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相続の名義変更にかかる費用|登録免許税と報酬の内訳

相続の名義変更にかかる費用|登録免許税と報酬の内訳

相続で不動産の名義を変えるとき、国に納める登録免許税は不動産の価額の0.4%です(国税庁 タックスアンサーNo.7191/2026年9月時点)。固定資産税評価額1,000万円の土地なら4万円で、この部分は誰が計算しても同じ額になります。

金額が読みにくいのは司法書士報酬のほうです。

事務所ごとの料金表で決まり、不動産の個数や相続人の人数で加算されます。

見積書に「相続登記一式」とだけ書かれていると、国に納める実費と事務所の取り分が混ざったまま総額だけが目に入るため、高いのか安いのかを判断できません。

本記事では、登録免許税の計算式と端数処理・報酬と実費の切り分け方・見積書で抜けやすい費目・費用を誰が負担するかを解説します。

相続の名義変更にかかる費用は、登録免許税と報酬で性質が違う

名義変更の費用は、金額が動かないものと動くものの2つに分かれます。

国に納める登録免許税は不動産の評価額だけで決まるので、自分で申請しても司法書士に頼んでも同額です。

一方の報酬は依頼先が自由に決めるもので、同じ物件でも事務所によって差が出ます。

費目誰に払うか金額の決まり方
登録免許税国(法務局へ納付)不動産の価額×0.4%
司法書士報酬依頼した司法書士事務所の料金表、不動産の個数、相続人の人数など
戸籍謄本・住民票などの取得手数料市区町村1通あたりの手数料×通数
登記事項証明書の手数料法務局法務局が定める料金(請求方法で異なる)
郵送費・交通費運送会社など申請方法と窓口へ行く回数

実費は計算すれば誰でも同じ額になる

登録免許税の税率は法律で決まっているため、交渉の余地はありません。

戸籍や住民票の手数料も市区町村が条例で定めた額です。

総額のうちこの部分が占める割合は、評価額の高い不動産ほど大きくなります。

評価額が数千万円の実家なら、実費だけで十数万円になることもあります。

逆に評価額の低い土地なら、実費よりも報酬のほうが大きくなります。

報酬は見積もりを取るまで分からない

司法書士の報酬額は事務所ごとに設定されており、公的に決まった相場はありません。

同じ「相続登記」でも、戸籍の収集をこちらで済ませてから頼むのか、相続人の調査から遺産分割協議書の作成まで任せるのかで作業量がまったく違います。

見積もりを取るときは、依頼する範囲をそろえたうえで2〜3か所に出してください。

範囲がずれたまま金額だけを比べると、安く見えた事務所であとから戸籍収集の費用が加算されます。

自分で法務局に申請すれば報酬はかかりません。

実費だけで済みますが、戸籍を出生から死亡まで集める作業と、申請書の作成が自分の仕事になります。

不動産の名義変更を自分でやる手順で、法務局での申請の流れを解説しています。

登録免許税は固定資産税評価額の0.4%|端数の切り捨て方まで

課税標準は売買価格でも査定額でもない

計算のもとになる「不動産の価額」は、市町村の固定資産課税台帳に登録された価格です(国税庁 タックスアンサーNo.7191/2026年9月時点)。

不動産会社が出した査定額でも、近所の売買事例でもありません。

台帳に価格が登録されていない不動産については、登記官が認定した価額が使われます。

評価額は、毎年春に届く固定資産税の納税通知書に同封された課税明細書で確認できます。

手元に無ければ、その不動産がある市区町村で評価証明書を取得してください。

評価額は3年ごとに見直されるため、数年前の書類の数字をそのまま使うと税額がずれます。

1,000円未満と100円未満を切り捨てる

計算の順序は決まっています。

まず評価額の1,000円未満を切り捨て、その額に0.4%をかけ、出てきた税額の100円未満を切り捨てます。

評価額1,000万円の土地であれば、1,000万円×0.4%=4万円です。

土地と建物の両方を相続したときは、それぞれの評価額を合計してから税率をかけます。

不動産の個数が増えると、その分だけ課税標準の合計が増えます。

実家の敷地と建物に加えて、離れた場所の畑や、共有名義になっている私道の持分が残っていることもあります。

固定資産税の課税明細書に載っていない不動産がある場合もあるため、その市区町村が把握している所有不動産の一覧を窓口で確認しておくと、登記の漏れを防げます。

相続以外の原因で名義を変えると税率が上がる

同じ所有権移転登記でも、原因によって税率は違います。

登記の原因税率軽減措置
相続不動産の価額の0.4%なし
売買2%令和11年3月31日までは1.5%
贈与2%なし
交換2%なし

相続の0.4%は、売買や贈与の5分の1です。

生前に贈与で名義を移しておこうという話が親族間で出ることがありますが、登録免許税だけを見れば相続を待ったほうが安く、さらに贈与税の問題も別に生じます。

判断の材料がそろっていない段階で名義を動かさないでください。

名義変更の見積書で抜けやすいのは、実費と不動産の個数

「一式」と書かれた見積書は比べられない

複数の事務所から見積もりを取っても、書式がそろっていないと比較になりません。

確認したいのは、総額のうち登録免許税がいくらで、実費(戸籍・住民票・登記事項証明書・郵送費)がいくらで、報酬がいくらかという3つの区分です。

登録免許税は誰に頼んでも同額なので、事務所ごとに差が出るのは報酬の部分だけになります。

見積書に不動産の個数が書かれているかも見てください。

個数で加算する料金表を採用している事務所では、あとから私道の持分が見つかった時点で金額が変わります。

相続人の人数で加算する事務所もあります。

最初に登記事項証明書と課税明細書を渡し、対象の不動産をすべて洗い出した状態で見積もりを出してもらうほうが、後の食い違いが減ります。

削ると後で困るのは、相続人の調査と登記の漏れ

費用を抑えたいときに最初に浮かぶのは報酬ですが、削る順番を間違えると二度手間になります。

戸籍の収集を自分で引き受けるのは、時間と交通費で報酬を置き換える話なので理にかなっています。

出生から死亡までの戸籍は本籍地を移していると複数の市区町村にまたがり、郵送請求で1か月近くかかることもあります。

一方で、対象不動産の洗い出しと相続人の確定を省くと、あとで登記をやり直すことになります。

相続人が1人でも漏れていれば遺産分割協議はやり直しで、登記が通ったあとで判明すれば更正の手続きが必要です。

私道や田畑を登記し忘れた場合も、その不動産について改めて登録免許税と手数料を払うことになります。

相続人が海外にいる、前妻との間に子がいる、相続人の中に認知症の人がいるといった事情があるなら、報酬を払って専門家に任せる領域です。

名義を放置したまま次の相続が起きると、関係者が枝分かれして手続きがさらに重くなります。

相続した土地の名義変更で放置すると起きるリスクで解説しています。

名義変更の費用は誰が払うのか|取得する人か、相続人で分けるか

納めるのは登記を受ける人

登録免許税を納めるのは、登記によって権利を受ける人です。

実家を長男が単独で取得するなら長男が申請人になり、税額も長男が納めます。

兄弟で共有にするなら共有者全員が申請人です。

ここで問題になりやすいのは、不動産を取得しない相続人が「自分には関係ない費用」と考える

一方、取得する側は「実家の管理を引き受けるのだから費用は分担してほしい」と考える点です。

費用の負担は、相続人の間で取り決めれば自由に決められます。

遺産分割協議で不動産の分け方を話し合うときに、名義変更にかかる登録免許税と報酬をどう負担するかも一緒に決めて、協議書に書き込んでおいてください。

口頭の約束だけにしておくと、請求書が届いた段階で蒸し返されます。

協議の場に出す3つの数字

誰がいくら払うかの話は、数字が出ていない状態では前に進みません。話し合いの前に用意しておく資料は次の3つです。

  • 対象不動産の固定資産税評価額(課税明細書または評価証明書)
  • 固定資産税の年額(取得した人が翌年以降に払い続ける金額)
  • 不動産会社の査定額(売る選択肢を検討するなら)

評価額が分かれば登録免許税は計算できます。

固定資産税の年額を並べておくと、名義変更の費用が一度きりの支出で、維持費のほうが毎年続く負担だという比較ができます。

実家を売る前提なら、そもそも先に相続登記を済ませないと売却の登記に進めません。

実家を売るときの流れで、相続してから引き渡しまでの手順を解説しています。

内訳を自分の不動産に当てはめるなら、相続登記の費用計算に評価額と筆数を入れてください。

登記の3年と、相続税の10か月は別の期限

相続登記は2024年4月1日から義務になりました。

不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。

2024年4月1日より前に相続した不動産も対象で、その場合の期限は2027年3月31日になります。

相続税の申告と納付は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。

こちらのほうが先に来ます。

基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で、これを超えなければ申告そのものが不要です。

ただし配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って税額を0円にする場合は、申告しないと適用を受けられません。

相続税は誰にかかるのかで、基礎控除の考え方を解説しています。

相続による名義変更の登録免許税には、税率の軽減措置はありません。

自治体によっては相続に関する相談窓口や、空き家の活用に関する助成を設けている場合がありますが、内容も期限も市区町村ごとに違います。

お住まいの市区町村の窓口で確認してください。

よくある質問

登録免許税はいくらになるか、自分で計算できますか

できます。

固定資産税の課税明細書で評価額を確認し、1,000円未満を切り捨ててから0.4%をかけ、出た税額の100円未満を切り捨てます。

土地と建物があるときは評価額を合計してから計算してください。

課税明細書が見当たらない場合は、不動産がある市区町村で評価証明書を取得できます。

司法書士に頼まず自分で申請すれば、どれくらい費用が変わりますか

報酬の分がまるごと不要になり、登録免許税と書類の取得手数料などの実費だけになります。

報酬額は事務所ごとに違うため、差額は見積もりを取らないと分かりません。

そのかわり、出生から死亡までの戸籍の収集、相続関係説明図と遺産分割協議書の作成、申請書の記入が自分の作業になります。

不動産が複数あると費用は増えますか

登録免許税は評価額の合計に対してかかるため、不動産が増えれば税額も増えます。

司法書士報酬についても、不動産の個数で加算する料金表を採用している事務所があります。

管轄の法務局が分かれている場合は申請そのものが別々になるので、見積もりの段階で物件の一覧を渡してください。

名義変更をしないまま実家を売ることはできますか

できません。

売買による所有権移転登記は、現在の登記名義人から買主へ移す形で行います。

名義が亡くなった親のままでは売主になれないため、先に相続登記を済ませる必要があります。

売却のために相続登記を行う場合も、登録免許税は0.4%のままです。

3年の期限を過ぎるとどうなりますか

正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料の対象になります。

2024年4月1日より前に相続した不動産については、2027年3月31日が期限です。

遺産分割がまとまらず期限内に登記できない事情があるときの取り扱いを含め、相続の名義変更の期限と義務化の3年ルールで解説しています。

まとめ

名義変更の費用のうち、登録免許税は固定資産税評価額の0.4%で固定されています。

ここは誰に頼んでも変わらないので、見積書を比べるときに見るのは報酬と実費の区分です。

「一式」でまとめられた総額どうしを並べても、どちらが割高なのかは判断できません。

費用を抑えるなら、戸籍の収集を自分で引き受けるところから検討してください。

反対に、対象不動産の洗い出しと相続人の確定を省くと、登記のやり直しで結局は費用が増えます。

負担をどう分けるかは、遺産分割の話し合いのときに協議書へ書き込んでおくと後の争いを防げます。

ぜひ本記事の費用の内訳表と0.4%の計算式を手元に置いて、課税明細書の評価額から自分の家の登録免許税を出したうえで、司法書士の見積もりと照らし合わせてください。

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