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実家じまいを頼む業者の選び方|見積もりで確かめる点

実家じまいを頼む業者の選び方|見積もりで確かめる点

電話で問い合わせると「見てみないと分かりません」と言われ、訪問した担当者は家を一周して総額だけを口頭で伝えます。費目の内訳を書いた紙は出てきません。

実家の家財を運び出して処分する作業には、市区町村が出す一般廃棄物収集運搬業の許可が要ります。

買い取りが入るなら古物商許可も別に必要で、産業廃棄物の許可では家庭から出たものを運べません。

見積書に単価と処分先が書かれているか、追加料金がどの条件で発生するか、この2点を紙で確かめられる会社は候補に残ります。

本記事では、許可の確かめ方・見積書で見る費目・兄弟や寺院への切り出し方・専門家に渡す境目を解説します。

実家じまいの業者選びでつまずくのは、許可・見積書・残す物の3か所

総務省の住宅・土地統計調査(2023年)によると、全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%で過去最高になりました。

片づけを請け負う会社も、遺品整理・不用品回収・解体・買い取りとさまざまな看板で増えています。

社名と広告写真だけでは中身の差が分かりません。

もめごとが起きるのは決まって、許可・見積書・残す物という別々の3か所です。

原因が1つに絞れないまま「悪い業者だった」で終わらせると、次の会社でも同じことが起きます。

許可を持たない相手に家財を渡している

家庭から出た不用品を運んで処分するには、廃棄物処理法にもとづく一般廃棄物収集運搬業の許可が要ります。

「無料回収」を名乗って住宅街を回るトラックは、この許可を持っていないことが多いです。

渡した家財が山中や空き地に捨てられた場合、排出した側にまで事情を聞かれることがあります。

無料のはずが積み込みのあとで運搬費を請求される形も、この入口から始まります。

見積書が「一式」だけで、処分先が書かれていない

総額だけの見積書は、あとから金額が動いても比べる材料になりません。

作業員の人数と単価、トラックの台数、処分費、階段や搬出経路の割増、リサイクル家電の料金が分かれていない書面では、当日に何が足されたのかを確かめられません。

処分先の記載がない場合も同じで、どこへ運ばれたのかを追えなくなります。

何を残すかを決めないまま作業日を迎える

当日に家族が立ち会えないまま任せると、通帳や権利証が段ボールごと運ばれます。

兄弟の誰かが「あれは残すはずだった」と言い出すのは、たいてい作業が終わった翌週です。

業者と読者の間ではなく、兄弟の間で起きるもめごとですが、きっかけは指示書がなかったことにあります。

今起きていることがどれに当たるかは、手元の紙で切り分けられます。次の3点を見てください。

  • 契約書面と見積書があり、会社名・所在地・許可番号が書かれているか(無ければ許可のタイプ)
  • 費目が分かれているか、「一式」で終わっているか(総額だけなら見積書のタイプ)
  • 残す物を書いた紙か写真を渡していたか(渡していなければ残す物のタイプ)

見積もりを頼む前に、登記事項証明書と「残す物リスト」を用意する

業者に連絡する前に自分の側で終わらせておける作業があります。ここが済んでいると、見積もりの精度が上がり、兄弟に説明する材料もそろいます。

名義が親のままかは登記事項証明書の甲区で分かる

実家の名義は、法務局で取れる登記事項証明書の甲区(所有権に関する事項)に書かれています。

親の名前のままなら、売る前に相続登記が要ります。

2024年4月1日から相続登記は義務になり、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象です。

それ以前に相続した不動産も対象で、その場合の期限は2027年3月31日までとされています。

片づけだけ先に進めても、名義が止まっていれば売却の話には進みません。

名義の確認から売却までの並べ方は実家じまいの手順で解説しています。

捨てると手続きが止まる書類を先に抜く

片づけの前に家から抜いておくものがあります。処分してしまうと、相続の手続きがその場で止まります。

  • 通帳・キャッシュカード
  • 保険証券・年金手帳
  • 不動産の権利証と登記識別情報
  • 遺言書(自筆証書は封を開けずに家庭裁判所へ持ち込みます)
  • 印鑑と印鑑登録証
  • 貸金庫の鍵と契約書
  • 有価証券・借用書

親に借金があるかもしれない段階では、順番が変わります。

相続放棄の申述は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。

この間に家財を処分したり売って代金を受け取ったりすると、相続を単純承認したとみなされて放棄できなくなることがあります。

借金の有無がはっきりしないうちは、片づけの契約を結ばずに調査を先に進めます。

残す物・売る物・捨てる物を写真で分けておく

口頭の指示は当日に伝わりません。

部屋ごとに写真を撮り、残す物には印を付けた紙を貼っておくと、作業員が迷う場面が減ります。

仏壇・位牌・アルバム・農機具・物置の中身は、見積もりの金額にも作業時間にも関わるため、先に決めておくと追加請求の理由が減ります。

費目ごとの内訳と、量や階数で何が増えるかは実家じまいの費用の内訳で解説しています。

実家じまいで持っていくものは、業者・兄弟・寺院で相手ごとに変わる

同じ「実家を片づけたい」という話でも、相手によって知りたいことが違います。相手の立場で必要な情報を渡さないと、返事が「考えておく」で止まります。

業者には間取りと残す物リスト、そして車両が停められるかを伝える

見積もりの金額を動かすのは、家財の量・階数・搬出経路・トラックを横付けできるかどうかです。

訪問前に間取りと写真を送り、道路幅や前面の駐車状況を伝えると、現地で金額が跳ね上がる理由が減ります。

訪問時には、費目を分けた書面で出してもらえるかを最初に聞いてください。

口頭の総額しか出さない会社は、その時点で比較対象から外れます。

兄弟に出すのは、見積書と査定額と固定資産税の年額

兄弟の意見が割れるのは、金額の話をしているようで誰も数字を持っていないためです。

片づけの見積書、不動産会社の査定額、固定資産税の年額、この3つを机に出すと、話が感情から費用の分担へ移ります。

査定額は不動産会社ごとに開きが出るので、1社の数字だけを「相場」として持ち出さないほうが話が続きます。

誰がいくら負担するかの決め方は実家じまいの費用は誰が払うかで解説しています。

寺院に伝えるのは、仏壇と遺骨の行き先

仏壇や位牌などの祭祀(さいし)財産は、預貯金や不動産とは別に1人が引き継ぎます(祭祀承継といいます)。

相続放棄をした人でも引き継げます。

遺骨を別の場所へ移すなら、現在の墓地がある市区町村の改葬許可証が要り、申請には受け入れ先の受入証明書と現在の墓地管理者の埋葬証明書が必要です。

受け入れ先が決まらないと申請そのものができないので、片づけの日程より先に決める部分になります。

離檀を伝えたときに金額を提示された場合、離檀料に法律上の支払義務を定めた規定はありません。

金額と根拠を書面で示してもらったうえで話すことになります。

近所には作業日と車両の停車位置を先に伝える

トラックの出入りと解体の音は、伝えていないと苦情になります。

作業の何日から何日まで、どこに車両を停めるかを、隣家と自治会の役員に事前に伝えておくと、作業中に現場が止まる事態を避けられます。

伝え方の文面は近所と親族への挨拶文例で解説しています。

一般廃棄物収集運搬業の許可と古物商許可|看板ではなく番号で確かめる

許可は会社のホームページに書いてあるかどうかではなく、作業する家のある市区町村で確認できます。名前が似ていても役割が違うので、何の許可を持っているのかを分けて見てください。

名称出すところこれが無いとできないこと
一般廃棄物収集運搬業の許可作業する家のある市区町村家庭から出た不用品を運んで処分する
古物商許可都道府県公安委員会家財を買い取る
産業廃棄物収集運搬業の許可都道府県(これだけでは家庭ごみを運べません)
遺品整理士一般社団法人遺品整理士認定協会(民間資格)(廃棄物を運ぶ根拠にはなりません)

遺品整理士は国家資格ではありません。

作業の進め方を学んだ証明にはなりますが、これがあるから廃棄物を運べるわけではないので、許可の有無とは別に見ます。

自社に一般廃棄物の許可がなく、許可業者へ再委託する形を取る会社もあります。

その場合は、実際に運ぶのがどこの会社かを見積書に書いてもらってください。

買い取りが入るときは、契約の種類が変わります。

業者が自宅を訪問して買い取る「訪問購入」は、契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができ、その間は物品の引き渡しを拒めます。

その場で査定して持ち帰ろうとする相手に対しては、書面を受け取ったうえで引き渡しを保留にするという選択があります。

作業前に会社名・所在地・許可番号を控えておけば、連絡が取れなくなったときに消費生活センターへ相談する材料になります。

高額請求のパターンと書面の見方はゴミ屋敷の片付け業者の確認点でも解説しています。

口コミの点数比べでは実家じまいは進まない|専門家に渡す境目

調べ始めた人がまず試すのは口コミの点数と相見積もりですが、この2つだけでは決まりません。理由は比べている中身がそろっていないためです。

相見積もりは、同じ条件を渡さないと比較になりません

A社には2階まで見せ、B社には1階だけ見せた見積書を並べても、安い高いは判断できません。

残す物リストと間取り、搬出経路の写真を同じものにして渡すと、初めて差が費目に出ます。

何社も取ること自体より、条件をそろえることのほうが金額の比較につながります。

口コミの点数は、片づけの規模も立地も違う人の評価が混ざった数字なので、許可と書面の確認の代わりにはなりません。

「全部おまかせ」で頼むと、残す物が消えます

立ち会わずに任せる形は、費用と手間は減りますが、通帳や権利証が出てきたときに連絡が来ない可能性があります。せめて初日の開始時と、書類が出そうな部屋の作業時だけは立ち会う形にすると、抜けを防げます。

親族全員がそろう日を待つと、年単位で止まります

片づけを始める前に全員の同意を取ろうとして、日程が合わずに1年が過ぎる例があります。

名義の確認、書類の抜き取り、見積もりの取得までは、1人でも進められる作業です。

家財の処分と売却の判断は相続人全員の合意が要るので、そこまでを分けて考えると止まる期間が短くなります。

専門家に渡すのは、名義・税・対立の3つが出てきたとき

次の状態になったら、自分で調べる段階を越えています。

  • 名義が親や祖父母のままで、相続人が誰なのかを戸籍でたどる必要がある(司法書士)
  • 売却益が出そうで、相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除を使えるか判断したい(税理士)
  • 兄弟の誰かが話し合いに応じず、分割の協議が進まない(弁護士)
  • 契約した業者と金額でもめている、連絡が取れない(消費生活センター)

相続した空き家の3,000万円特別控除には、1981年5月31日以前に建築された家屋であることなどの要件があり、2027年12月31日までの譲渡が対象です。

相続人が3人以上の場合、2024年1月1日以降の譲渡では1人あたり2,000万円に下がります。

使えるかどうかは家屋の状態や売り方でも変わるため、売買契約を結ぶ前に税理士へ相談する段階になります。

放置した場合に何が起きるかも、判断の材料になります。

市区町村が「特定空家」または「管理不全空家」と判断して勧告を出すと、固定資産税の住宅用地特例が外れます。

放置すれば自動的に税額が上がるのではなく、指定と勧告という段階を踏みます。

とはいえ草刈りに年数回帰る生活が続くうちに、建物は傷みます。

全体の流れをつかみ直したいときは実家じまいの全体像で解説しています。

よくある質問

業者が一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているか、どう確かめられますか

作業する家のある市区町村の廃棄物担当窓口で、許可業者の一覧を公表している自治体があります。

会社名で照らし合わせるのが早い方法です。

見積もりの場で許可番号を聞いて、答えられるか、書面に書いてもらえるかも判断材料になります。

自社では許可を持たず許可業者へ再委託する場合は、実際に運搬する会社名を確認してください。

「無料回収」のトラックに家財を渡してもいいですか

家庭から出た不用品を運んで処分するには一般廃棄物収集運搬業の許可が要りますが、巡回するトラックはこの許可を持っていないことが多いです。

積み込んだあとで運搬費を求められる形や、渡したものが不適正に処分される例があります。

許可の有無を確認できない相手には渡さず、市区町村の粗大ごみ収集や許可業者を使う方法が残ります。

見積もりは何社から取ればいいですか

社数そのものより、同じ条件で出してもらうことのほうが比較につながります。

間取り・残す物リスト・搬出経路の写真を同じ内容で渡し、費目を分けた書面で回答を受け取ってください。

総額しか出さない会社の書面は、他社と並べても差の理由が分かりません。

仏壇や位牌も業者に引き取ってもらえますか

引き取りを扱う会社はありますが、遺骨が家にある場合は扱いが変わります。

遺骨を別の墓地や納骨施設へ移すには、現在の墓地がある市区町村の改葬許可証が必要で、許可証なしに移すことは墓地埋葬法に反します。

一部を手元に置く場合は、墓地管理者か火葬場が出す分骨証明書という別の書類になります。

仏壇の引き取りと、遺骨の行き先は分けて決めてください。

相続放棄を考えていますが、先に片づけを始めても大丈夫ですか

相続放棄の申述は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。

この期間中に家財を処分したり売却代金を受け取ったりすると、相続を単純承認したとみなされて放棄できなくなることがあります。

借金の有無がはっきりしない段階では、片づけの契約を結ばずに調査を進め、3か月で足りなければ家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てる方法があります。

買い取ってもらったあとで、やはり手放したくないと思ったら戻せますか

業者が自宅を訪問して買い取る訪問購入なら、契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができ、その間は物品の引き渡しを拒めます。

書面を受け取っていない場合は起算日が始まりません。

査定の場で契約書面を必ず受け取り、日付を控えておいてください。

まとめ

実家じまいの業者選びは、許可・見積書・残す物の3か所で決まります。

市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可があるか、費目と処分先が書面に分かれて書かれているか、残す物をこちらから紙で渡せているか。

この3つを確かめた会社なら、当日に金額が動く理由も追えます。

業者に連絡する前にできる作業も残っています。

登記事項証明書の甲区で名義を確かめ、通帳や権利証を家から抜き、見積書と査定額と固定資産税の年額を兄弟に出せる形にしておくと、話し合いが費用の分担に進みます。

名義が止まっているなら相続登記の期限が動いていますし、借金の心配があるなら3か月の期限のほうが先です。

ぜひ本記事の許可の一覧表と、見積書で見る3つの確認点を参考に、今週のうちに1社目の訪問見積もりを申し込んでみてください。

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