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実家じまいの挨拶文|近所と親族への伝え方を文例で紹介

実家じまいの挨拶文|近所と親族への伝え方を文例で紹介

草を刈りに帰るたび、隣の家の人と顔を合わせます。

実家じまいを決めたなら、近所へ伝えるのは解体や家財の搬出の日程が確定してからで、その前に親族へ話を通しておきます。

順番が入れ替わると、伯父や叔母が近所の噂で知ることになり、仏壇とお墓の話がそこで止まります。

挨拶文に書く項目は多くありません。

近所向けは工事の期間と車両の出入り、それに業者の連絡先の3つでほぼ埋まります。

親族向けは家の行き先と、仏壇・お墓・形見の扱いです。

本記事では、親族と近所で変わる伝える順番・挨拶文に入れる項目・手渡しと郵送の使い分けを解説します。

実家じまいの挨拶は、親族が先で近所は工事日程が決まってから

最初に話を通す相手は、相続人になっている兄弟姉妹です。

家の名義が亡くなった親のままなら、売るか壊すかを決められるのは相続人全員で、挨拶文の差出人も本来はその全員になります。

ここが固まらないうちに近所へ「取り壊します」と伝えてしまうと、あとから兄弟の一人が反対したときに、近所を回って訂正することになります。

伝える相手伝える時期伝え方
兄弟姉妹(相続人)売却・解体を決める前対面か電話で相談し、決まったら文書で共有する
伯父・叔母・いとこ方針が固まり、仏壇とお墓の行き先が見えた時点手紙
菩提寺(ぼだいじ)・墓地の管理者お墓や仏壇を動かすと決めた時点対面で相談
両隣・向かい・裏の家工事の日程が確定してから、着工前手渡し、不在ならポストへ投函
自治会・町内会工事の日程が確定してから班長または会長へ連絡

この順番には理由があります。

近所への挨拶は日程を伝える連絡ですが、親族への挨拶は同意を得る相談だからです。

性質が違うぶん、必要な時間も違います。

親族を後回しにすると、仏壇とお墓で止まる

仏壇や位牌、お墓といった祭祀(さいし)財産は、預金や不動産とは別の扱いになり、一人が引き継ぎます(民法897条)。

遺言などの指定がなければ慣習によって決まり、それでも決まらないときは家庭裁判所が定めます。

つまり、家を壊す話と仏壇を誰が持つ話は別の決定です。

家の解体日だけ先に決めても、仏壇の行き先が決まっていなければ荷物は出せません。

お墓を動かす予定があるなら、さらに時間がかかります。

遺骨を別の場所へ移すには、いま墓地がある市区町村が出す改葬(かいそう)許可証が要り、申請には移転先の受入証明書と、現在の墓地管理者が出す埋葬証明書を添えます。

受け入れ先が決まらないと申請そのものができません。

許可証を取らずに遺骨を動かすのは墓地埋葬法に違反します。

近所へ回るのは、日程が変わらなくなってから

解体の着工日は、残置物の量や前の現場の進み方で後ろにずれることがあります。

見積り段階の予定日を近所に伝えると、変更のたびに言い直すことになります。

業者と契約して着工日が確定してから、工事が始まる前に回ってください。

業者が近隣挨拶を回る段取りを持っていることも多いので、いつ回る予定かを先に聞き、日付が重ならないようにします。

家を片づけて手放すまでに何をどの順でやるかは、実家じまいの手順で解説しています。

親族への実家じまいの挨拶文は、家の行き先と仏壇と形見の3点で組み立てる

親族への手紙で長く書く必要はありません。

相手が知りたいのは、あの家がどうなるのか、仏壇とお墓はどこへ行くのか、自分が何かもらえるのか、この3つだけです。

逆に言えば、この3つが抜けた手紙は電話がかかってきます。

家をどうするかは一行で書く

「取り壊して土地を売ります」「そのまま売りに出します」「しばらく貸します」のどれかを、最初のほうにはっきり書いてください。

あわせて、誰と相談して決めたのかを添えます。

相続人が複数いるなら「兄と二人で相談のうえ」と書くだけで、後から「聞いていない」という話になりにくくなります。

時期は「秋ごろ」ではなく、決まっていれば月まで書きます。

仏壇・位牌・お墓の行き先を書く

まだ決まっていないなら、決まっていないと書いて構いません。

まずいのは触れないことです。

「仏壇は私の自宅へ移します」「お墓は今のまま残し、法要はこれまでどおりお願いします」といった一文があるかどうかで、親族側の受け取り方が変わります。

お寺と相談中の段階なら、そう書いて、決まり次第あらためて連絡すると添えてください。

形見分けは期限と見せ方まで書く

「ご希望のものがあればおっしゃってください」とだけ書くと、返事は来ません。

片づけの日程が決まっている以上、いつまでに言ってもらう必要があるのかを書きます。

遠方の親族には、写真を撮って送る方法も添えると動きます。

家財の搬出が始まると、その後は取り出せません。

文例にすると、次のような形になります。

父が亡くなってから一年が過ぎ、◯◯町の家を兄と二人で相談し、本年十月に取り壊すことにいたしました。

仏壇は私の自宅へ移し、お墓につきましては◯◯寺様とご相談のうえ、決まり次第あらためてご報告いたします。

家に残っております品で、お手元に置いていただきたいものがございましたら、七月末までにお知らせください。

写真をお送りすることもできます。

片づけを業者に頼む前に、通帳やキャッシュカード、保険証券、年金手帳、不動産の権利証と登記識別情報、遺言書、印鑑と印鑑登録証、貸金庫の鍵と契約書は探し出しておいてください。

処分してしまうと相続の手続きが止まります。

何から手をつけるかは遺品整理の始め方で解説しています。

近所への挨拶文は、工事の日程と業者の連絡先が入っていれば足ります

近所の人にとっての関心事は、いつからいつまでうるさいのか、車がどこに停まるのか、何かあったらどこへ言えばいいのか、この3点に尽きます。

気持ちを長く綴った手紙より、日付と電話番号が書いてある紙のほうが役に立ちます。

入れる項目は次のとおりです。

  • 差出人(亡くなった親の名前と自分の続柄、氏名)
  • 対象の家の場所(◯◯番地、と番地まで書く)
  • 工事の期間と、一日の作業時間帯
  • 工事車両の出入りと駐車する場所
  • 音・粉じん・振動が出ることへのお断り
  • 施工業者名と現場責任者の連絡先
  • 自分の連絡先(住所と電話番号)
  • これまで親が世話になったことへの礼

名乗りは、亡くなった親の名前から始める

近所の人が知っているのは親の顔と名前で、子である自分の名前ではありません。

「◯◯の長男の△△です」と親の名前を先に出すと、それだけで相手はどの家の話か分かります。

子どものころ近所に住んでいたとしても、三十年前の記憶で通じると考えないでください。

苦情の受け先を、業者と自分で分ける

騒音や車両については現場責任者へ、それ以外は自分へ、と連絡先を二つに分けて書いておくと、双方が動きやすくなります。

工事中の細かい話を所有者が受けても、その場で判断できません。

逆に、境界のブロック塀をどうするか、工事後の土地に草が生えたらどうするかといった話は、業者ではなく所有者の判断です。

文例にすると、次のような形です。

◯◯の長男の△△と申します。

父が亡くなってから空き家にしておりました◯◯番地の家を、このたび取り壊すことになりました。

工事は◯月◯日から◯月◯日までの予定で、作業は平日の八時から十七時です。

期間中は工事車両が出入りし、音や粉じんでご迷惑をおかけします。

工事に関するご連絡は施工業者(会社名)の現場責任者(氏名・電話番号)まで、それ以外のご用件は私(住所・電話番号)までお願いいたします。

長年にわたり父がお世話になり、ありがとうございました。

売却する場合で解体をしないなら、工事の項目はまるごと不要になります。その代わりに、いつごろ人の出入りが増えるか、内見のときに車が停まることを一言添えておくと足ります。

手渡しと郵送の使い分け、自治会への連絡はいつするか

両隣と向かい、裏の家は手渡しを基本にしてください。

工事車両が通る道沿いの家も同じです。

不在なら二度訪ねて、それでも会えなければ挨拶文をポストに入れます。

置き手紙にするときは、手渡しできなかったことへの一言を書き足してください。

遠方に住んでいて何度も帰れないなら、郵送でも構いません。

届くのが工事の前になるよう、日付を逆算して出します。

自治会・ごみ集積所・回覧板の扱い

自治会に入ったままになっている実家は少なくない、と言いたいところですが、そこは家ごとに違います。

まず、親が班や組に属していたかどうかを確認してください。

属していたなら、脱退の申し出と、回覧板を回す順番から外してもらう連絡が要ります。

ごみ集積所の当番が回ってくる地域では、当番表からの除外も同時に伝えます。

工事で出た廃材は家庭ごみの集積所には出せません。

解体の契約に含まれます。

手続きの窓口も方法も自治会ごとに違うため、班長か会長に直接聞くのが早道です。町内会費を年払いしている場合の精算も、その場で確認できます。

挨拶に期限はないが、手続きには期限がある

近隣への挨拶そのものに法律上の期限はありません。

一方で、家を動かす側の手続きには期限が決まっているものがあります。

相続登記は、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です(不動産登記法76条の2、2024年4月1日施行)。

2024年4月1日より前に相続した不動産も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。

ほかに、相続税の申告と納付は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内、相続放棄や限定承認の申述は自分が相続人だと知った時から3か月以内になります。

放棄の起算日は亡くなった日ではありません。

挨拶回りの日程を組む前に、この期限のほうが先に来ていないかを確かめてください。

実家じまいの挨拶が止まるのは、名義が親のままのときと業者任せにしたとき

文面を書き終えたあとで足踏みするのは、たいてい差出人の欄です。誰の名前で出すのかが決まらない状態は、家の所有者が決まっていない状態と同じことを意味します。

名義を確認してから差出人を決める

いま誰の名義になっているかは、法務局で登記事項証明書を取れば分かります。

所有権に関する事項が載っているのは甲区です。

名義が親のままなら、相続人全員が所有者という扱いになります。

連名で出すか、代表者一人の名前で出して「相続人を代表して」と添えるかは家族で決めておいてください。

兄弟で共有名義にしたまま進めると、売却や解体のたびに全員の署名と実印が要ります。この形の持つ難しさは共有名義の不動産で起きるトラブルで解説しています。

業者に任せられるのは工事の説明までです

解体業者が近隣挨拶を回る場合、伝えるのは工事の日程と車両の出入り、緊急時の連絡先です。

親が四十年住んだことへの礼や、今後この土地をどうするつもりかは、業者からは出てきません。

両隣と向かいの家だけでも、所有者が顔を出しておくと後の連絡が通りやすくなります。

全部を自分で回る必要はなく、道沿いの家は業者に任せるという分け方でも足ります。

「無料で片づけます」と声をかけてくる相手には渡さない

挨拶で家を空けることが知られると、片づけの業者から連絡が来ることがあります。

家庭から出た不用品を運んで処分するには、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が要ります。

買い取るなら都道府県公安委員会の古物商許可です。

産業廃棄物収集運搬業の許可だけでは家庭ごみを運べません。

「無料回収」を名乗るトラックはこの許可を持っていないことが多く、不法投棄されれば依頼した側が問われます。

会社名と許可の種類、許可番号を先に聞いてください。

訪問して品物を買い取る「訪問購入」なら、契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができ、その間は引き渡しを拒めます。

その場で持ち帰らせないでください。

解体や片づけにいくらかかるかの内訳は実家じまいの費用で、解体費の一部を支援する制度の探し方は実家じまいに使える補助金で解説しています。

よくある質問

実家じまいの挨拶は手紙と口頭のどちらがいいですか

近所へは手渡しでも、紙を一枚残してください。

工事の期間と連絡先は口頭では覚えられません。

親族へは、内容が重いほど手紙が向きます。

電話だと言った言わないになりやすく、仏壇や形見のように後で確認したくなる情報ほど、文字にしておくと双方が助かります。

近所への挨拶は解体業者が回ると言われました。自分も行くべきですか

業者が回るのは工事の説明です。

両隣と向かいなど、親と付き合いのあった家には所有者としても顔を出しておくと、工事中に何かあったときに連絡が入りやすくなります。

遠方で行けないなら、業者の挨拶に自分名義の挨拶文を添えてもらう方法もあります。

遠方に住んでいて挨拶に行けません。郵送でも失礼になりませんか

郵送でも伝わります。

日付が過ぎてから届くほうが問題なので、工事が始まる前に届くよう逆算して投函してください。

親族への手紙も同じで、遠方であることと、電話でも話せることを書き添えておけば、相手から連絡が来ます。

親族はどこまで知らせればいいですか

線引きの目安は、その家に上がったことがあるかどうかです。

親の兄弟姉妹と、法事で顔を合わせるいとこまでが一つの範囲になります。

仏壇やお墓を動かす予定があるなら、法要に来ている親族には知らせておいてください。

祭祀を引き継ぐ人が誰になるかに関わる話だからです。

挨拶に品物は必要ですか

持っていく地域と持っていかない地域があり、決まりはありません。

品物より、日程と連絡先が書かれた紙が残っているかどうかのほうが実務では役に立ちます。

工事の挨拶を業者と一緒に回るなら、業者側の慣行に合わせると重複しません。

売却して人が住む場合も、近所に挨拶は要りますか

買い手が決まったあと、引き渡し前に一言伝えておくと、近所の人が状況を把握できます。

ごみ集積所の当番や自治会の扱いは新しい所有者に引き継がれるので、班長への連絡は済ませておいてください。

なお、空き家のまま放置した場合、倒壊のおそれや衛生上の問題があると市区町村が判断すると「特定空家」や「管理不全空家」に指定され、勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が外れます。

近所からの相談がきっかけになることもあります。

まとめ

挨拶の順番は、同意が要る相手が先、日程を知らせる相手が後です。

兄弟で方針を決め、仏壇とお墓の行き先に見通しをつけてから親族へ手紙を出し、着工日が確定してから近所を回ります。

近所向けの文面は、工事の期間と車両の出入り、業者の連絡先が入っていれば形になります。

全国の空き家は約900万戸、空き家率13.8%と過去最高です(総務省 住宅・土地統計調査/2023年時点)。

同じ立場の家は各地にあり、近所も親族も、決まったことを知らせてもらえれば受け止めます。

実家じまいの全体像もあわせて確認しながら、ぜひ本記事の伝える相手と時期の表、そして挨拶文に入れる項目を参考に、まずは兄弟への一本の電話から始めてください。

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