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相続した車の名義変更|必要書類と運輸支局での手続きの流れ

相続した車の名義変更|必要書類と運輸支局での手続きの流れ

車検証(自動車検査証)を出して、「所有者の氏名または名称」の欄を見てください。

ここが親の名前なら、相続人の間で決めたとおりに名義を移せます。

販売店や信販会社の名前が入っていれば、その車はまだ残債の担保になっている状態で、相続人どうしで話し合っても名義は動きません。

所有者が親本人だった場合、次にやることは書類集めではなく、誰が引き継ぐのかを1人に決めることです。

本記事では、車検証で最初に確かめる欄・戸籍と印鑑証明書の取り寄せ先・運輸支局での申請の進め方・軽自動車や売却する場合の違いまで解説します。

相続した車の名義変更は、車検証の所有者欄から始まります

相続で車の名義を変える手続きは、正式には移転登録と呼ばれるものです。

窓口は普通車なら運輸支局、軽自動車なら軽自動車検査協会で、どちらも平日のみの受付になります。

全体はおおよそ次の順番で進みます。

順番やること相手・窓口
1車検証で所有者と使用者を確認する手元の車検証
2誰が引き継ぐか、売るかを相続人全員で決める相続人
3戸籍と印鑑証明書を集め、遺産分割協議書を作る市区町村
4保管場所が変わるなら車庫証明を取る警察署
5移転登録を申請し、新しい車検証を受け取る運輸支局/軽自動車検査協会
6自動車税の申告と、任意保険の名義変更をする窓口内の税務担当・保険会社

実際にかかる時間の大半は3番です。

運輸支局での申請自体は書類が揃っていれば1日で終わりますが、戸籍を郵送で取り寄せると往復に日数がかかり、相続人が遠方にいれば協議書の郵送も重なります。

逆に言えば、窓口へ行く日を先に決めても意味がありません。

書類が1枚欠けていれば、その日は受け付けてもらえないためです。

所有者欄が信販会社やリース会社になっていた場合は、ここまでの流れに入る前にもう一段あります。

残債が残っていればその精算、完済していれば所有権解除の書類を発行してもらう依頼です。

会社によって必要書類も送付先も違うので、車検証に書かれた社名で問い合わせ先を調べてください。

名義変更の前に、引き継ぐ人を1人に決める

車は相続財産のひとつで、預金や不動産と同じように遺産分割の対象になります。

相続人が3人いるからといって3人の共有名義にする必要はなく、実務では1人の名義にするのが普通です。

共有で登録すると、次に売るときも廃車にするときも全員の実印と印鑑証明書が要ることになります。

遺言書がある場合は、まずそちらの内容が優先します。

ただし自筆証書遺言と秘密証書遺言は、封を開けずに家庭裁判所へ持ち込んで検認を受けなければなりません(民法1004条)。

公正証書遺言と、法務局の自筆証書遺言書保管制度を使ったものは検認が不要です。

開封してしまうと過料の対象になり得るので、封のある遺言書が出てきたら手を止めてください。

誰も乗らないと決まっているとき

売却や廃車が前提でも、故人の名義のままでは処分できません。

いったん相続人の1人の名義に移してから売る方法と、相続人全員の署名押印を揃えて買主の名義へ直接移す方法があります。

後者を扱えるかは買取業者と管轄の運輸支局で確認してください。

手続きの手数は減りますが、必要書類の組み合わせが変わります。

兄弟のあいだで「誰が乗るか」がまとまらないときは、感情の話ではなく金額の話にしてしまうほうが早いです。

買取店の査定額を1〜2社から取り、その金額を前提に、乗る人が他の相続人へその分を金銭で渡すか、遺産全体の取り分で調整するかを決めます。

車1台のために全体の話が止まるのを避けたいなら、遺産の分け方と法定相続分の考え方で解説している「法定相続分どおりに分けなくてよい」という前提を先に共有しておくと話が進みます。

相続の名義変更に必要な書類は、車・戸籍・実印の3か所から集める

集める先が3方向に分かれているので、同時に動かすと早く終わります。

普通車で、相続人の1人が引き継ぐ場合に必要になるのは次のものです。

手数料や交付までの日数は市区町村や警察署によって違うため、取りに行く前に窓口へ確認してください。

書類取り寄せ先気をつける点
自動車検査証(車検証)手元有効期限が切れていると移転登録ができません
戸籍謄本・除籍謄本本籍地の市区町村亡くなった事実と、相続人全員が分かる内容が必要です
遺産分割協議書相続人が作成相続人全員の署名と実印を押します
印鑑証明書住所地の市区町村協議書に実印を押した相続人の分を用意します
自動車保管場所証明書(車庫証明)保管場所を管轄する警察署保管場所が変わるときに必要です
移転登録申請書・手数料納付書・税の申告書運輸支局の窓口当日その場で記入します
委任状相続人が作成本人以外が窓口へ行く場合に必要です

戸籍は「亡くなった人」と「相続人全員」の2方向で必要

戸籍でやることは、親が亡くなったことの証明と、相続人がこの人たちで全員だという証明の2つです。

親の最後の本籍地で除籍謄本を取り、そこから結婚や転籍でさかのぼって、出生までつながる戸籍を集めます。

本籍地が引っ越しのたびに変わっている家では、複数の市区町村へ請求することになります。

本籍地が遠方でも窓口へ行く必要はなく、郵送で請求できます。

定額小為替を同封する形式が多いので、郵便局へ寄る手間も見ておいてください。

この戸籍の束は、預金の解約や相続登記でも同じものを使います。

返却してもらえる原本還付の扱いがあるため、車の手続きだけのために取り直す前に、他の手続きで使った原本が戻っているかを確認してください。

印鑑証明書と実印は、押す人の分だけ揃える

遺産分割協議書には相続人全員が実印を押し、その全員分の印鑑証明書を添えます。

印鑑証明書には発行からの有効期間が定められているので、協議書の郵送に時間がかかりそうな家では、先に取ってしまうと期限切れになることがあります。

全員の署名が揃う見通しが立ってから取るほうが無駄になりません。

車庫証明が要るのは、保管場所が変わるとき

実家の駐車場にそのまま置き続けるなら車庫証明は不要ですが、引き継ぐ人の自宅へ移すなら必要になります。

申請してから交付まで数日かかり、交付にも有効期間があります。

軽自動車は保管場所の届出が必要な地域と不要な地域があるため、移す先の警察署に確認してください。

運輸支局では、車を持ち込む必要があるかどうかで所要時間が変わります

申請先は、新しく使用者になる人の住所地を管轄する運輸支局です。

窓口へ行くのは相続人本人でもよく、委任状があれば家族や行政書士などの代理人でも受け付けられます。

当日の流れは、申請書と手数料納付書を記入して検査登録の窓口へ出し、新しい車検証を受け取り、その足で同じ敷地内にある税の申告窓口へ回る形になります。

問題になりやすいのは、管轄が変わってナンバープレートが変わるケースです。

前後のプレートを付け替え、後ろのプレートには封印を取り付けることになるため、その車自体を運輸支局へ持ち込まなければなりません。

車検が切れている車は自走できないので、積載車の手配が別に必要です。

管轄が変わらず番号もそのままなら、書類だけで済みます。

郵送やオンラインで完結させたいという相談は多いのですが、相続を原因とする移転登録は窓口での手続きが基本です。電子申請の対応範囲は変わっていくので、遠方から動かしたい事情があるなら、申請先の運輸支局へ直接聞いてください。

軽自動車は窓口も書類も別

軽自動車の名義変更は軽自動車検査協会が窓口で、普通車とは必要書類が違います。

相続を証明する戸籍は求められますが、遺産分割協議書までは要らない扱いになることもあり、印鑑証明書や実印が不要なケースもあります。

普通車の書類を一式そろえてから「これは要りません」と言われるのは時間の無駄なので、先に管轄の事務所へ確認してください。

名義変更を後回しにすると、税金と保険のところで止まります

相続の手続きには法律で切られた期限がいくつもあり、そのうち車に直接関わるのは相続税です。

相続税の申告と納付は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条)。

車も相続財産に含めて計算するため、遺産の総額が基礎控除を超えそうな家では、車の扱いだけ未定のまま置いておくわけにはいきません。

基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で、相続人が3人なら4,800万円になります。

この線を下回るかどうかの見当は、相続税の基礎控除と対象になる人の考え方で解説しています。

もうひとつ注意したいのが相続放棄です。

放棄の申述は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内で(民法915条)、起算日は亡くなった日ではありません。

借金の有無がまだ分からず放棄も選択肢に残しているなら、車を売ったり乗り回したりする前に弁護士へ相談してください。

相続財産を処分した行為が、相続を承認したものとみなされる場合があります。

期限の定めとは別に、名義を放置すると実生活のほうで支障が出ます。

自動車税の納税通知書は登録上の名義人へ届き続けるため、実家が空き家なら通知そのものに気づけません。

任意保険は契約者と車の所有者が亡くなったままの状態だと、事故のときに支払いの扱いを確認されることになります。

売却も廃車も名義が親のままではできず、車検の更新も止まります。

年金や健康保険の届出で役所を回っている時期に、遺族年金の受給条件と金額の考え方で解説している届出とあわせて、車の名義をいつ動かすかも決めておくと二度手間が減ります。

つまずくのは所有者がローン会社のときと、相続人がそろわないとき

書類の不備で止まるのは一度出直せば済みますが、ここから挙げる4つは自力での解決に時間がかかります。

  • 所有者が信販会社や販売店のまま残っている(残債の精算と所有権解除が先になります)
  • 親の前の名義人、たとえば祖父の名前が車検証に残っている(相続が二段重ねになり、上の世代の相続人まで関係します)
  • 相続人の1人が協議書に署名しない、連絡が取れない
  • 相続人が海外に住んでいて印鑑証明書が取れない(領事館のサイン証明などで代える扱いになります)

署名がもらえない相手がいる場合、車1台のために説得を続けるより、遺産全体の分割協議として家庭裁判所の調停を検討する段階に入っています。個別の分け方が認められるかどうかの判断は弁護士の仕事なので、こちらで結論を出そうとしないでください。

自分でやる範囲と、外注する範囲の切り分け

戸籍と印鑑証明書を集めるところまでは、市区町村への請求なので誰でもできます。

逆に、平日に運輸支局へ行けない、ナンバーの付け替えで車を持ち込めない、といった事情があるなら、そこだけを行政書士やディーラーに頼む形が現実的です。

全部を丸ごと任せると、戸籍の請求まで代行費用に乗ってきます。

見積もりを取るときは、代行手数料と、法定の手数料や税金を分けて示してもらってください。

総額だけの提示だと、比べようがありません。

数次相続や海外在住の相続人が絡む場合は、戸籍の判断が必要になるため司法書士や行政書士に相談する段階です。

よくある質問

遺産分割協議書は相続人全員の実印が必要ですか

普通車の移転登録では、相続人全員の署名と実印、そして全員分の印鑑証明書を求められるのが原則です。

車の査定額が一定額以下の場合に、相続人1人の署名で足りる簡易な書式が用意されていることもありますが、条件は運輸支局で確認してください。

金額の線引きは制度改正で変わります。

車を売る予定でも名義変更は必要ですか

亡くなった人の名義のままでは売却も廃車もできないため、何らかの形で名義を動かす手続きは避けられません。

相続人の1人へ移してから売るか、買主の名義へ直接移すかの選択になります。

買取店に売る場合は、どちらの方式で進めるかを契約前に確認してください。

軽自動車も同じ書類でできますか

窓口が軽自動車検査協会になり、必要書類も普通車とは異なります。

遺産分割協議書や印鑑証明書が不要な扱いになることもあるため、普通車の一式をそろえる前に管轄の事務所へ確認するほうが早く終わります。

保管場所の届出が必要かどうかも地域によって違います。

相続放棄を考えているのですが、車に乗ってよいですか

相続財産を使ったり処分したりした行為が、相続を承認したものとみなされる場合があります。

放棄の申述期限は、自分が相続人だと知った時から3か月です。

期限内に家庭裁判所へ伸長を申し立てることもできるので、借金の調査が終わっていない段階なら、車には手をつけずに弁護士へ相談してください。

ナンバープレートは必ず変わりますか

変わるのは管轄の運輸支局が変わるときです。

同じ管轄内で名義だけを移すなら、番号もプレートもそのままで、車を持ち込む必要もありません。

管轄をまたぐ場合はプレートの交換と封印の取り付けがあるため、車ごと運輸支局へ行く日を確保してください。

親が生きているうちにできることはありますか

車検証の所有者欄を確認して、ローンが残っていないかを親と一緒に見ておくだけでも、亡くなったあとの手戻りが減ります。保管場所と保険会社、車検の時期をメモに残す形なら、エンディングノートに書くべき項目で解説している資産の一覧に含めて書けます。

まとめ

相続した車の名義変更は、車検証の所有者欄を見て相手を確かめ、引き継ぐ人を1人に決め、戸籍と印鑑証明書と協議書をそろえて運輸支局へ持っていく、という順番で進みます。

時間がかかるのは書類集めのほうで、窓口の手続きは1日で終わります。

相続税の申告が10か月、放棄の判断が3か月という期限に引っかかる家では、車の扱いを未定のまま残さないでください。

ぜひ本記事の必要書類の表と取り寄せ先を手元に置いて、戸籍の請求と保管場所の確認から動き出してください。

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