覧にしておくだけで、残された家族が探し回る時間が消えます。

書き残す項目はエンディングノートの書き方で解説しています。

よくある質問

ゆうちょ銀行に死亡を伝えないまま口座を使い続けてもいいですか

やめてください。

故人の預金を引き出して使うと、相続を受け入れたものとして扱われ、相続放棄が認められなくなるおそれがあります。

借金の有無が確認できていない段階ではとくに危険です。

他の相続人から無断で処分したと見られ、話し合いがこじれる原因にもなります。

凍結された口座から葬儀費用を出せますか

金融機関によって取り扱いが異なるため、必要書類と上限を窓口で確認してください。

ただし、放棄を検討している場合は使わない判断が安全です。

葬儀費用を相続人が立て替えたなら、領収書と支払った人の名前を残しておけば、後の話し合いで精算の材料になります。

通帳もキャッシュカードも見つかりません

通帳がなくても手続きはできます。

口座があるかどうかは、金融機関に照会すれば確認できる扱いが一般的です。

ただし紛失した旨の申告が必要になるため、窓口で状況を伝えてください。

自宅で見つからない場合は、貸金庫を契約していないか、郵便物に金融機関からの通知が届いていないかも確かめてみてください。

残高が数万円の口座でも、同じ書類をそろえる必要がありますか

残高が少ない場合に書類を簡略化する扱いを設けている金融機関もありますが、要件は各社で違います。

少額だから省略できると決めつけず、申し出のときに残高を伝えて、どの書類が要るかを確認してください。

相続人の人数が多いほど、簡略化できるかどうかで手間の差が大きくなります。

亡くなる直前に、代わりにお金を下ろしておくのは問題になりますか

本人以外が引き出した預金は、後から他の相続人に使途を問われます。

医療費や施設費に充てた分でも、領収書がなければ説明ができません。

生前に引き出した現金は相続財産として残っている扱いになるため、金額と使い道の記録を必ず残してください。

相続人の一人が海外にいて印鑑登録証明書が取れません

日本に住民登録がない場合は、印鑑証明の代わりに在外公館で発行される署名証明などを使う扱いがあります。

必要な書類の組み合わせは金融機関ごとに違うので、海外在住の相続人がいることを最初の申し出で伝えてください。

郵送のやり取りで日数がかかるため、10か月の申告期限が近い場合は早めに動く必要があります。

引き落としが止まったら、実家の電気やガスはすぐ止まりますか

すぐに供給が止まるわけではなく、未払いの通知が届きます。

放置すれば停止に進むため、契約者の名義変更か引き落とし口座の変更を早めに済ませてください。

実家を売却または解体する予定なら、その時期に合わせて解約の段取りも一緒に決めておくと二度手間になりません。

まとめ

口座が止まるのは死亡届を出した日ではなく、金融機関が死亡を知った日です。

そして凍結を解除する手続きはなく、相続人を確定させて書類をそろえ、払い出すか引き継ぐかのどちらかに進みます。

凍結前に預金を使うと相続放棄ができなくなるおそれがあるため、負債の有無が見えていない段階では手を付けないでください。

先に取るのは残高証明書です。

金額が机の上に出れば、相続税の申告が必要かどうかも、兄弟でどう分けるかも、事実をもとに話せます。

ぜひ本記事の期限の一覧表と書類の取り寄せ先の表を参考に、口座の手続きをどの順番に入れるかを決めてください。

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