遺族年金はいつまで?受給が終わる条件と再婚したときの扱い

遺族基礎年金は、末子が18歳になった年度の3月31日で終わります。
もう一方の遺族厚生年金は、受け取る人が誰かで期間が変わり、夫が亡くなった時点で30歳未満だった子のない妻は5年で打ち切りです。
同じ「遺族年金」という言葉でも中身は2階建てで、終わる時期はそれぞれ別に決まっています。
さらに厄介なのが再婚です。
受け取る側が結婚すると受給権そのものが消え、届け出が遅れて受け取り続ければ、後から返すことになります。
本記事では、遺族基礎年金が止まる時期・遺族厚生年金が終身になる条件・再婚したときの失権届の出し方を解説します。
遺族年金がいつまで出るかは、2つの年金で別に決まる
遺族年金という一つの制度があるわけではありません。
国民年金から出る遺族基礎年金と、厚生年金から出る遺族厚生年金の2つがあり、亡くなった人がどちらに加入していたか、遺族が誰かで組み合わせが変わります。
「いつまで」を調べるときは、自分が受け取っているのがどちらか(あるいは両方か)を年金証書で確かめるところから始めてください。
終わり方には、期限が決まっている打ち切りと、条件を満たした瞬間に権利が消える失権の2種類があります。
前者は子の年齢や5年という年数で自動的に来るもの、後者は再婚などで受給する側の事情が変わったときに起きるものです。
前者はカレンダーで読めますが、後者は自分で届け出ないと年金機構に伝わりません。
| 受け取る人 | 受け取る年金 | いつまで |
|---|---|---|
| 子のある配偶者 | 遺族基礎年金 | 末子が18歳到達年度の3月31日まで |
| 子(父母がいない場合など) | 遺族基礎年金 | 本人が18歳到達年度の3月31日まで |
| 30歳未満で子のない妻 | 遺族厚生年金 | 受給権が発生してから5年間 |
| 上記以外の妻 | 遺族厚生年金 | 原則として終身(失権事由に当たらない限り) |
| 夫・父母・祖父母 | 遺族厚生年金 | 55歳以上で受給権が生じ、支給は60歳から(原則として終身) |
| 子・孫 | 遺族厚生年金 | 18歳到達年度の3月31日まで |
障害等級1級または2級に当たる子・孫は、18歳到達年度の3月31日ではなく20歳未満までが対象です。
表は原則の形なので、自分のケースがどれに当たるかは年金事務所で確認してください。
誰が対象になるかという入口の条件は遺族年金の受給条件で解説しています。
遺族基礎年金は末子の18歳到達年度末で止まる
遺族基礎年金の支給期間を決めているのは、遺族の年齢ではなく子の年齢です。
子が18歳になった年度の3月31日を過ぎると、要件を満たす子がいなくなるため、配偶者への支給も終わります。
3月生まれでも12月生まれでも、区切りは同じ年度末です。
誕生日の翌月ではないところが、勘違いしやすい点です。
子が要件から外れる日
年度末を待たずに対象から外れることもあります。
子が結婚した場合、また直系血族・直系姻族以外の人の養子になった場合は、その時点で子としての要件を失います。
高校を卒業して就職しても、18歳到達年度の3月31日までは対象のままです。
収入で切られる仕組みではないためです。
子が2人以上いるとき
子が複数いる家庭では、いちばん下の子が18歳到達年度の3月31日を迎えるまで続きます。
ただし上の子が要件から外れた時点で加算の対象が減るため、受け取る額は途中で下がります。
額の組み立ては遺族年金の金額の目安で解説しています。
子のいない配偶者には遺族基礎年金は出ません。
亡くなった人が会社員や公務員で厚生年金に加入していた場合は遺族厚生年金の対象になり得ますが、自営業などで国民年金だけだった場合、子がいなければ遺族基礎年金は受け取れません。
代わりに寡婦年金や死亡一時金の対象になることがあるので、窓口で該当の有無を聞いてください。
遺族厚生年金は終身か5年か、妻の年齢で分かれる
遺族厚生年金でいちばん差が大きいのは、夫が亡くなった時点の妻の年齢です。
30歳未満で子のない妻は5年間の有期給付になり、5年経つと権利が消えます。
30歳以上であれば、失権事由に当たらない限り原則として終身で続きます。
同じ制度でありながら、5年で終わるか一生続くかという開きになるわけです。
30歳未満で子のない妻は5年で終わる
夫の死亡当時に30歳未満で、遺族基礎年金の対象になる子がいない妻は、受給権が発生した日から5年で失権します。
子がいて遺族基礎年金を受けていた妻が、30歳になる前にその子の要件が消えた場合も、そこから5年という扱いになります。
開始日が起算点なので、受給が始まった月を年金証書で確認しておいてください。
40歳以上65歳未満の妻への加算
子のいない妻、あるいは子が18歳到達年度の3月31日を過ぎた妻には、40歳から65歳になるまで中高齢寡婦加算が付く仕組みがあります。
65歳になると加算は終わり、本人の老齢基礎年金に切り替わる形です。
加算が消えたことを減額と受け取って窓口に問い合わせる人がいますが、年齢による切り替えであって、失権ではありません。
夫・父母・祖父母が受け取る場合
妻以外が受け取るときは、年齢の条件が入ります。
夫・父母・祖父母は、亡くなった時点で55歳以上であることが必要で、実際に支給が始まるのは60歳からです。
ただし夫が遺族基礎年金も受けられる場合は、60歳より前でも遺族厚生年金を受け取れます。
妻が亡くなったときの夫の扱いは、妻の場合と対称になっていません。
65歳から自分の年金と重なるとき
65歳になって本人の老齢厚生年金が始まると、まず自分の老齢厚生年金が支給され、遺族厚生年金はその額を上回る差額分だけが出ます。
両方を満額で受け取れるわけではありません。
手取りが減ったように見えても遺族厚生年金の権利自体は残っているので、通知書の内訳を見て、失権と調整のどちらなのかを読み分けてください。
再婚すると遺族年金の受給権は消える
再婚は、期間の途中でも受給権が消える代表的な事由です。
婚姻届を出した時点で失権し、その後に年齢や年数の条件を満たしても復活しません。
離婚してもとに戻ることはないため、再婚を考える段階で家計への影響を計算しておく話になります。
婚姻届を出していなくても対象になる
失権の判定は戸籍だけではありません。
届け出をしていない事実上の婚姻関係、つまり内縁も婚姻として扱われます。
同居して生計を一つにしている状態が続いていれば、届けの有無にかかわらず失権と判断されることがあります。
遺族年金は、亡くなった人に生計を支えられていた人への給付という考え方で組まれているためです。
母が再婚したときの子の年金
母が再婚しても、子自身の遺族基礎年金の要件がそのまま消えるわけではありません。
ただし子が再婚相手の養子になった場合は、直系血族・直系姻族以外の養子となるため、子としての要件を失います。
養子縁組をするかどうかで結論が変わるので、縁組の前に年金事務所へ確認してください。
届け出が遅れると返還になる
再婚による失権は、年金機構が自動で把握するものではありません。
届け出をせずに振り込まれ続けた分は、受け取る権利のないお金として後から返還を求められます。
何年か経ってから一括で請求されると、家計への打撃はかなり大きくなります。
失権に当たる出来事があったら、その月のうちに動くつもりでいてください。
なお、再婚以外にも失権事由があります。
受給している本人が亡くなったとき、直系血族・直系姻族以外の人の養子になったとき、離縁によって亡くなった人との親族関係が終わったときです。
子や孫については、18歳到達年度の3月31日の到来と、婚姻も失権事由に含まれます。
遺族年金の届け出と、そのとき必要になる書類
止めるときの手続きは2種類あります。
受給している人が再婚などで権利を失ったときの「遺族年金失権届」と、受給者が亡くなったときの「年金受給権者死亡届」です。
前者は本人が、後者は残された家族が出す書類で、持っていく窓口も同じではありません。
どこへ出すか
遺族厚生年金に関する届け出は年金事務所または街角の年金相談センターへ、遺族基礎年金だけを受けている場合は市区町村の国民年金窓口へ提出します。
どちらを受けているか分からないときは、年金証書か振込通知書を持って年金事務所へ行くのが早いです。
書類の様式は日本年金機構のウェブサイトからも取得できます。
用意するもの
失権届では、年金証書と、失権の事実を確認できる書類が求められます。
再婚なら戸籍謄本が該当します。
戸籍謄本は本籍地の市区町村でしか取れないため、本籍が遠方にある場合は郵送請求で1〜2週間を見ておく必要があります。
取り寄せに時間がかかることを知らずに窓口へ行き、二度手間になる例が多いところです。
受給者が亡くなったときの期限
遺族年金を受け取っていた人が亡くなった場合は、年金受給権者死亡届の提出期限が決まっています。
厚生年金は死亡から10日以内、国民年金は14日以内です。
マイナンバーが年金の記録に登録されていれば、この死亡届は原則として省略できます。
また、亡くなった月までの年金でまだ振り込まれていない分は、同居していた遺族が未支給年金として請求できます。
この請求には5年の時効があります。
親が亡くなった直後は、年金の届け出と並行して相続の期限も動き始めます。
相続放棄は自分が相続人だと知った時から3か月、相続税の申告は相続の開始を知った日の翌日から10か月です。
申告が必要になる境目は相続税の基礎控除で解説しています。
実家の名義変更にも、取得を知った日から3年という期限があります。
こちらは相続登記の義務化で解説しています。
遺族年金の請求と時期でつまずきやすいところ
受け取る手続きの側にも、時期に関する落とし穴があります。
遺族年金の請求には5年の時効があり、5年より前の分は受け取れなくなります。
死亡から時間が経ってから制度を知り、遡って請求しようとして一部が消えていたという事態は避けたいところです。
請求そのものが止まりやすいのは、書類の取り寄せに手間がかかる部分です。
亡くなった人と請求する人の関係を示す戸籍、生計を同じくしていたことを示す書類、子の在学を示す書類などが必要になり、それぞれ窓口が違います。
年金事務所の窓口は平日の日中しか開いていないため、勤めている人は事前予約をして半日休を取るほうが結局早く済みます。
もう一点、支給が停止する場面と失権する場面を混同しないでください。
所在が分からなくなったときの支給停止や、労災保険の給付との調整による停止は、権利が残ったままの一時的な停止です。
再婚による失権とは扱いが違います。
通知が届いたら、停止と失権のどちらの通知なのかを必ず読み分けてください。
判断がつかないものは自己流で処理せず、年金事務所に書類を持ち込むのが確実です。
家族の側でも、誰がどの年金を受け取っているかを共有しておくと手続きが速く進みます。
年金証書の保管場所と振込口座を書き残しておくだけで、残された家族が探し回る時間が減ります。
書き残す項目はエンディングノートの項目で解説しています。
よくある質問
再婚したら子どもの遺族年金も止まりますか
母や父が再婚しても、子自身の要件がそれだけで消えるわけではありません。
ただし子が再婚相手と養子縁組をすると、直系血族・直系姻族以外の養子となるため、子としての要件を失います。
縁組を予定しているなら、その前に年金事務所で影響を確認してください。
婚姻届を出さない内縁関係でも失権しますか
事実上の婚姻関係は婚姻として扱われるため、届け出をしていなくても失権と判断されることがあります。
同居して生計を一つにしているかどうかが見られます。
判断に迷う状態のまま受け取り続けると、後から返還を求められる可能性があります。
子が高校を卒業して働き始めたら遺族基礎年金は止まりますか
18歳到達年度の3月31日までは対象のままで、就職や収入で打ち切られる仕組みではありません。区切りは誕生日の翌月ではなく、18歳になった年度の年度末です。
65歳から自分の老齢年金をもらうと遺族厚生年金はどうなりますか
まず本人の老齢厚生年金が支給され、遺族厚生年金はそれを上回る差額分だけが出ます。
両方が満額で重なることはありません。
振込額が下がっても遺族厚生年金の権利そのものは残っているので、通知書の内訳を確認してください。
請求しないまま数年が経ちました。今から遡ってもらえますか
遺族年金の請求には5年の時効があり、5年を超えた過去の分は受け取れません。すでに何年か経っている場合ほど、早く年金事務所へ相談したほうが受け取れる範囲が広く残ります。
まとめ
遺族基礎年金は末子が18歳到達年度の3月31日を迎えるまで、遺族厚生年金は30歳未満で子のない妻なら5年、それ以外は原則として終身です。この2つは別の年金なので、自分がどちらを受け取っているかを年金証書で確かめないと、いつまでという答えが出ません。
再婚は、届け出をしなければ気づかれないまま振り込まれ、後から返還を求められる形で問題になります。
婚姻届を出していない内縁も同じ扱いです。
ぜひ本記事の受給期間の一覧表と失権事由の並びを参考に、自分の区切りがいつ来るのかをカレンダーに書き込み、迷う点は年金事務所の窓口で確認してください。


