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任意後見・成年後見の費用は誰が払う?兄弟で揉めないための決め方

任意後見・成年後見の費用は誰が払う?兄弟で揉めないための決め方

任意後見監督人の報酬は、子や兄弟の家計からではなく、本人(親)の財産から支払われます。額を決めるのも契約の相手ではなく家庭裁判所で、監督人が選ばれている間は毎年発生し続けます。

「払えない」という言葉が出てくる場面は、本人の年金と預金で足りるのかという話と、申立ての実費を兄弟の誰が立て替えるのかという話が混ざったときです。この2つは出どころも決める人も違うので、分けておくと数字の話に戻せます。

本記事では、費用が発生する3つの時点・任意後見監督人の報酬額を左右する要素・本人の資力が乏しいときの相談先・兄弟で先に共有する数字を解説します。

任意後見の費用は契約時・発効時・発効後の3つに分かれます

任意後見でお金が動くのは、公正証書で契約を結んだとき、本人の判断能力が落ちて家庭裁判所へ発効を申し立てたとき、そして任意後見監督人が選ばれた後の毎年です。

契約書を作った時点で支払いが終わるわけではありません。

長く続くのは3つ目で、ここを見落としたまま契約だけ済ませているケースがあります。

時点何にかかるか払う先額を決めるのは
契約時任意後見契約の公正証書を作る費用公証役場公証人の手数料の定め
発効時家庭裁判所への申立てに納める手数料、登記に関する手数料、診断書の作成料、鑑定が行われた場合の費用家庭裁判所・法務局・医療機関裁判所の定めと医療機関
発効後(継続)任意後見人への報酬任意後見人契約で定めた額
発効後(継続)任意後見監督人への報酬任意後見監督人家庭裁判所

契約を結んだだけでは監督人の報酬は発生しない

任意後見契約は、結んだ瞬間に効力が出るものではありません。

本人の判断能力が低下した段階で家庭裁判所に申し立て、任意後見監督人が選任されてはじめて任意後見人が動けるようになります。

契約から発効まで何年も空くことがあり、その間にかかるのは契約時の費用だけです。

発効までの手順は任意後見の手続きと公正証書の作成から発効までの流れで解説しています。

発効後に毎年出ていくのは2種類の報酬

発効後は、任意後見人への報酬と任意後見監督人への報酬という2つの支出が並びます。

前者は契約書で決めた額なので、契約前に自分たちで動かせます。

後者は家庭裁判所が決めるため、契約の段階では金額を確定できません。

ここが「いくらかかるか調べても出てこない」原因です。

それぞれの目安は任意後見制度の費用と毎月かかる報酬の目安で解説しています。

任意後見監督人の報酬額を左右するのは本人の財産と事務量

監督人の報酬は、あらかじめ決まった料金表があるわけではありません。

家庭裁判所が、本人の財産の規模や、その期間に監督人が行った事務の内容を踏まえて審判で定めます。

同じ制度を使っていても、管理する財産が預金だけの人と、収益不動産や複数の口座を持つ人とでは判断の材料が変わります。

額が動く要素

裁判所の判断材料になりやすいのは、次のような点です。

  • 任意後見人が管理している財産の額と内容
  • その期間に不動産の売却や施設への入所契約など、特別な事務があったかどうか
  • 本人の収支の状況

財産が少ない人に、財産が多い人と同じ額が機械的に課されるという仕組みではありません。

とはいえ、ゼロになるとも限りません。

監督人が選任されている限り、報酬付与の審判を経て本人の財産から支払う流れは続きます。

任意後見人を無報酬にしても、監督人の分は残る

子が任意後見人を引き受ける場合、契約書で報酬を定めずに無報酬とすることもできます。

身内が財産管理をするのだから報酬は不要、という判断です。

ただし、それで費用がゼロになるわけではありません。

監督人は本人が選ぶのではなく家庭裁判所が選任し、その報酬は本人の財産から出ます。

「親族が引き受ければお金はかからない」という前提で契約を進めると、発効後に想定していなかった支出が始まります。

見落とされやすいのは発効時の実費と、任意後見監督人の報酬が続く年数

費用の話でつまずくのは、毎年の報酬よりも、発効を申し立てるその月にまとまって出ていくお金のほうです。契約時に公証役場で払った金額しか記憶にないと、申立ての段階で現金が必要になることに気づけません。

申立てのときに現金で出ていくもの

家庭裁判所への申立てでは、手数料のほかに、本人の判断能力について医師が書く診断書が要ります。

裁判所が必要と判断した場合には鑑定が行われ、その費用も別にかかります。

戸籍謄本や住民票、本人の財産を示す資料の取り寄せにも実費が積み上がります。

これらは申し立てた人がいったん納める形になり、本人の財産から精算できるかどうかは家庭裁判所の判断です。

立て替えた人が自分の負担のままになる可能性を、兄弟間で先に共有しておくと後の話が早くなります。

報酬は本人が亡くなるまで続く

任意後見は、始まったら本人の判断能力が回復するか、本人が亡くなるまで続きます。

年単位の支出になるため、1年分の額だけを見ても実感は湧きません。

発効時点の本人の年齢から10年、15年と続いた場合の合計で考えると、判断が変わることがあります。

削ってはいけないのは公正証書と代理権の範囲

任意後見契約は公正証書で作らなければ効力を持ちません。

費用を抑えるために手書きの合意書で済ませるという選択肢はそもそもありません。

もう一つ削らないほうがいいのが、代理権の範囲です。

狭く絞りすぎると、いざ施設の入所契約や実家の売却が必要になったときに任意後見人が動けず、結局あらためて家庭裁判所へ申し立てることになります。

契約前の段階なら、他の手段と比べる余地もあります。

任意後見制度と家族信託の違いと選ぶ基準で解説しています。

払うのは本人の財産。足りないときの相談先は市区町村の窓口

監督人の報酬を「誰が払うのか」という問いへの答えは、本人の財産からです。

監督人が家庭裁判所へ報酬付与を申し立て、審判で額が決まったうえで、任意後見人が本人の口座から支払います。

子が自分の給与口座から毎月振り込む建て付けではありません。

先に見るのは本人の月々の収支

払えるかどうかを判断する材料は、親の年金の月額と、施設費・医療費・固定資産税などの支出です。

手元の預金残高だけを見ていると、毎月の収支が黒字なのか赤字なのかが分かりません。

年金でその月の支出がまかなえているなら、報酬は預金を取り崩す支出になります。

赤字が続いているなら、報酬の前に生活費の見通しそのものを立て直す段階です。

本人の資力が乏しいときは助成の有無を確認する

後見の申立てにかかる費用や、後見人・監督人の報酬の一部を助成する仕組みを設けている市区町村があります。

名称も、対象になる条件も、申請できる時期も自治体ごとに違います。

お住まいの市区町村の高齢福祉の窓口で確認してください。

申立ての後では間に合わない扱いの助成もあるため、申し立てる前に問い合わせておくほうが選択肢は広く残ります。

負担が重いという理由だけではやめられない

監督人が選任された後は、費用が重いからという理由だけで契約を終わらせることはできません。

解除には正当な事由と家庭裁判所の許可が要り、許可されるかどうかは裁判所の判断になります。

使い始める前に知っておきたい制約は任意後見のデメリットと使いにくいと言われる理由で解説しています。

兄弟で揉めないために、先に机の上へ出す数字

兄弟の話がこじれるのは、金額そのものより、誰が何を知っているかがばらばらな状態で話し始めたときです。

親と同居している側は施設費や医療費の実額を知っていて、離れて暮らす側は預金残高すら知りません。

この非対称のまま「報酬が高い」「そんなに払えない」と言い合っても、結論は出ません。

共有するのは本人の収支の4項目

話し合いの前にそろえるのは、次の数字です。

  • 親の年金の月額(振込通知書か通帳の記帳で確認できます)
  • 毎月の施設費・医療費・介護保険の自己負担
  • 預金の残高
  • 不動産の有無と固定資産税の年額

この4つがそろうと、報酬の負担が本人の財産で吸収できる範囲なのか、預金の取り崩しが何年続くのかを全員が同じ前提で見られます。感情の話に移る前に、数字を先に出しておくということです。

立て替えたお金は日付と費目で残す

診断書の作成料や戸籍の取り寄せなど、発効の申立てでは兄弟の誰かが現金を立て替えます。

領収書を保管し、立て替えた日付・費目・金額をメモに残してください。

後見が始まると、本人の財産と家族の財布は明確に分けて管理することになります。

あいまいな立て替えは、精算のときにも、後の相続の話し合いのときにも蒸し返されます。

実家の維持費を誰が出すかという論点も同じ構造で、実家じまいの費用を兄弟でどう分けるかで解説しています。

本人が亡くなると後見は終わり、相続の期限が動き出す

任意後見は本人の死亡で終了します。

そこから先は相続の手続きで、任意後見人だった人は管理していた財産を相続人へ引き継ぎます。

相続放棄は自分が相続人だと知った時から3か月以内、相続税の申告と納付は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。

後見の期間中に財産の全体像が把握できている家庭は、この局面で慌てずに済みます。

基礎控除の考え方は相続税の基礎控除と申告が必要になる分かれ目で解説しています。

よくある質問

任意後見監督人の報酬は、子どもが自分の口座から払うのですか

いいえ。

家庭裁判所の審判で定められた額を、本人の財産から支払います。

任意後見人が本人の口座から出金して支払う形になるため、子の家計から毎月出ていく性質のものではありません。

親の預金が少ない場合、任意後見監督人の報酬はどうなりますか

報酬額は家庭裁判所が本人の財産や事務の内容を踏まえて決めるため、資力に関係なく一律に課されるものではありません。

それでも支払いが難しいときのために、後見に関する費用を助成する仕組みを設けている市区町村があります。

対象も申請時期も自治体ごとに異なるので、申し立てる前に窓口で確認してください。

親族が任意後見人になれば、費用はかからないのですか

任意後見人への報酬は契約で決めるので、無報酬とすることもできます。

ただし任意後見監督人は家庭裁判所が選任し、その報酬は別に発生します。

親族が引き受けても、発効後の支出がゼロになるわけではありません。

任意後見監督人を付けずに、契約だけで進められますか

できません。

任意後見契約は、家庭裁判所が任意後見監督人を選任してはじめて効力が生じる仕組みです。

監督人を付けない選択をすると、契約は発効せず、任意後見人としての権限も生まれません。

報酬はいつ支払うのですか

監督人が家庭裁判所へ報酬付与を申し立て、審判で額が決まった後に、対象期間分をまとめて本人の財産から支払う流れになります。毎月自動で引き落とされるものではないため、支出のタイミングは一定ではありません。

兄弟の1人が申立ての費用を立て替えました。あとから精算できますか

本人の財産から精算できるかどうかは家庭裁判所の判断によります。

立て替えた日付・費目・金額を記録し、領収書を残しておいてください。

精算できない場合の扱いを、立て替える前に兄弟で決めておくと後の話が早く済みます。

まとめ

任意後見監督人の報酬は本人の財産から出るもので、額を決めるのは家庭裁判所です。

金額が調べても出てこないのは、本人の財産の規模や監督の事務量を踏まえて個別に定められるからで、料金表がないためです。

払えないと感じたときにまず見るのは預金残高ではなく、年金と支出の月々の収支になります。

兄弟で揉める原因は報酬の額そのものよりも、誰が何の数字を知っているかがそろっていない状態にあります。ぜひ本記事の費用が発生する3つの時点と、机の上に出す4つの数字を参考に、話し合いの前の材料をそろえてください。

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