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相続土地国庫帰属の費用|審査手数料14,000円と負担金

相続土地国庫帰属の費用|審査手数料14,000円と負担金

年に数回、草を刈るためだけに帰る土地があります。

売りに出しても買い手がつかず、たどり着いた先が相続土地国庫帰属制度という人が最初に知りたいのは金額でしょう。

かかるのは2つで、申請のときに払う審査手数料が土地一筆(いっぴつ)あたり14,000円、承認された後に払う負担金が多くの土地で20万円です(法務省/2026年9月時点)。

合わせて21万4,000円ですが、これで終わる土地は限られます。負担金は土地の種目と面積で上がりますし、申請できる状態に整えるまでの解体や測量は申請する側の負担になります。

本記事では、審査手数料14,000円と負担金の払い方・面積で負担金が上がる3つの種目・申請前に自腹で出る費用・共有の土地で誰が負担するかまで解説します。

相続土地国庫帰属の費用は、審査手数料14,000円と負担金の2本立て

金額はいずれも法務省が公表している制度上の額で、2026年9月時点のものです。国に引き取ってもらうために払うお金は、次の2つに分かれます。

費目金額払うタイミング
審査手数料土地一筆あたり14,000円申請時。申請書に収入印紙を貼って納付します
負担金多くの土地で20万円(種目と面積で上がります)承認の通知を受けた後、通知に示された期限内

順番が大事です。

審査手数料は申請の入口で払い、負担金は審査を通ってから払います。

つまり、申請した時点で確定するのは14,000円のほうだけで、20万円は「承認されたら払う」お金にあたります。

審査手数料は「筆」の数だけかかる

14,000円は土地1件あたりではなく、登記簿の上で1つと数えられる土地(これが一筆です)ごとにかかります。

実家の敷地が母屋の敷地と裏の畑で2筆に分かれていれば28,000円、農地が3筆あればさらに増えます。

自分の土地が何筆あるかは、固定資産税の納税通知書に付いてくる課税明細か、法務局で取る登記事項証明書で確認できます。

申請できるのは相続や遺贈(いぞう)で土地を取得した人です。

売買で買った土地や、法人が持っている土地は対象になりません。

建物が建ったままの土地も申請の段階で却下されます。

この線引きは相続土地国庫帰属制度の対象になる土地で解説しています。

負担金は「国が10年間管理する費用」の前払い

負担金の20万円という数字には根拠があります。

国有地の種目ごとに、管理に必要な10年分の標準的な費用を考えて算定したものが負担金です。

草刈りや見回りを10年分まとめて先払いする、という性格のお金だと考えるとつかみやすくなります。

制度が始まったのは2023年(令和5年)4月27日です。開始前に相続した土地も対象に含まれるため、20年前に親から引き継いだ山林でも申請の余地があります。

負担金が20万円で止まらないのは、宅地・田畑・森林の面積区分

負担金は「原則20万円」と説明されることが多いのですが、種目によっては面積に応じて上がります。面積で算定されるのは次の3つで、それ以外の土地は面積に関係なく20万円が基本です。

土地の種目20万円で収まる面積これを超えると
市街化区域または用途地域が指定されている地域の宅地200平方メートル未満面積に応じて算定されます
農用地区域等にある田・畑20平方メートル未満面積に応じて算定されます
森林9,000平方メートル未満面積に応じて算定されます
上記以外(市街化区域外の宅地や雑種地など)面積を問いません20万円が基本です

ここで効くのは「どこにある宅地か」です。

市街化区域の外にある実家の敷地なら、200坪あっても負担金は20万円で収まります。

一方で、駅から離れていても用途地域が指定されている土地なら面積で計算されるため、敷地が広いほど負担金は上がっていきます。

農用地区域の田畑は20平方メートルという区切りが小さく、実際に耕作していた面積ならほぼ全部が面積算定に入ると考えておいてください。

隣り合う2筆は合算して計算できる

費用を下げられる可能性があるのが、合算の特例です。

隣接する2筆以上の土地が同じ種目であれば、一つの土地とみなして負担金を算定できます。

20万円という下限は土地ごとに置かれているので、別々に申請すれば20万円が2つ分になるところを、合算して1つ分に寄せられる場合があります。

ただし審査手数料のほうは筆ごとの14,000円が変わりません。

負担金は合算で1つ、手数料は筆の数だけ、という組み合わせになります。

面積区分ごとの正確な計算方法は法務省が自動計算シートを公開しているので、自分の土地の地目と面積を入れて確かめてください。

申請前に法務局で相談する際、この試算結果を持っていくと話が早くなります。

相続土地国庫帰属の申請前に自腹で出るのは、解体・測量・家財の撤去

審査手数料と負担金だけを見て「21万円で実家の土地を手放せる」と考えると、見込みが外れます。

国が引き取るのは、引き取ったあと管理に手間のかからない土地に限られるためです。

その状態に持っていくまでの費用は、すべて申請する側が負担します。

申請の段階で却下される土地と、審査で不承認になる土地は、法務省が次のように示しています。

  • 却下されるもの……建物がある土地、担保権が設定された土地、他人の利用が予定されている土地、土壌汚染がある土地、境界が確定していない土地
  • 不承認になるもの……一定の勾配と高さの崖がある土地、管理を妨げる物が地上にある土地、除去が必要な物が地下にある土地、隣接地との争いがある土地、その他管理に過分な費用や労力がかかる土地

建物が残っていれば、解体費が先に出る

母屋や物置が建っていれば、その土地は申請そのものが通りません。

更地にしてから申請することになるため、解体工事の費用が国庫帰属の費用に先立って発生します。

解体費は建物の構造と延床面積、重機が入れる道幅、アスベスト含有建材の有無、廃材の運搬距離で変わります。

同じ延床面積でも、前面道路が狭くて手壊しが増える現場は金額が跳ね上がります。

家の中に家財が残っていれば、その処分費も別に出ます。

家庭から出た不用品を運んで処分するには市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が必要で、買い取るなら古物商許可が必要です。

「無料回収」を名乗るトラックはこの許可を持っていないことが多く、渡した後で不法投棄されれば依頼した側にも話が及びます。

量と間取りごとの目安は遺品整理の費用相場で解説しています。

境界の測量は削らないほうの費目

費用を抑えたいときに省きたくなるのが境界の確定ですが、ここは削ると申請が通りません。

境界が確定していない土地は却下事由に挙がっていますし、隣接地と境界をめぐる争いがあれば不承認事由に該当します。

隣地の所有者に立ち会ってもらって境界標を確認し、必要なら土地家屋調査士に測量と境界確認書の作成を頼む工程は、審査を通すための前提工程にあたります。

費用を落とせるのは、家財の搬出を自分の手でどこまでやるか、書類の取り寄せを自分で回すか専門家に任せるかという部分です。申請書類の作成を専門家に依頼すれば、その報酬が審査手数料とは別に発生します。

国庫帰属の負担金は誰が払うか、売却や放置と比べてどちらが軽いか

兄弟で相続した土地では、負担金の出どころが最初の関門になります。

土地が共有になっている場合、申請は共有者全員で行う形になり、誰か1人が反対すれば申請は進みません。

費用の分担は制度が決めてくれるわけではないので、持分どおりに割るのか、土地を使っていた人が多めに出すのかを先に決めておいてください。

名義が亡くなった親のままなら相続登記の扱いも絡みます。

相続登記は不動産を取得したことを知った日から3年以内が義務で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料です。

2024年4月1日より前に相続した土地も対象で、その場合の期限は2027年3月31日までです。

かかる費用は相続登記の費用と登録免許税で解説しています。

売れる土地なら、売ったほうが手元に残る

国庫帰属は費用を払って手放す制度です。

買い手が付く土地であれば、売却のほうが手元にお金が残ります。

相続した空き家を売った場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があり、1981年5月31日以前に建築された家屋であることなどの要件を満たせば使えます。

対象は2027年12月31日までの譲渡で、相続人が3人以上のときは2024年1月1日以降の譲渡分について1人あたり2,000万円に下がります。

問題は、売れるかどうかの見極めに時間がかかることです。

売り出してから成約までの期間の目安は実家の売却にかかる期間で解説しています。

値段が付かない土地でも、自治体が運営する仕組みに乗せれば引き受け手が現れる場合があるため、空き家バンクの登録条件も並べて検討する価値があります。

放置を続けたときに出ていくお金

負担金20万円を高いと感じるかどうかは、持ち続けた場合の支出と並べると判断しやすくなります。

土地には毎年固定資産税がかかり、遠方なら年に数回の往復の交通費と草刈りの費用が積み上がります。

建物が傾いたり衛生上の問題が出たりして市区町村が「特定空家」または「管理不全空家」に指定し、勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例(6分の1)が外れます。

放置すれば自動で税額が上がるわけではなく、指定と勧告という段階を踏みます。

負担金に対する公的な補助は制度として用意されていません。

ただし解体費については、自治体が独自の補助制度を設けている場合があります。

内容も上限額も期限も市区町村ごとに違うので、お住まいの市区町村の空き家対策の担当窓口で、申請時期と対象になる建物の条件を確認してください。

よくある質問

審査手数料14,000円は、申請が通らなかった場合も払うのですか

審査手数料は申請書に収入印紙を貼って納める形で、申請のときに納付します。

承認された場合に追加で払うのが負担金です。

却下や不承認になったときの手数料の扱いは、申請前に法務局の窓口で確認してください。

申請を出す前に、却下事由と不承認事由に当たらないかを相談しておくと、通る見込みを立てやすくなります。

負担金はいつ払うのですか

審査を通って承認されると通知が届き、その通知に示された期限内に負担金を納めます。

期限内に納付しなければ承認の効力に影響しますので、通知が来てから20万円を用意するのではなく、申請の段階で資金の目処を付けておいてください。

所有権が国に移るのは、負担金を納付したときです。

建物が建っている土地はどうすれば申請できますか

建物がある土地は却下事由に挙がっているため、解体して更地にしてから申請する流れになります。

解体費と家財の処分費は申請する側の負担です。

金額は建物の構造と面積、重機が入れる道幅で大きく変わるため、複数の業者から内訳付きの見積もりを取ってから、負担金と合わせた総額を計算してください。

2023年より前に相続した土地も対象になりますか

対象になります。

制度が始まったのは2023年4月27日ですが、開始前に相続で取得した土地も申請できます。

何十年も名義を動かさずに持っていた山林や農地も、却下事由と不承認事由に当たらなければ申請の対象に入ります。

負担金を払えば、翌年から固定資産税はかからなくなりますか

固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課される税です。

所有権が国に移った時期によって、その年の課税の扱いが変わります。

負担金を納付した日と、課税の基準日との関係については、土地のある市区町村の資産税の担当窓口で確認してください。

まとめ

相続土地国庫帰属制度で確実に出ていくのは、申請時の審査手数料が土地一筆あたり14,000円、承認後の負担金が多くの土地で20万円です。

負担金が20万円を超えるのは、市街化区域や用途地域内の宅地、農用地区域の田畑、森林の3つで、それぞれの面積区分を超えた分だけ上がります。

そして総額を大きく左右するのは制度の費用ではなく、建物の解体と境界の測量という、申請できる状態に整えるまでの出費です。

売れる土地なら売却のほうが手元に残り、持ち続ければ固定資産税と管理費が毎年出ていきます。ぜひ本記事の費目の表と面積区分の一覧を使って自分の土地の総額を試算し、実家じまいの手順で名義の確認から順に進めてください。

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