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公正証書遺言の費用はいくら?財産額別の手数料早見表

公正証書遺言の費用はいくら?財産額別の手数料早見表

公証役場に問い合わせると、財産の総額より先に「誰に何をいくら渡すのか」を聞かれます。公正証書遺言の公証人手数料は、財産全体で一度だけ計算するのではなく、相続人や受遺者ごとに、その人が受け取る価額で計算して合算する決まりだからです(日本公証人連合会の手数料表/2026年9月時点)。

たとえば3,000万円を長男1人に相続させる内容なら手数料は26,000円ですが、長男と長女に1,500万円ずつなら26,000円が2人分で52,000円になります。財産額が同じでも、分け方で倍近く動きます。

本記事では、財産額別の手数料早見表・分け方で金額が変わる仕組み・見積もりに入っていない費用・費用を誰がいつ払うのかまで解説します。

公正証書遺言の費用は3,000円から|財産額別の手数料早見表

公証人に払う手数料は、公証人手数料令という政令の別表で決まっています。

役場ごとの値付けではないため、同じ内容なら全国どこで作っても手数料は同じです。

金額は目的の価額(遺言で誰かに渡すと書いた財産の価額)に応じて階段状に上がり、いちばん下の区分は3,000円です。

目的の価額ごとの手数料

目的の価額手数料
50万円以下3,000円
50万円超〜100万円以下5,000円
100万円超〜200万円以下7,000円
200万円超〜500万円以下13,000円
500万円超〜1,000万円以下20,000円
1,000万円超〜3,000万円以下26,000円
3,000万円超〜5,000万円以下33,000円
5,000万円超〜1億円以下49,000円
1億円超〜3億円以下49,000円に、超過額5,000万円までごとに15,000円を加算
3億円超〜10億円以下109,000円に、超過額5,000万円までごとに13,000円を加算
10億円超291,000円に、超過額5,000万円までごとに9,000円を加算

出典は日本公証人連合会が公表している手数料の一覧です(公証人手数料令別表/2026年9月時点)。

表の金額は、受け取る人1人分の計算結果にすぎません。

受け取る人が複数いれば、その人数分を足した合計が手数料になります。

表の金額に足されるもの

手数料の合計が出たあと、さらに上乗せされる費目があります。

1通の遺言公正証書で目的価額の合計額が1億円以下のときは、遺言加算という定額の上乗せが付きます。

加算額も政令で決まっていますが、改定があるため、申し込むときに公証役場で現行額を確認してください。

作成した遺言書の原本は公証役場が保管し、遺言者には正本と謄本が渡されます。

この交付手数料は1枚につき300円です。

遺言書は財産の内容を細かく書くほど枚数が増えるため、ここは総額に対して数千円の単位で効きます。

公証人に病院や自宅まで来てもらう場合の扱いは、後ろの見出しで触れます。

遺言の方式そのものをまだ決めていない段階なら、費用の比較より先に方式の選択です。自筆・公正証書・秘密証書の違いは遺言書の種類は3つ|自筆・公正証書・秘密証書の選び方で解説しています。

同じ財産額でも手数料が変わるのは、受け取る人ごとに計算するから

ここが公正証書遺言の費用でいちばん誤解されるところです。

手数料は「財産が6,000万円だから49,000円」という計算をしません。

遺言に書いた財産を受け取る人ごとに分解し、それぞれの価額を表に当てはめ、出た金額を合計します。

分ける人数が増えると手数料は上がる

6,000万円の財産を配偶者1人に全部相続させる内容なら、5,000万円超〜1億円以下の区分にあたるので49,000円です。

同じ6,000万円を配偶者に3,000万円、長男と長女に1,500万円ずつと書けば、3,000万円が26,000円、1,500万円が26,000円、もう1,500万円が26,000円で、合計78,000円になります。

分け方をていねいにするほど手数料は増える仕組みです。

孫や兄弟、お世話になった人への遺贈(いぞう)を加える場合も、その人が受け取る価額で1区分が立ちます。50万円以下でも3,000円はかかるため、少額の受取人を何人も並べると、その分だけ積み上がっていきます。

遺言に書かない財産は計算に入らない

手数料の基礎になるのは、あくまで遺言で処分すると書いた財産です。

預金のうち一部だけを指定して残りは法定相続分どおりに任せる内容なら、指定した部分の価額で計算されます。

ただし、書かなかった財産については遺産分割協議が必要になり、相続人全員の合意が要ります。

手数料を抑えるために財産を書き落とすと、家族が話し合う場面をわざわざ残すことになります。

不動産や非上場株式があると、価額を出す作業が先にくる

目的の価額を確定させるには、財産の評価額を示す資料が要ります。

預金は残高証明で足りますが、実家などの不動産は固定資産評価証明書や登記事項証明書、自社株なら決算書類が求められます。

これらの取り寄せに手間と実費がかかるため、公証役場との打ち合わせより先に着手しておくと段取りが楽になります。

同じ資料は、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかどうかの見通しにも使えます。

判定の考え方は相続税は誰にかかる?基礎控除3,600万円が分かれ目になるで解説しています。

公証人に出張してもらう場合は1.5倍と日当

入院中や施設にいて役場へ行けないときは、公証人が出向いて作成できます。

この場合、遺言加算を除いた手数料額が1.5倍になり、さらに日当が1日2万円(4時間までは1万円)、旅費が実費でかかります(日本公証人連合会/2026年9月時点)。

6,000万円を配偶者1人に渡す先ほどの例なら、49,000円が73,500円に上がり、そこへ日当と旅費、遺言加算、正本謄本代が乗る計算です。

公正証書遺言の見積もりに入っていない費用|証人・戸籍・文案作成の報酬

公証役場が教えてくれるのは公証人手数料の見込み額です。

総額はそれだけでは決まりません。

抜けやすいのは次の費目で、どれも役場の手数料表には出てきません。

  • 証人2人の手配にかかる費用
  • 戸籍謄本・住民票・印鑑登録証明書・不動産の証明書などの取り寄せ実費
  • 弁護士・司法書士・行政書士に文案作成や立ち会いを頼む場合の報酬
  • 正本・謄本の枚数分の交付手数料

証人2人は自分で用意するか、役場に頼むか

公正証書遺言は証人2人の立ち会いのもとで作成します(民法969条)。

推定相続人や受遺者、その配偶者と直系血族は証人になれないため、子や孫に頼むことはできません。

知人に頼めれば謝礼だけで済みますが、遺言の中身を知られる相手になります。

公証役場や依頼した専門家に紹介を頼む方法もあり、その場合の謝礼は紹介元によって違うので、申し込みの段階で確認してください。

専門家報酬は内容によって変わる

文案の作成や財産調査、公証役場とのやりとりを専門家に任せると、手数料とは別に報酬が発生します。

報酬額は事務所ごとに決められていて、公表された全国的な相場はありません。

見積もりを取るときは、総額だけでなく、財産目録の作成まで含むのか、証人の手配と当日の同行が入るのか、遺言執行者を引き受ける場合の報酬は別枠なのかを分けて聞くと比較できます。

削ると後で困る費目

節約できるのは、証人を自分で探すことと、文案の下書きを自分で用意することくらいです。

逆に削らないほうがいいのは、財産目録をきちんと作る手間と、遺留分への配慮を確認する工程です。

特定の相続人に寄せた内容にすると、他の相続人から遺留分侵害額請求を受けることがあります。

請求権は相続の開始と侵害を知った時から1年、相続開始から10年で時効になります(民法1048条)。

配分をどう書くかで、遺された家族が話し合いで済むか請求のやり取りになるかが変わります。

費用を抑える目的で自筆証書遺言に切り替える判断もあります。

法務局の自筆証書遺言書保管制度なら保管申請の手数料は1件3,900円で、家庭裁判所の検認も不要です(法務省/2026年9月時点)。

ただし本文は全文自筆が要件のままで、方式の不備があれば無効になります。

自筆で起きやすい書き方のミスは遺言書の書き方|自筆証書が無効になるミスと注意点で解説しています。

文案を自分で組み立てるなら、言い回しの型を遺言書の文例集|そのまま使える書き出しと結びの言い回しで確認できます。

公正証書遺言の費用は誰がいつ払う?生前の本人負担と死後に残る手続き

手数料を払うのは遺言を作る本人です。

作成は生前の行為なので、相続財産から出すという選択肢はありません。

子が立て替えることは事実としてできますが、親子間の金銭のやり取りは贈与の扱いが問題になりうるため、金額が大きくなる場合は税理士に確認する場面になります。

助成制度は見つからない

公正証書遺言の作成費用を補助する全国共通の制度は確認できません。

自治体が独自に相談窓口や専門家派遣を用意している例はありますが、内容も対象も市区町村ごとに違います。

お住まいの市区町村の高齢福祉担当か、社会福祉協議会の窓口で確認してください。

費用を抑える方向で動くなら、公的な補助を探すより、自筆証書と公正証書のどちらにするかを決め直すほうが額は大きく動きます。

親が費用を渋るときに出す数字

親に切り出しづらい費目ですが、比べる相手は「遺言を作らなかった場合の相続手続き」です。

遺言がなければ相続人全員で遺産分割協議を行い、全員の署名と実印、印鑑登録証明書を集めます。

相続人が遠方にいたり連絡が取れなかったりすると、ここで数か月止まることがあります。

一方、相続税の申告と納付は相続の開始を知った日の翌日から10か月、相続登記は不動産を取得したことを知った日から3年が期限です(相続税法27条/不動産登記法76条の2)。

数万円の手数料は、この期限内に手続きを終えるための先払いだと説明できます。

検認が不要な分、死後の手間は軽くなる

公正証書遺言は家庭裁判所の検認が要りません(民法1004条)。

自筆証書遺言を法務局に預けずに自宅で保管していた場合は、封を開けずに家庭裁判所へ持ち込み、相続人全員に通知が行く検認の手続きを経てからでないと、預金の解約や登記に使えません。

原本が公証役場に保管されるため、紛失や書き換えを疑われる余地も残りません。

作成後に内容を変えたくなったときの費用は、新しく作り直す形になるため再度かかります。

撤回と書き直しの進め方は遺言書に有効期限はある?書き直しと撤回の正しいやり方で解説しています。

よくある質問

財産が1億円を超えると手数料はどう計算しますか

1億円超〜3億円以下の区分は、49,000円に超過額5,000万円までごとに15,000円を加算する方式です。

1億5,000万円を配偶者1人に相続させる内容なら、超過額が5,000万円なので49,000円+15,000円で64,000円になります。

なお目的価額の合計が1億円を超えると、遺言加算の上乗せはありません。

公正証書遺言を書き直すと手数料はまたかかりますか

かかります。

内容を変える場合は、前の遺言を撤回して新しい遺言公正証書を作る形になり、手数料は新しい内容の目的価額であらためて計算されます。

財産の一部だけを変えるつもりでも、全体を作り直す扱いになるのが通常です。

売却の予定がある不動産や、まだ受取人を決めきれない財産があるなら、作る時期そのものを検討する段階になります。

入院中でも公正証書遺言は作れますか

公証人が病室へ出張して作成できます。

費用は、遺言加算を除いた手数料額が1.5倍になり、日当1日2万円(4時間までは1万円)と旅費の実費が加わります。

ただし本人が遺言の内容を口で伝えられる状態であることが前提です。

体調や意思能力に不安がある段階なら、主治医への相談と並行して公証役場へ早めに連絡してください。

自筆証書遺言を法務局に預けたほうが安く済みませんか

金額だけを見れば、保管申請手数料1件3,900円の自筆証書遺言書保管制度のほうが安くなります。

どちらも検認は不要です。

差が出るのは、方式の不備で無効になる可能性と、本人が自分で全文を書けるかどうかです。

財産の種類が多い場合や、相続人の間で意見が分かれそうな場合は、公証人が方式を確認する公正証書のほうを選ぶ理由があります。

証人を自分で連れて行けば費用は安くなりますか

役場や専門家に紹介を頼む場合の謝礼が不要になるため、その分は下がります。

ただし推定相続人と受遺者、それぞれの配偶者と直系血族は証人になれません。

財産の内容と受取人を知られる相手になるので、誰に頼むかは慎重に決めてください。

頼める人がいなければ、公証役場に紹介の可否と費用を問い合わせる形になります。

まとめ

公正証書遺言の手数料は政令で決まっていて、値引き交渉の対象ではありません。

金額を左右するのは、受け取る人ごとに区分が立つという計算の仕組みと、出張を頼むかどうかです。

3,000万円を1人に渡すなら26,000円、2人に分けるなら52,000円と、財産額が同じでも結果は変わります。

総額を知りたいときは、手数料の見込みに加えて、証人の手配費用、戸籍や不動産の証明書の実費、専門家に頼む場合の報酬を別に数えてください。ぜひ本記事の財産額別の手数料早見表で自分の分け方に当てはめた金額を出してから、公証役場に問い合わせてみてください。

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