遺族年金はいくらもらえる?妻・子ども別の早見表で確認

年金事務所の窓口で「いくらもらえますか」と尋ねても、その場で金額が出ないことがあります。
遺族基礎年金は定額なので子どもの人数から計算できる一方、遺族厚生年金は亡くなった人の加入記録を取り寄せないと計算できないためです。
定額のほうは、子のある配偶者で年847,300円に子の加算がつき、1人目と2人目は各243,800円が足されます(日本年金機構/令和8年4月分の額・2026年9月時点)。
つまり、子ども2人を育てている妻なら、厚生年金の分を抜きにしても年1,334,900円が計算できます。
残るのは、亡くなった人の報酬と加入月数で動く遺族厚生年金の部分です。
本記事では、子どもの人数別の早見表・遺族厚生年金の4分の3という計算・早見表どおりに出ない条件を解説します。
遺族年金はいくら?子ども2人の妻なら年1,334,900円から計算する
遺族年金には国民年金から出る遺族基礎年金と、厚生年金から出る遺族厚生年金の2階建てがあります。
このうち金額が完全に決まっているのが遺族基礎年金です。
亡くなった人の収入がいくらだったかに関係なく、子のある配偶者には年847,300円、そこに子どもの人数分の加算が乗ります(日本年金機構/令和8年4月分の額・2026年9月時点)。
配偶者が昭和31年4月1日以前に生まれている場合は844,900円になります。
| 受け取る人 | 遺族基礎年金(年額) | 12で割った月額の概算 |
|---|---|---|
| 子のある配偶者+子1人 | 1,091,100円 | 約90,925円 |
| 子のある配偶者+子2人 | 1,334,900円 | 約111,241円 |
| 子のある配偶者+子3人 | 1,416,200円 | 約118,016円 |
| 子のいない配偶者 | 0円(支給対象外) | — |
表の金額は、あくまで国民年金からの部分だけです。
亡くなった人が会社員や公務員として厚生年金に加入していたなら、この上に遺族厚生年金が乗ります。
自営業で国民年金だけだった場合は、この表の額が受け取れる全額になります。
夫婦のどちらが亡くなったかではなく、亡くなった人がどの制度に入っていたかで階数が変わるわけです。
子の加算は3人目から額が下がる
加算額は1人目と2人目が各243,800円、3人目以降は各81,300円です。
3人目からは3分の1ほどに下がるため、子どもの人数が増えても年額は思ったほど伸びません。
子ども2人と3人の差は81,300円で、月額にすると7,000円に届かない程度になります。
教育費の見通しを立てるときは、人数に比例して増えるものではないという前提で計算してください。
加算の対象になる「子」は18歳の年度末まで
ここでいう子どもは、18歳になった年度の3月31日までの子です。
障害等級1級または2級に該当する場合は20歳未満まで対象になります。
高校卒業のタイミングで対象から外れるため、末子が高校3年生の3月で遺族基礎年金そのものが終わる家庭もあります。
どの年金がいつまで続くかは家族構成で変わるので、受給が終わる条件と再婚したときの扱いで解説しています。
遺族厚生年金は報酬比例部分の4分の3で決まる
遺族厚生年金には定額がありません。
計算は、亡くなった人が受け取るはずだった老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
報酬比例部分は在職中の給与と賞与の平均、それに厚生年金の加入月数で決まります。
同じ年齢で亡くなっても、勤続年数が長く報酬の高かった人ほど遺族厚生年金は大きくなり、転職の合間に国民年金だった期間が長い人は小さくなります。
早見表の形で断定できないのはこのためです。
金額を知るには、亡くなった人の加入記録を年金事務所で確認して試算してもらう必要があります。
窓口で即答されないのは担当者が渋っているからではなく、記録の照会が前提になる計算だからです。
加入期間が300月に満たなくても300月とみなす
在職中に亡くなった場合など、厚生年金の加入期間が短いまま受給権が発生することがあります。
この場合、被保険者期間が300月(25年)未満なら300月として計算します。
入社10年目の40代で亡くなったとしても、120月分ではなく300月分で計算されるということです。
若くして亡くなった世帯の生活を支えるための下支えで、遺族厚生年金が数万円にしかならない事態を防ぐ仕組みになっています。
子のいない妻に付く中高齢寡婦加算は年635,500円
子どもがいない、あるいは子どもが18歳の年度末を過ぎた妻には、遺族基礎年金が出ません。
そのまま何も足されないと、夫を亡くした時点で収入が大きく落ちます。
そこで、夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で子のいない妻などには、40歳から65歳になるまでの間、年635,500円の中高齢寡婦加算が上乗せされます。
月額に直すと約52,958円です。
末子が高校を卒業して遺族基礎年金が終わったあと、この加算に切り替わる流れになる家庭もあります。
年金額が一段落ちるタイミングと、加算が始まるタイミングをあらかじめ押さえておくと、生活費の計画が立てやすくなります。
受給できる人の範囲そのものは遺族年金は誰がもらえるかの条件で解説しています。
早見表どおりに遺族年金が出ないのは、納付要件と受給順位で外れたとき
金額の計算より先に確かめておきたいのが、そもそも支給されるかどうかです。
家族構成だけで判断すると、請求してから対象外と分かることがあります。
外れる理由は保険料の納付記録、受給できる人の順位、妻の年齢の3つに分かれます。
保険料の納付が足りないと支給されない
遺族基礎年金には保険料の納付要件があります。
原則は、保険料を納めた期間(免除を受けた期間を含む)が国民年金の加入期間の3分の2以上あることです。
ただし、死亡日が令和18年3月末日までで、亡くなった人が65歳未満だった場合は、死亡月の前々月までの直近1年間に未納が無ければ要件を満たします。
会社員として厚生年金に入っていた期間は保険料が給与から引かれているので、ここでつまずくことはほとんどありません。
注意が要るのは、自営業やフリーランスの期間が長く、国民年金保険料を納めていない時期があった場合です。
免除の申請をしていれば免除期間として数えられますが、申請せずに放置した未納は数えられません。
子のいない配偶者には遺族厚生年金だけが回る
遺族厚生年金を受け取れる人には順位があります。
- 子のある配偶者
- 子
- 子のない配偶者
- 父母
- 孫
- 祖父母
上の順位の人がいれば、下の順位の人には回りません。
親が亡くなって、その配偶者(もう一方の親)が健在なら、成人した子どもに遺族厚生年金が支給されることはありません。
父母が受け取れるのは、配偶者も子も孫もいない場合に限られます。
実家の片づけをしながら「自分にも何か出るのか」と考える立場なら、まず上位の受給権者がいないかを確認してください。
子のない30歳未満の妻は5年で終わる
子どものいない30歳未満の妻が受け取る遺族厚生年金は、5年間の有期給付です。
終身で続くわけではありません。
若い世代で夫を亡くした場合、生活の立て直しをこの5年の中で考えることになります。
中高齢寡婦加算も40歳以上が対象なので、30代前半で受給が切れた人が40歳になっても自動的に復活するものではありません。
遺族年金の請求と並行して進む、埋葬料と役所への届出
遺族年金は請求しなければ支給が始まりません。
亡くなったことを年金事務所が把握しても、遺族の口座に自動で振り込まれる仕組みではないためです。
同じ時期に走る手続きがいくつも重なるので、期限のあるものから片づけていきます。
受給停止の届出は厚生年金10日・国民年金14日
亡くなった本人が年金を受け取っていた場合、受給を止める届出が先に来ます。
厚生年金は死亡から10日以内、国民年金は14日以内に年金事務所または市区町村へ届け出ます。
死亡届は死亡の事実を知った日から7日以内、世帯に15歳以上の人が2人以上残るなら世帯主変更届が14日以内です。
遺族年金の請求はこれらより後ろに置かれることが多く、必要書類も別に揃えます。
窓口と持ち物は遺族年金の請求に必要な書類と年金事務所での流れで解説しています。
埋葬料は一律5万円、葬祭費は市区町村ごと
年金とは別に、健康保険から出るお金があります。
健康保険の被保険者が亡くなったときの埋葬料は一律5万円です。
国民健康保険や後期高齢者医療の加入者だった場合は葬祭費が支給されますが、金額は市区町村の条例で決まるため一律ではありません。
加入していた制度で窓口も額も変わるので、保険証の種類を手元で確認してから問い合わせてください。
年金が少ないときに上乗せされる給付金がある
遺族年金の額が少ない世帯には、年金生活者支援給付金が上乗せされる場合があります。
年金額は亡くなった人の納付記録で決まり、給付金は受け取る人の前年の所得で決まります。
判定に使う数字が別なので、年金が少なければ必ず給付金が出るというものでもありません。
条件は年金生活者支援給付金を遺族年金と一緒に受け取る条件で解説しています。
相続の期限は年金の手続きとは別に進む
年金事務所での手続きを進めている間も、相続の期限は止まりません。
相続放棄は自分が相続人だと知った時から3か月、相続税の申告と納付は相続の開始を知った日の翌日から10か月です。
相続税は3,000万円+600万円×法定相続人の数という基礎控除以下なら申告そのものが不要になります。
分かれ目の考え方は基礎控除で相続税がかかるかどうかが決まる仕組みで解説しています。
よくある質問
遺族年金は月にいくらになりますか
遺族基礎年金だけで見ると、子1人の配偶者で年1,091,100円、12で割ると約90,925円です。
子2人なら年1,334,900円で約111,241円になります(日本年金機構/令和8年4月分の額・2026年9月時点)。
ここに遺族厚生年金が加わる世帯では、亡くなった人の報酬比例部分の4分の3が上乗せされます。
夫が自営業だった場合、遺族年金はいくらですか
国民年金だけに加入していた場合、支給されるのは遺族基礎年金だけです。
子のある配偶者なら年847,300円に子の加算が付き、子どもがいない、または子どもが18歳の年度末を過ぎていれば支給の対象になりません。
厚生年金に加入していた期間が過去にあれば、その分の遺族厚生年金が別に計算されます。
子どもが18歳になると遺族年金は減りますか
18歳になった年度の3月31日を過ぎると、その子の加算分が外れます。
末子が対象から外れた時点で遺族基礎年金そのものが終わります。
妻が40歳以上65歳未満であれば中高齢寡婦加算の対象になる場合があり、年635,500円が上乗せされます。
遺族厚生年金の正確な額はどこで分かりますか
亡くなった人の厚生年金の加入記録が必要なので、年金事務所で照会して試算してもらう形になります。
手元の資料だけで計算するのは難しい部分です。
加入期間が300月に満たない場合は300月とみなして計算されるため、勤続年数が短くても極端に低い額にはなりません。
子どものいない妻でも遺族年金を受け取れますか
遺族基礎年金は子のある配偶者が対象なので、子どもがいなければ支給されません。
亡くなった人が厚生年金に加入していれば、子のない配偶者として遺族厚生年金の対象になります。
ただし30歳未満で子のない妻は5年間の有期給付になり、40歳以上65歳未満であれば中高齢寡婦加算の対象になります。
まとめ
遺族年金の額は、定額で計算できる部分と、記録を見ないと出ない部分に分かれます。
遺族基礎年金は子どもの人数だけで決まるので早見表で足りますが、遺族厚生年金は亡くなった人の報酬と加入月数しだいです。
先に定額の部分で生活費の下限を押さえ、厚生年金の分は年金事務所の試算を待つという順番で見ると、判断に必要な数字が早く揃います。
末子が18歳の年度末を過ぎる年、妻が40歳と65歳になる年は、金額が切り替わる節目です。ぜひ本記事の早見表と中高齢寡婦加算の条件を手元に置いて、年金事務所で自分の世帯の額を確認してください。


