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遺品整理の費用相場|1K〜一軒家まで間取り別の目安

遺品整理の費用相場|1K〜一軒家まで間取り別の目安

遺品整理の見積書に「作業一式」とだけ書かれていることがあります。この1行では、人件費なのか処分費なのか分からないまま、総額だけを他社と比べることになります。

国民生活センターが2018年7月19日に公表した資料には、作業当日に予定外の料金を請求され、最終的に見積金額の2倍になったという相談が挙げられています。

相談件数は2017年度で105件でした。

間取り別の相場表を眺めるより、費目ごとに分かれた見積書を複数社から取るほうが、高いか安いかを自分で判断できます。

本記事では、遺品整理の費用が何で増減するのか、当日に追加されやすい費目、そして費用を誰が負担するのかまで解説します。

遺品整理の費用は、部屋の広さより物量と搬出経路で決まる

「1Kなら何万円、3LDKなら何万円」という表はよく見かけますが、間取りは物量の代わりに使われている目安にすぎません。

同じ1Kでも、床が見えている部屋と、天井近くまで物が積まれた部屋では作業日数が変わります。

逆に一軒家でも、家具付きで生活していた期間が短ければ、3LDKのマンションより早く終わることがあります。

費用を決めているのは、運び出す物の総量と、それを何人でどれだけの距離運ぶかという2点です。間取りは、その総量をおおまかに推し量るための入口でしかありません。

見積書に並ぶ費目と、それぞれが動く条件

内訳が費目ごとに分かれている見積書なら、どこが高いのかを指さして質問できます。一般的に立つ費目と、その金額が動く条件は次のとおりです。

費目何で増減するか
人件費作業員の人数×作業日数。仕分けを遺族が済ませているかどうかで日数が変わる
車両費トラックの大きさと往復回数。家の前に停められないと台数か回数が増える
処分費運び出した物の重量と品目。自治体の処理施設へ持ち込むか、許可業者へ委託するかで単価が変わる
買取(差引)古物商許可のある業者なら、値の付いた品の査定額を総額から差し引ける
オプションハウスクリーニング、仏壇や人形の供養、エアコンの取り外し、消臭・消毒

この記事では具体的な金額を書いていません。

遺品整理の料金には公的な統計がなく、地域と処分費の単価で大きく振れるためです。

出典のない数字を目安として示すと、かえって見積書の判断を誤らせます。

代わりに、それぞれの費目が何で動くのかを押さえておけば、届いた見積書を自分の家の条件に照らして読めます。

間取り別の目安表を鵜呑みにすると外れる場面

表と実際が大きくずれるのは、床面積に対して物が多すぎる家です。

物が積み上がって部屋の奥まで入れない状態だと、搬出の前に通路を作る作業が要り、人数も日数も跳ね上がります。

この段階になると、間取りから逆算した目安はほとんど当たりません。

ゴミ屋敷の片付け費用の考え方で、物量が多い家の費用の出方を解説しています。

もうひとつ外れやすいのが、一軒家で庭や物置、屋根裏がある場合です。

室内だけを見た見積もりに、物置の中身や庭に置かれた農機具・タイヤ・土の入った植木鉢が入っていないことがあります。

見積もりの立会いでは、家の中だけでなく敷地全体を一緒に回ってください。

1Kと一軒家で差がつくのは、作業員の人数と搬出の距離

同じ量の荷物でも、運び出す経路が違えば人件費は変わります。

ここが、電話やメールの概算と現地見積もりの金額がずれる最大の理由です。

自分の家の条件を先に整理しておくと、業者に伝える情報が具体的になり、当日の追加も減ります。

階数とエレベーターの有無

エレベーターのない3階建てアパートの3階と、エレベーター付きマンションの8階では、後者のほうが安く上がることがあります。

階段でしか運べない場合、大型の家具は分解が要り、1点あたりの所要時間が延びます。

エレベーターがあっても、管理組合への使用申請や養生が必要な物件では、その手配の時間も作業日程に含まれます。

トラックを停められる位置と道路の幅

玄関先にトラックを横付けできるかどうかで、1往復あたりの手間が変わります。

道が狭くて2トン車が入らない家では、小型車で回数を増やすか、離れた場所に停めて台車で運ぶことになります。

後者は距離に比例して人件費が増えます。

見積もりを依頼するときは、家の前の道幅と、駐車できる場所があるかを先に伝えてください。

処分場までの距離と、依頼する時期

処分費は重量課金が基本ですが、そこへ運ぶまでの移動時間も金額に乗ります。

郊外の実家で最寄りの処理施設まで遠い場合、往復のたびに時間が積み上がります。

時期の影響も無視できません。

年度末や大型連休の前後は引っ越しと重なって予約が埋まりやすく、日程の選択肢が減ります。

賃貸の解約期限が決まっているなら、逆算して早めに複数社へ連絡したほうが、日程で足元を見られずに済みます。

費用を下げる余地がいちばん大きいのは、実は業者選びより前の段階です。

遺族が仕分けと小物の処分を進めておけば、作業日数そのものが減ります。

粗大ごみの出し方と申込みの流れで自治体収集の手順を解説していますので、時間に余裕があるなら大型家具の一部を自治体で出す方法も検討できます。

当日に追加される費目と、値切ると後で困る費目

国民生活センターに寄せられた相談には、作業時に予定外の料金を請求されて最終的に見積金額の2倍になった、解約を申し出たら高額なキャンセル料を求められた、処分しないよう頼んだ物を勝手に処分されたといった内容が含まれています(2018年7月19日公表)。同センターが公表した相談件数の推移は次のとおりです。

年度相談件数
2013年度73件
2014年度109件
2015年度90件
2016年度114件
2017年度105件

これより新しい件数は確認できていません。

ただ、相談の中身は現場を見ずに出した概算と、実際の作業量のずれから生まれています。

防ぐ手立ては、契約前に何が含まれ、何が含まれないかを書面で確認することに尽きます。

見積書に入っていないことが多いもの

追加になりやすいのは、室内を一周しただけでは目に入らない場所と、扱いに別料金がかかる品です。次の項目が見積書に入っているかを確認してください。

  • 押し入れの天袋、床下収納、屋根裏、物置、ベランダの中身
  • エアコン・給湯器・物干し台など、取り外し工事が要る設備
  • 畳や襖、じゅうたんの撤去
  • 仏壇・位牌・遺影・人形の供養にかかる費用と、その依頼先
  • 作業後のハウスクリーニングと、原状回復が必要な場合の補修
  • キャンセル料が発生する時期と、その算定方法

供養の扱いは、業者によって「引き取って提携先へ持ち込む」「遺族が自分で寺院へ持ち込む」の両方があります。

仏壇や位牌は祭祀(さいし)財産として扱われ、誰が引き継ぐかを家族で決める対象でもあります。

処分すると決める前に、引き継ぐ意思のある親族がいないかを確認しておいてください。

削ってはいけないのは、仕分けと貴重品の捜索の時間

総額を下げたいときに真っ先に削られるのが、遺品を1点ずつ確認する時間です。

ここを削って一括処分にすると、相続の手続きに使う書類ごと運び出されます。

処分してしまうと手続きが止まるものは決まっています。

  • 通帳・キャッシュカード・有価証券
  • 保険証券・年金手帳
  • 不動産の権利証と登記識別情報
  • 遺言書(封のあるものは開けない)
  • 印鑑と印鑑登録証
  • 貸金庫の鍵と契約書
  • 借用書・請求書などの負債が分かる書類

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、家庭裁判所の検認を受けてから開封します。

封を切ってしまうと手続きが面倒になるため、見つけたらそのまま保管してください。

公正証書遺言と、法務局の保管制度を使った自筆証書遺言は検認が不要です。

遺族が先に貴重品を探し出しておけば、この工程の人件費は下がります。

時間が取れない場合でも「探すものリストを渡し、該当しそうな物は箱にまとめてもらう」という形にすれば、費用を抑えつつ捜索を残せます。

自分で遺品整理を進める手順で、先に探しておく書類のリストを解説しています。

買取を差し引くときに確認すること

値の付いた品を買い取ってもらえば総額は下がりますが、買取をするには都道府県公安委員会の古物商許可が要ります。

許可の番号を確認し、買い取った品目と金額を明細に残してもらってください。

なお、業者が自宅を訪問して買い取る「訪問購入」は、契約書面を受け取った日から8日間クーリング・オフができ、その間は物品の引き渡しを拒めます。

その場で車に積み込ませない、というだけでも判断の時間を確保できます。

遺品整理の費用は誰が払うのか、補助は使えるのか

費用の負担者を決めないまま業者を呼ぶと、作業後に兄弟間でもめます。

法律で「遺品整理費用は誰が払う」と決まっているわけではないため、話し合いで決めるのが原則です。

実務上は、相続人で法定相続分に応じて分けるか、遺産から先に支払って残りを分けるかのどちらかが取られます。

相続人で分けるか、遺産から出すか

遺産から支払う形にするなら、相続人全員の合意を先に取ってください。

領収書と作業明細を残し、最終的な遺産分割の場で精算します。

合意がないまま1人が立て替えると、後から「そんなに高い業者に頼むとは聞いていない」という話になりがちです。

見積書の段階で全員に共有し、どの業者にいくらで頼むかまで文字で残しておくと、この種の言い争いは起きにくくなります。

相続放棄を考えているなら、処分の前に手を止める

相続財産を処分すると、単純承認したものとみなされて相続放棄ができなくなります。

故人に借金がある可能性が残っているうちは、遺品を売ったり捨てたりしないでください。

相続放棄の申述は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です(民法915条)。

起算日は亡くなった日ではありません。

この期間内であれば、家庭裁判所に伸長を申し立てることもできます。

賃貸物件で明け渡し期限が迫っている場合は、判断が難しくなります。

管理会社に事情を伝えて期限の相談をしつつ、財産と負債の調査を急ぐ段階です。

放棄を視野に入れているなら、着手の前に弁護士か司法書士へ相談してください。

自治体の補助と、葬祭費・埋葬料の扱い

遺品整理そのものに使える補助制度は、あるとしても自治体ごとの事業で、内容も期限も一律ではありません。高齢者世帯の片付けやごみ出し支援を設けている市区町村もありますので、お住まいの、あるいは実家のある市区町村の窓口で確認してください。

混同されやすいのが葬祭費と埋葬料です。

国民健康保険や後期高齢者医療の加入者が亡くなったときの葬祭費、健康保険の被保険者が亡くなったときの埋葬料(一律5万円)は、いずれも葬儀に対する給付で、遺品整理の費用を対象とするものではありません。

葬祭費の額は市区町村の条例で決まるため、金額は窓口で確かめることになります。

なお、実家が持ち家で売却まで進める場合は、片付けの費用と売却時の税の扱いをまとめて見たほうが総額を把握できます。実家じまいの費用の内訳で、片付けから売却までの流れを解説しています。

よくある質問

遺品整理の費用を故人の預金から払ってもいいですか

相続人全員の合意があれば、遺産から支払って後で精算する形は取れます。

ただし、相続放棄を考えている人が1人でもいる場合は注意が必要です。

故人の預金を使うと、単純承認とみなされて放棄できなくなる可能性があります。

負債の有無がはっきりするまでは、口座の入出金を止めておきます。

見積もりは何社から取ればよいですか

国民生活センターは、複数社から見積もりを取り、作業内容と費用を明確に書面で出してもらうよう呼びかけています。

金額だけでなく、費目が分かれているか、キャンセル料の条件が書かれているかを比べてください。

1社だけでは、その金額が高いのか安いのかを判断する材料がありません。

遺品整理士の資格があれば安心して任せられますか

遺品整理士は一般社団法人遺品整理士認定協会の民間資格で、国家資格ではありません。

この資格があっても廃棄物を運べるわけではないため、許可の有無とは別に見てください。

家庭から出た不用品を運んで処分するには市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が、買い取るなら古物商許可が要ります。

遺品整理業者を許可で見極める方法で確認の手順を解説しています。

「無料回収」のトラックに頼めば費用はかからないのでしょうか

無料をうたって巡回するトラックは、一般廃棄物収集運搬業の許可を持っていないことが多いです。

積み込んだ後に高額な運搬料を請求される、不法投棄されて排出者側が問われる、といった事態につながります。

産業廃棄物収集運搬業の許可では家庭ごみを運べません。

許可の種類と番号を示せない相手に家財を渡さないでください。

四十九日を待たないと遺品整理を始められませんか

法律上の決まりはありません。

賃貸の解約期限や、遠方から通う回数を考えると、早めに着手したほうが費用も交通費も抑えられる場面があります。

一方で、相続人の間で残す物の合意が取れていない段階で進めると、後から「あれを捨てたのか」という話になります。

遺品整理を始める時期の考え方で、四十九日前に着手する場合の進め方を解説しています。

まとめ

遺品整理の費用は、間取りではなく物量と搬出経路、そして遺族がどこまで仕分けを済ませているかで決まります。

届いた見積書を判断するときは、人件費・車両費・処分費が分かれて書かれているか、物置やベランダ、エアコンの取り外しまで含まれているかを見てください。

総額が同じでも、含まれる範囲が違えば当日の追加額が変わります。

削ってよいのは自分で運び出せる物の量であって、貴重品を探す時間ではありません。

通帳や権利証、遺言書を処分してしまうと相続の手続きが止まり、費用を節約した以上の時間を失います。

相続放棄を検討しているなら、3か月の期限内に財産と負債を調べるほうが先です。

ぜひ本記事の費目の一覧と「見積書に入っていないことが多いもの」のリストを手元に置いて、複数社の見積書を同じ項目で並べて比べてみてください。

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