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相続を弁護士に頼む費用はいくら?着手金と報酬の相場

相続を弁護士に頼む費用はいくら?着手金と報酬の相場

見積書に「着手金」「報酬金」「日当」と並んでいても、その金額が高いのか安いのかは、それだけ眺めても判断できません。

相続の弁護士費用には公の基準がなく、各事務所が自由に決めているためです。

読者が確かめられるのは金額の高低ではなく、何に対していくら請求され、どこから先が追加になるのかという内訳です。

費用が心配で相談自体を止めているなら、法テラスの無料法律相談という入口もあります。

資力基準を満たせば、同一の問題について3回まで、1回30分を無料で使えます。

本記事では、着手金と報酬金の切り分け・総額を動かす遺産の額と手続きの段階・追加請求になりやすい実費と段階ごとの着手金・法テラスの資力基準まで解説します。

相続の弁護士費用に公定価格はない|まず着手金と報酬金を切り分ける

弁護士費用は、一つの金額としてまとめて示されるものではありません。

相談料・着手金・報酬金・実費に分かれ、請求される時期もそれぞれ違います。

報酬の額を決める公の基準はなく、各事務所が自ら定めているため、同じ遺産分割の依頼でも見積書の金額は事務所ごとに変わります。

比べるときは総額ではなく、この費目ごとに並べてください。

費目払う時期何で決まるか
相談料面談のとき時間単位で設定されるのが一般的。無料相談を設けている事務所もある
着手金契約のとき争いの対象になっている財産の額(経済的利益)と、交渉・調停・審判のどの段階から入るか
報酬金解決したあと実際に取得できた額、または交渉で増やせた額
日当出張のたび裁判所や現地までの距離と、拘束される時間
実費随時または終了時に精算戸籍謄本の取得費、収入印紙、郵券、交通費など実際に出た額

着手金は結果にかかわらず戻らない

着手金は、弁護士が動き出すための費用です。

望んだ結果にならなくても返還されません。

ここを「成功したら払うお金」と誤解したまま契約すると、途中で方針が合わなくなったときに揉めます。

契約前に、着手金の対象がどこまでの業務なのかを聞いてください。

遺産分割の交渉までなのか、調停の申立てまで含むのかで、後から追加が出るかどうかが変わります。

報酬金の土台になる「経済的利益」の取り方で総額が変わる

報酬金は解決の程度に応じて支払うもので、その計算の土台が経済的利益です。

同じ結果でも、取得した遺産の額そのものを土台にするのか、交渉によって増やせた差額だけを土台にするのかで、金額はまったく違ってきます。

相手の当初の提案とほぼ変わらない額で決着した場合、前者の定め方だと報酬が大きく膨らみます。

契約書のどちらの書き方になっているかは、署名する前に確認しておきたい一点です。

実費は報酬と別に出ていく

実費は弁護士の収入ではなく、手続きに実際にかかる費用の立替分です。

相続人の数が多いほど戸籍の取り寄せ先が増え、遠方の役所とやり取りする郵送費も積み上がります。

不動産の評価で意見が分かれて鑑定に進めば、鑑定費用も実費として別に発生します。

見積書に「実費は別途」とだけ書かれている場合、その別途がどこまで含むのかを聞いておいてください。

弁護士費用の総額は、遺産の額と「どこまで争うか」で動く

総額を左右する最大の要素は、争いの対象になっている財産がいくらかという点です。

着手金も報酬金も経済的利益に連動する形が多く、遺産の規模が大きくなれば費用も上がります。

次に大きいのが、手続きがどの段階まで進むかという点になります。

相続人同士の交渉でまとまれば、そこで終わりです。

まとまらなければ家庭裁判所の調停へ進み、月1回前後の期日が続きます。

調停でも合意できなければ審判です。

段階が上がるたびに弁護士の作業量は増え、契約によっては着手金が追加されます。

相続人が全国に散っている場合や、遺産に評価の難しい不動産や非上場株式が含まれる場合も、必要な資料が増えるぶん費用は上振れします。

もう一つ、意外に費用を押し上げるのが時間の余裕のなさです。

期限が迫った状態で駆け込むと、調査と交渉を同時に進めることになり、書類の取り寄せを急ぐための費用もかさみます。

相続には法律で切られた期限がいくつもあります。

  • 相続放棄・限定承認は、自分が相続人だと知った時から3か月(民法915条)
  • 準確定申告は、相続の開始を知った日の翌日から4か月
  • 相続税の申告・納付は、相続の開始を知った日の翌日から10か月
  • 遺留分(いりゅうぶん)侵害額請求は、相続の開始と侵害を知った時から1年
  • 相続登記は、不動産を取得したことを知った日から3年(2024年4月1日より前に相続した分は2027年3月31日まで)

相続放棄の3か月は「亡くなった日から」ではありません。

期間内であれば家庭裁判所に伸長を申し立てられますが、過ぎてから相談しても打てる手は限られます。

費用を抑えたいなら、まず時間を残すことです。

見積書で抜けやすいのは、段階ごとの追加着手金と実費の精算

提示された金額が予算に収まっていても、それは「交渉が一度でまとまった場合」の金額かもしれません。後から増えるのは、たいてい次の3か所です。

調停に進んだときの追加着手金

交渉から調停、調停から審判へ移るたびに着手金を追加する契約と、着手時の一括で最後まで見る契約があります。

前者なら、調停まで進んだ場合の追加額を今の時点で聞いておいてください。

「そのときに相談しましょう」で流されたまま契約すると、進むか引くかの判断を金額が分からない状態でしなければなりません。

相手方が弁護士を立てている場合、交渉だけで終わる見込みは下がります。

消費税と日当の扱い

見積書の金額が税別で、後から総額が変わることがあります。

遠方の家庭裁判所へ出向く案件では、期日ごとの日当と交通費が積み上がる形になります。

実家が遠方にあり、被相続人の住所地の裁判所が管轄になるケースは、この負担が読みにくい部分です。

期日1回あたりいくらかかるのかを、契約前に数字で確認してください。

登記と申告は弁護士費用の外にある

遺産分割がまとまった後には、不動産の相続登記と、必要なら相続税の申告が残ります。

登記を司法書士、申告を税理士に回すなら、その報酬と登録免許税は弁護士費用とは別の支出です。

同じ事務所内で完結すると説明された場合も、誰にいくら払うのかを分けて示してもらうほうが後で揺れません。

契約前の確認事項をまとめて知りたい場合は、相続に強い専門家の選び方で、費用の聞き方を含めた5つの視点を解説しています。

依頼後に後悔した典型的なパターンは、相続を専門家に頼んで失敗する例で解説しています。

弁護士費用は依頼した人が払う|兄弟で分担するなら着手前に書面へ

弁護士費用を負担するのは、その弁護士に依頼した本人です。

相続人の1人が代理人を頼んだのであれば、その1人が支払義務を負います。

故人の預金から出せばいいと考える人がいますが、遺産分割が終わる前の預金は相続人全員のもので、自分の代理人の費用に充てれば他の相続人の取り分を削ることになります。

全員の同意がないまま動かすのは避けてください。

兄弟が同じ方向を向いているなら、共同で1人の弁護士に依頼して費用を分け合う形もあります。

ただし、途中で兄弟間の主張が食い違ってくると、利益が相反するため弁護士は両方の代理を続けられません。

その時点で片方が別の弁護士を探し直すことになり、費用は二重にかかります。

共同で依頼するときは、誰がいくら負担するのか、途中で意見が割れた場合はどう精算するのかを、着手前に書面にしておいてください。

なお、支払った弁護士費用を相続税の計算で差し引けるかどうかは別の論点です。

債務控除の対象は故人が負っていた債務が中心で、相続人が自分の代理人に払う費用はこれとは性質が違います。

基礎控除を超えるかどうかの判断も含め、税金の扱いは税理士に確認する場面です。

課税されるかどうかの入口は、相続税は誰にかかる?基礎控除3,600万円が分かれ目になるで解説しています。

法テラスの無料法律相談は3回まで|資力基準と費用の立替

費用が理由で相談をためらっているなら、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助を検討してください。

無料法律相談を使えるのは、収入と資産が資力基準以下であること、勝訴の見込みがないとはいえないこと、民事法律扶助の趣旨に適することの3つを満たす場合です。

同一の問題について3回まで、1回30分が無料になります。

以下は2026年9月時点で法テラスが公表している基準です。

世帯人数手取月収(一級地)手取月収(その他の地域)資産
1人200,200円以下182,000円以下180万円以下
2人276,100円以下251,000円以下250万円以下
3人299,200円以下272,000円以下270万円以下
4人328,900円以下299,000円以下300万円以下

一級地は東京都特別区や大阪市などです。

5人以上の世帯は、1人増えるごとに一級地で33,000円、その他の地域で30,000円を加算します。

家賃や住宅ローン、医療費、教育費といった事情がある場合は、基準額を超えていても利用できることがあります。

表の額だけを見て自分は対象外だと決めず、窓口で事情を伝えて判断を仰いでください。

資力基準を満たすなら、相談だけでなく弁護士・司法書士の費用を法テラスが立て替える制度(代理援助・書類作成援助)も使えます。

立替なので免除ではなく、原則として月々分割で返していく仕組みです。

手元の現金が乏しいものの、遺産分割が終われば返済のめどが立つ状況では、選択肢に入ります。

弁護士費用を下げられる部分と、削ると後で高くつく部分

自分で手を動かせば、実費と作業量の両方を減らせます。

逆に、費用を惜しんだせいで取り返しがつかなくなる部分もあります。

両方を分けて見てください。

自分で集めれば実費と作業が減るもの

戸籍謄本や除籍謄本の取り寄せ、金融機関の残高証明の請求、実家の査定額の取得は、相続人本人でも進められます。

とくに兄弟間で意見が割れている場合、査定額・預金の残高・固定資産税の年額の3点を先に机の上へ出しておくと、弁護士が入ってからの争点が絞れます。

誰がいくらもらうかの話は、金額が見えないうちは平行線をたどるだけです。

揉めていない部分を他の資格者に振り分ける方法もあります。

相続人全員の合意ができていて登記だけが残っているなら司法書士、相続税の申告なら税理士が担当します。

誰に何を頼めるのかは、弁護士・司法書士・税理士の使い分けで解説しています。

削ると後で高くつくもの

期限の管理を自分でやろうとするのは危険です。

相続放棄の3か月と遺留分侵害額請求の1年は、過ぎれば選択肢そのものが消えます。

不動産の評価も、路線価と実勢価格のどちらを基準にするかで取り分が大きく変わるため、素人判断で合意してしまうと後から覆せません。

合意内容を書面にする作業も同じで、遺産分割協議書は相続関係によって書き方が変わり、ひな形をそのまま埋めると金融機関や法務局で通らないことがあります。

そもそも争いを生まない備えとしては、親が元気なうちに公正証書遺言を作っておく方法が確実です。

手数料は財産額で決まり、公正証書遺言の費用では財産額別の早見表を載せています。

法務局の自筆証書遺言書保管制度を使う場合、保管申請の手数料は1件3,900円で、家庭裁判所の検認も不要になります。

よくある質問

相続の初回相談は無料の事務所が多いのですか

初回30分や1時間を無料にしている事務所はありますが、相談料の設定は事務所ごとに異なります。

有料の場合は時間単位が一般的です。

資力基準を満たすなら、法テラスの無料法律相談を同一の問題につき3回まで、1回30分の枠で使えます。

着手金が払えない場合はどうすればいいですか

法テラスの資力基準を満たせば、弁護士費用を立て替えてもらい月々分割で返済する制度があります。基準を超える場合でも、分割払いや遺産を受け取った後の後払いに応じる事務所もあるため、契約前に支払い方法を相談してください。

相続放棄だけを頼む場合も着手金がかかりますか

放棄の申述のような単発の手続きは、着手金と報酬金に分けず「手数料」として一括で示す事務所もあります。

呼び方が違うだけで、追加が発生する条件は確認しておいてください。

期限は自分が相続人だと知った時から3か月なので、判断を保留したまま日数を使わないことが先です。

弁護士と司法書士では、どちらに頼むほうが安く済みますか

単純な比較はできません。

相続人同士で争いがある場合、代理人として交渉や調停に立てるのは弁護士だけです。

全員の合意ができていて登記手続きだけが残っているなら、司法書士に依頼するほうが費用は軽くなります。

自分の状況がどちらなのかで選ぶ相手が決まります。

見積書は何を確認すればいいですか

確認したいのは、着手金の対象業務の範囲と、調停や審判に進んだときの追加額、報酬金の計算の土台になる金額の定め方、実費に含まれるものと精算の時期、そして表示が税込か税別かです。口頭の説明で納得せず、委任契約書と報酬に関する書面をもらって読んでください。

相続税の申告も弁護士に頼めますか

申告書の作成は税理士の業務です。

税理士資格を併せ持つ弁護士や、税理士と連携している事務所もありますが、その場合も誰にいくら払うのかは分けて示してもらってください。

基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で、これを超えなければ申告そのものが不要になります。

まとめ

相続の弁護士費用には公の基準がなく、金額そのものを他と見比べても妥当かどうかは分かりません。

判断できるのは、着手金の対象がどこまでか、調停へ進んだときに追加があるか、報酬金の土台をどの金額に置くか、実費と他士業の費用が別なのかという内訳です。

費用が理由で相談を後回しにしている場合は、法テラスの資力基準に当てはまるかを先に確かめてください。

時間を残すほど選べる手は増え、期限を切られてから動くほど費用は上がります。ぜひ本記事の費目の表と見積書の確認事項を手元に置いて、相続放棄の3か月と相続税の10か月から逆算した日程で、最初の相談を予約してください。

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