遺族年金の請求はどこで?必要書類と年金事務所での流れ

死亡届を役所に出しても、遺族年金は自動では始まりません。
先に出すのは年金の受給停止の届け出で、厚生年金は死亡から10日以内、国民年金は14日以内と決まっています。
遺族年金の請求書はこれとは別の手続きで、添付する戸籍謄本も亡くなった日より後に取り直すことになります。
金額のほうは家族構成と納付記録で決まります。遺族基礎年金は子のある配偶者で年847,300円に子の加算額を足し、遺族厚生年金は亡くなった人の報酬比例部分の4分の3です(日本年金機構/2026年9月時点)。
本記事では、請求先が年金事務所か市区町村かの分かれ目と、戸籍や住民票の取り寄せ先、年金額の計算の考え方を解説します。
遺族年金の請求は、年金の受給停止の届け出から始まる
亡くなった人が年金を受け取っていた場合、最初に出すのは受給を止める届け出です。
日本年金機構では、厚生年金は死亡から10日以内、国民年金は14日以内に年金事務所または市区町村へ届け出るとされています。
ここを飛ばして遺族年金の請求書だけを出すことはできません。
亡くなった人の記録が生存扱いのままだと、遺族側の審査が進まないからです。
| 順番 | やること | 出す先・取りに行く先 | 期限の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 年金の受給停止の届け出 | 年金事務所または市区町村 | 厚生年金は死亡から10日以内、国民年金は14日以内 |
| 2 | どちらの遺族年金が出るかの確認 | 年金事務所(相談は予約制のことが多い) | 受給停止の届け出と同じ機会でよい |
| 3 | 戸籍・住民票などの取り寄せ | 本籍地・住所地の市区町村 | 戸籍は亡くなった日より後に交付されたものを取る |
| 4 | 年金請求書の提出 | 年金事務所または市区町村 | 書類がそろってから |
| 5 | 年金証書の受け取りと初回振込 | 郵送で届く | 審査が終わってから |
どちらの遺族年金が出るかで、行く窓口が変わる
2の確認を先に済ませる理由は、請求先がここで決まるためです。
亡くなった人が自営業や無職で国民年金だけに入っていたなら、出るのは遺族基礎年金だけになります。
会社員や公務員として厚生年金に入っていた期間があれば、遺族厚生年金が加わります。
前者の請求は市区町村の国民年金の窓口、後者が絡む請求は年金事務所という分かれ方です。
遺族基礎年金には、受け取れる人の条件そのものに制限があります。
対象は子のある配偶者か子で、この「子」は18歳になった年度の3月31日まで(障害等級1級・2級なら20歳未満)に限られます。
子がいない配偶者には遺族基礎年金は出ません。
どちらの年金が出るかは亡くなった人が加入していた制度と家族構成で決まり、遺族年金を受け取れる人の条件で解説しています。
遺族年金の請求に要る書類は、市区町村と手元の書類に分かれる
年金請求書に添える書類は、取りに行く窓口ごとにまとめると動きが一度で済みます。
以下は一般的に求められるものですが、家族構成や死亡の事情で追加を求められることがあります。
提出前に年金事務所か市区町村の窓口で、自分の場合の一覧を出してもらってください。
手数料と発行までの日数も市区町村で違います。
年金請求書と、基礎年金番号が分かるもの
年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)は、年金事務所や市区町村の窓口で受け取れます。
日本年金機構のサイトからも様式を入手できます。
記入欄には亡くなった人と請求する人の基礎年金番号を書くので、年金手帳か基礎年金番号通知書、年金証書を探しておきます。
番号が分からなくても、窓口で本人確認のうえ調べてもらえます。
戸籍謄本は本籍地の市区町村で取る
戸籍謄本は、亡くなった事実と、請求する人が配偶者や子であることを確認するために使います。
交付日に条件があり、亡くなった日より後に取ったものでないと受け付けられません。
葬儀の前後に取った戸籍を流用できない点には注意してください。
本籍地が住所地と違う場合は、その市区町村へ郵送請求することになり、往復の日数がかかります。
婚姻や転籍で本籍が動いていると、続柄をたどるために複数の役所から取り寄せることもあります。
住民票と、亡くなった人の住民票の除票
請求する人と亡くなった人が同じ生計だったことを示すため、世帯全員の住民票の写しと、亡くなった人の住民票の除票を住所地の市区町村で取ります。
年金請求書にマイナンバーを記入すると、この2点の添付を省略できる場合があります。
省略できるかどうかは窓口で確認するのが早いでしょう。
収入が分かる書類、在学の証明、振込先の口座
子や配偶者が生計を維持されていたかを見るため、所得証明書や課税(非課税)証明書、源泉徴収票などの提出を求められます。
高校生の子がいる場合は在学証明書か学生証の写しが必要です。
あわせて、年金の振込先になる金融機関の通帳やキャッシュカードの写しを用意します。
死因が交通事故など第三者の行為によるときは、事故証明や損害賠償の状況に関する書類が追加されます。
請求先は年金事務所か市区町村か、遺族年金の種類で分かれる
遺族厚生年金が含まれる請求は、年金事務所または街角の年金相談センターへ出します。
遺族基礎年金だけの請求は、住所地の市区町村の窓口で受け付けます。
どちらも平日の日中が基本の受付時間で、相談は予約制を取っている窓口が多いため、行く前に電話で確認しておくと待ち時間が読めます。
窓口へ行くのは請求する本人が原則です。
体調や仕事の都合で行けないときは、委任状と代理人の本人確認書類をそろえれば代理人でも手続きできます。
郵送で提出する方法もありますが、記入漏れや添付書類の不足があると書類が返送され、そのぶん初回の振込が後ろにずれます。
戸籍の枚数が多い場合や、加入歴が複数ある場合は、窓口でその場で確認してもらうほうが往復が減ります。
時期については、期限が切られているものと、実務上早く動いたほうがよいものを分けて考えます。
期限があるのは受給停止の届け出で、厚生年金10日・国民年金14日という日数です。
遺族年金の請求そのものは書類がそろってからになりますが、請求できる期間には制限があるため、事情があって出せないまま時間がたっている場合は年金事務所へ状況を伝えてください。
この時期は銀行の手続きと重なります。
金融機関が死亡を把握すると口座からの出金が止まるため、年金の振込先に指定する口座と、公共料金の引き落とし口座を同じにしていると生活費の動きが止まります。
亡くなった人の口座が凍結される流れで解説しています。
遺族年金の計算方法は、基礎年金の定額と厚生年金の4分の3を足す
金額は交渉で決まるものではなく、制度ごとの式に当てはめて出ます。遺族基礎年金は全員同額の定額に子の人数分を加算する形で、遺族厚生年金は亡くなった人の報酬比例部分から計算します。
| 区分 | 金額・計算方法 |
|---|---|
| 遺族基礎年金(子のある配偶者) | 847,300円(昭和31年4月1日以前生まれは844,900円) |
| 子の加算額 | 1人目・2人目は各243,800円、3人目以降は各81,300円 |
| 遺族厚生年金 | 亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3 |
| 中高齢寡婦加算 | 年額635,500円 |
金額は2026年4月分からの額です(日本年金機構 遺族基礎年金・遺族厚生年金/2026年9月時点)。
子が2人いる配偶者なら、847,300円に243,800円を2人分足した額が遺族基礎年金になります。
厚生年金の加入期間があれば、そこへ遺族厚生年金が上乗せされます。
計算で分かりにくいのは遺族厚生年金です。
報酬比例部分は在職中の給与と加入月数で決まるため、自分では出せません。
ただし救済の仕組みがあり、厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満で亡くなった場合は、300月とみなして計算します。
若いうちに亡くなって加入期間が短くても、期間の短さだけで極端に低くならない作りです。
夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で子のいない妻などには、40歳から65歳になるまで中高齢寡婦加算が付きます。
子が18歳到達年度の3月31日を過ぎて遺族基礎年金が終わったあと、この加算に切り替わる形になる場合もあります。
一方、子のない30歳未満の妻が受け取れる遺族厚生年金は5年間だけという制限があります。
家族構成別の目安は妻・子ども別の受給額の早見表で解説しています。
受け取る年金額が少ない場合は、年金に上乗せされる給付金の対象になることもあります。
判定に使うのは受け取る人の前年の所得なので、年金額とは別の基準です。
年金生活者支援給付金を遺族年金と一緒に受け取る条件で解説しています。
遺族年金の手続きが止まるのは、納付要件の確認と戸籍の取り寄せ
書類を出したのに審査が進まない、あるいは請求できないと言われる場面には、決まった理由があります。
保険料の納付要件を満たしていない
遺族基礎年金には保険料の納付要件があり、保険料納付済期間(免除期間を含む)が国民年金の加入期間の3分の2以上あることが原則です。
これを満たさない場合でも、死亡日が2036年3月末日までで、亡くなった人が65歳未満であれば、死亡月の前々月までの直近1年間に未納が無ければ要件を満たします。
未納があるかどうかは年金事務所で記録を確認できます。
免除の手続きを取っていた期間は未納ではないため、自己判断で諦めずに記録を照会してください。
自分より上の順位の遺族がいる
遺族厚生年金には受け取る順位があり、上位の人がいる間は下位の人は受け取れません。順位は次のとおりです。
- 子のある配偶者
- 子
- 子のない配偶者
- 父母
- 孫
- 祖父母
親が亡くなって子である自分が請求しようとしても、存命の配偶者(自分の親)がいれば、その配偶者が受け取ります。兄弟で分けるものでもありません。
戸籍が一度の請求ではそろわない
本籍地を移した回数が多い家族は、続柄をたどるために複数の市区町村へ請求することになります。
郵送で取り寄せると、定額小為替の準備と返送で日数がかかります。
先に年金事務所で「どの範囲の戸籍が要るか」を確認してから取り寄せると、足りない分をもう一度請求する手間が減ります。
受給が始まったあとも、終わる条件は制度で決まっています。
子が18歳到達年度の3月31日を過ぎたとき、再婚したときなどが節目です。
遺族年金の受給が終わる条件と再婚したときの扱いで解説しています。
自分で請求するか、社会保険労務士に頼むか
書類を集めて窓口へ持ち込む作業自体は、専門知識が要るものではありません。
亡くなった人が会社員一社だけの勤務で、配偶者が同居していて、本籍地も動いていないなら、戸籍と住民票を取って請求書を書けば手続きは進みます。
年金事務所の窓口では記入方法も教えてもらえます。
判断が分かれるのは、記録の確認に手間がかかる場合です。
転職が多くて厚生年金の加入歴が複数ある、共済年金の期間がある、離婚や再婚があって戸籍が複雑、亡くなった人が海外で働いていた期間があるといった事情があると、記録の突き合わせだけで何度も窓口へ通うことになります。
仕事を休んで平日に動ける回数が限られているなら、社会保険労務士に依頼して書類の収集と申請を任せる選択があります。
年金の請求代行を扱えるのは社会保険労務士で、税金の申告は税理士、遺産分割の争いは弁護士という分かれ方です。
依頼する場合、報酬の決め方は事務所ごとに違います。
着手金と成功報酬の組み合わせか、定額かで総額が変わるので、依頼する前に見積もりを書面で受け取ってください。
戸籍の取り寄せ手数料や郵送費が実費として別に請求されるかどうかも、そこで確認します。
全部を渡さずに、戸籍と住民票は自分で取り、請求書の作成と窓口対応だけを頼むという分け方もできます。
よくある質問
遺族年金の請求はどこの窓口に行けばよいですか
亡くなった人に厚生年金の加入期間があるなら、年金事務所または街角の年金相談センターです。
国民年金だけだった場合は、住所地の市区町村の国民年金の窓口で受け付けます。
加入歴が分からないときは、年金事務所で記録を確認してもらえます。
遺族年金の請求は郵送や代理人でもできますか
どちらも可能です。
代理人が行く場合は委任状と代理人の本人確認書類が必要になります。
郵送は書類の不備があると返送されて時間がかかるため、戸籍の枚数が多い場合は窓口で確認してもらうほうが往復が減ります。
遺族年金の計算方法で出てくる300月みなしとは何ですか
遺族厚生年金は亡くなった人の報酬比例部分の4分の3で計算しますが、厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満のときは300月として計算する決まりです。加入期間が短い時期に亡くなった場合でも、期間の短さだけで年金額が極端に下がらないようにするためです。
子が18歳になったら遺族年金は止まりますか
遺族基礎年金の対象になる子は、18歳になった年度の3月31日まで(障害等級1級・2級なら20歳未満)です。
その日を過ぎると、子のある配偶者としての遺族基礎年金は終わります。
遺族厚生年金は別の制度なので、条件を満たせば続きます。
妻が40歳以上65歳未満であれば、中高齢寡婦加算が付く場合もあります。
保険料に未納があると遺族年金は受け取れませんか
未納があっても受け取れる場合があります。
原則は加入期間の3分の2以上が納付済み(免除期間を含む)であることですが、死亡日が2036年3月末日までで亡くなった人が65歳未満なら、死亡月の前々月までの直近1年間に未納が無ければ要件を満たします。
免除申請をしていた期間は未納とは扱われないため、まず年金事務所で納付記録を照会してください。
まとめ
遺族年金の請求は、受給停止の届け出(厚生年金10日・国民年金14日)を出したうえで、亡くなった人の加入制度に応じて年金事務所か市区町村へ請求書を持ち込む流れになります。
金額は交渉の余地がなく、遺族基礎年金の定額と子の加算、遺族厚生年金の報酬比例部分の4分の3という式で決まります。
手続きが止まるのはたいてい戸籍の取り寄せと納付記録の確認で、どちらも先に窓口で必要な範囲を聞いておけば往復が減ります。
ぜひ本記事の請求の流れの表と書類ごとの取り寄せ先を参考に、まず年金事務所へ相談の予約を入れて、自分の場合に必要な書類の一覧を確認してください。


