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遺品整理を自分でやる手順|先に探すべき書類のリスト付き

遺品整理を自分でやる手順|先に探すべき書類のリスト付き

遺品整理で最初に手をつけるのは、衣類でも食器でもなく書類の捜索です。

通帳や保険証券、不動産の権利証、遺言書、貸金庫の鍵を先に回収してください。

紙ごみの袋に入れてしまうと、相続の手続きがそこで止まります。

片づけそのものに法律で決められた期限はありません。

ただ、相続放棄は自分が相続人だと知った時から3か月、相続税の申告は相続の開始を知った日の翌日から10か月です。

賃貸なら、契約書に書かれた解約予告の期間が実質の締切になります。

本記事では、捨てる前に探す書類と探し場所・戸籍や登記事項証明書の取り寄せ先・自分でやるか業者に頼むかの分かれ目を解説します。

遺品整理を自分でやる流れは、探し物から始める6ステップ

自分で進める場合、作業は次の6ステップに収まります。部屋数が多いほど2番目と5番目に時間を取られ、遠方から通うなら移動の日も工程のうちに数えてください。

順番やることつまずきやすい点
1貴重品と書類を探して1か所にまとめるごみ袋に混ざると取り戻せない
2残す・処分する・保留の3つに分ける保留の置き場を決めないと手が止まる
3残す候補を写真に撮って相続人に共有する後から「あれはどうした」と言われる
4供養が要るものを分けて日程を取る菩提寺(ぼだいじ)の都合で先延ばしになる
5自治体の区分で分別し、粗大ごみを申し込む収集日が数週間先になることがある
6買取・搬出・清掃をして鍵を返す明け渡し日が動かせない

この並びで入れ替えられないのが1番目です。

衣類や食器から片づけると、封筒に入った証券や権利証が新聞紙や雑誌と一緒に紙ごみへ流れます。

一度収集に出た紙束は戻ってきません。

半日でも一日でも、最初の時間はまるごと書類の捜索にあててください。

相続放棄を考えているなら、処分の前にいったん止める

故人に借金がありそうなときは、片づけそのものを保留にします。

遺品を売ったり捨てたりすると、相続を承認したものとみなされて放棄が認められなくなることがあるためです。

形見分けも買取も、借金の有無がはっきりするまで手を付けないでください。

相続放棄の3か月は、亡くなった日からではなく、自分が相続人だと知った時から数えます。

調査が終わらないまま期限が近づいた場合、期間内であれば家庭裁判所に伸長の申立てができます。

何から手を付けるかで迷っている段階なら、遺品整理を何から始めるかの順番で解説しています。

捨てる前に探す書類|通帳・権利証・遺言書は処分すると手続きが止まる

探すのは次のものです。相続の手続きで必ず求められるか、無いと財産の全体像がつかめないものだけを挙げています。

  • 通帳・キャッシュカード
  • 保険証券(生命保険・医療保険・火災保険)
  • 年金手帳、年金の振込通知
  • 不動産の権利証、登記識別情報通知
  • 遺言書
  • 実印・銀行印と印鑑登録証
  • 貸金庫の鍵と契約書
  • 株式や投資信託の取引報告書
  • 借用書、消費者金融の明細

口座は通帳よりも郵便物から追える

通帳を持たないネット専業の口座が混ざっていると、部屋をいくら探しても紙が出てきません。

手がかりになるのは郵便物です。

取引報告書や「お知らせ」のハガキが届いていれば、そこに金融機関名が書かれています。

郵便物は少なくとも数か月分をまとめて保管し、判断がつくまで捨てないでください。

見つかりやすいのは、仏壇の引き出し、押し入れの上段に置かれた菓子箱、タンスの一番下の段、それに冷蔵庫や電子レンジの上です。本のページの間や、着物のたとう紙にはさまっていることもあります。

保険証券は、死亡保険金だけでなく火災保険も探す

生命保険は請求しなければ支払われません。

証券が見つからなくても、通帳に保険料の引き落としが残っていれば保険会社をたどれます。

実家を売るまで空き家として置くなら、火災保険の契約者名義や補償の期間も確認しておいてください。

名義が故人のままだと、いざ何かあったときに支払いで揉めます。

不動産は、権利証より固定資産税の納税通知書が早い

権利証(登記識別情報通知)は探すのに手間がかかるうえ、あっても登記そのものには必須ではない場面があります。

手っ取り早いのは毎年4月から6月ごろに届く固定資産税の納税通知書で、所在地と地番、評価額がまとめて載っています。

これがあれば法務局で登記事項証明書を取り寄せられます。

相続登記は不動産を取得したことを知った日から3年以内が期限で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。

2024年4月1日より前に相続した不動産も対象になり、その場合の期限は2027年3月31日となっています。

遺言書は封を開けずに家庭裁判所へ持ち込む

封のある遺言書が出てきたら、その場で開けないでください。

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、家庭裁判所の検認を受けてから開封します。

公正証書遺言と、法務局の自筆証書遺言書保管制度を使ったものは検認が要りません。

仏壇の引き出しや貸金庫から出てくることが多いので、鍵と契約書も一緒に押さえておきます。

実印と印鑑登録証は、見つけた時点で別の袋に入れる

印鑑は小さく、片づけの途中で紛れます。

実印と銀行印、印鑑登録証(カード)は、見つけた時点で書類とまとめてジッパー付きの袋に入れ、持ち帰ってください。

貸金庫の鍵も同じです。

鍵だけ出てきて契約書が見つからないと、どの支店の金庫か分からないまま金融機関に問い合わせることになります。

戸籍と登記事項証明書の取り寄せ先と、四十九日・解約日からの逆算

書類を回収したら、次は相続人を確定させるための取り寄せに移ります。片づけの作業と並行して進められるので、通うついでに窓口を回るほうが効率的です。

戸籍は本籍地の市区町村、郵送だと往復の日数を見る

相続の手続きでは、故人の出生から死亡までの連続した戸籍が求められます。

転籍や婚姻で本籍が移っていると、その数だけ別の市区町村に請求することになります。

窓口へ行けない場合は郵送請求になり、申請書と定額小為替、返信用封筒を送って返送を待つため、往復で日数がかかります。

手数料と必要書類は市区町村ごとに違うので、送る前に各自治体の案内を確認してください。

取り寄せる書類は、死亡の記載がある戸籍だけでは足りません。

その前の除籍謄本や改製原戸籍謄本まで遡って揃えます。

相続人が兄弟姉妹になる場合は、親の戸籍まで必要になり、枚数も日数も一気に増えます。

登記事項証明書は法務局、どの法務局でも取れる

不動産の登記事項証明書は、全国どこの法務局でも取得できます。

名義が親のままかどうかは甲区(所有権に関する事項)を見れば分かります。

抵当権が残っているかどうかは乙区です。

手数料は改定されることがあるため、請求前に法務局の現行の料金を確認してください。

法律の期限と、部屋を空ける期限は別々に管理する

遺品整理には法律上の期限がありません。

四十九日まで手を付けないという考え方もありますし、遠方から通うなら初七日の翌週から始めても差し支えありません。

区切りの日をどう置くかは遺品整理を始める時期の考え方で解説しています。

一方で、動かせない期限は2種類あります。手続きの期限と、部屋を空ける期限です。

期限起算日内容
7日死亡の事実を知った日死亡届の提出
10日・14日死亡日年金の受給停止(厚生年金10日・国民年金14日)
3か月自分が相続人だと知った時相続放棄・限定承認の申述
4か月相続の開始を知った日の翌日準確定申告
10か月相続の開始を知った日の翌日相続税の申告・納付
3年不動産を取得したことを知った日相続登記の申請

賃貸住宅なら、この表とは別に解約予告の期間を確認してください。

契約書に「解約は1か月前までに通知」と書かれていれば、通知を出した日から逆算して搬出の日程を組みます。

家賃が日割りか月割りかでも、急ぐ理由の重さが変わります。

自分でやる遺品整理が止まるのは、粗大ごみの収集日と兄弟の同意

作業そのものより、待ち時間と人間関係で止まります。あらかじめ分かっていれば先に手を打てる箇所です。

粗大ごみは申し込んでから収集日まで待つ

タンスやベッド、ソファは自治体の粗大ごみに出せますが、電話やインターネットで申し込んでから収集日が指定される仕組みです。

年度末など混み合う時期は、収集日が数週間先になることもあります。

搬出日が決まっているなら、分別より先に申し込みだけ済ませてください。

申込みから収集までの流れは粗大ごみの出し方の4ステップで解説しています。

なお、エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機といった家電は、自治体の粗大ごみとして出せないことがあります。

パソコンや消火器、タイヤも同様に別のルートになりがちです。

市区町村のごみ分別の案内で、対象品目と出し方を先に確認してください。

階段とエレベーターの有無で、必要な人手が変わる

2階から下ろす家具が何点あるか、エレベーターが使えるか、トラックを建物の前に停められるか。

この3点で作業量がまるで違ってきます。

大型の家具を階段で下ろすには最低2人要りますし、廊下の幅によっては分解が必要です。

1人で通っているなら、大物だけを業者に任せる分け方も現実的でしょう。

仏壇・遺影・位牌は、引き継ぐ人が決めてから動かす

仏壇や位牌といった祭祀(さいし)財産は、相続財産とは別に1人が引き継ぎます。

誰が引き継ぐかの指定がなければ慣習によることになり、それでも決まらなければ家庭裁判所が定めます。

相続を放棄した人でも引き継げます。

引き継ぐ人が決まらないうちに処分すると、後から強い反発が出る部分です。

お焚き上げや閉眼供養を頼むなら、菩提寺や仏具店に連絡して日程を押さえます。

人形やお守りも同じ扱いにしたいなら、まとめて相談したほうが一度で済みます。

供養を頼まない場合でも、自治体のごみとして出す前に、家族の間で一言合意を取っておいてください。

形見分けは、処分する前に写真で共有する

後で揉める典型が、片づけた側だけが現物を見ている状態です。

残す候補を並べて写真に撮り、相続人全員にまとめて送ってから決めると、話が早く進みます。

貴金属や骨董品のように値段が付くものは、勝手に分けずに査定を取って金額を共有してください。

遺産分割の対象になります。

遺品整理を自分でやるか業者に頼むかは、部屋数と残り日数で分かれる

判断材料は、間取り・搬出経路・残り日数・通える人数の4つです。

ワンルームで大型家具が少なく、期限まで1か月あるなら自分で片づけられます。

戸建てで2階に家財が残り、明け渡しまで2週間しかないなら、仕分けだけ自分でやって搬出を頼むほうが現実的です。

費用は量で決まります。

トラックの台数、作業員の人数と時間、階段作業の有無、エレベーターの可否、買取に回せるものがどれだけあるか。

この積み上げで見積額が動きます。

間取りごとの目安は遺品整理の費用相場で解説しています。

免許のある業種ではないので、許可の有無で見分ける

遺品整理業そのものに免許はありません。

家庭から出た不用品を運んで処分するには、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が要ります。

買い取るなら、都道府県公安委員会の古物商許可です。

産業廃棄物収集運搬業の許可では家庭ごみを運べません。

「遺品整理士」は民間資格であって、廃棄物を運べる資格ではないため、許可とは別に見てください。

見分け方は遺品整理業者の許可の確かめ方で解説しています。

相談件数は年100件前後で推移している

国民生活センターがまとめた遺品整理サービスの相談件数は、次のように推移しています(国民生活センター「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル」/2018年7月時点)。

  • 2013年度 73件
  • 2014年度 109件
  • 2015年度 90件
  • 2016年度 114件
  • 2017年度 105件

同センターが挙げている型は3つあります。

作業中に予定外の料金を請求されて最終的に見積額の2倍になった例、解約を申し出たら高額なキャンセル料を求められた例、処分しないよう頼んだ物を勝手に処分された例です。

いずれも、書面がないまま作業が始まったことが共通しています。

見積書は、費目とキャンセル料まで紙に書いてもらう

同センターは、複数社から見積もりを取ること、作業内容と費用を書面で明確にしてもらうこと、料金とキャンセル料と具体的な作業内容を事前に確認すること、残す遺品と処分する遺品を先に分けておくことを挙げています。

総額だけの口頭見積もりは受けないでください。

追加料金が出る条件を、その場で書き足してもらうと後の争いが減ります。

買取を伴う場合は、業者が自宅を訪問して買い取る「訪問購入」にあたります。

契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができ、その間は物品の引き渡しを拒めます。

その場で持ち帰らせず、いったん書面を読んでから決めて構いません。

よくある質問

遺品整理は四十九日を過ぎてからでないといけませんか

法律上の決まりはありません。

賃貸の解約日が決まっている、遠方から通えるのが今月だけ、といった事情があるなら、四十九日を待たずに始めて差し支えありません。

ただし、相続人が複数いるなら、いつ誰が入って何を残すのかだけは先に共有しておいてください。

通帳が見つかりません。口座はどうやって調べますか

取引のあった金融機関に相続人から問い合わせると、残高証明書を出してもらえます。

手がかりは郵便物、カレンダーや粗品、通帳ケースなどです。

必要な戸籍や本人確認の書類は金融機関ごとに違うので、事前に窓口で確認してから出向いてください。

封がされた遺言書が出てきました。開けていいですか

開けないでください。

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、家庭裁判所の検認を受けてから開封します。

公正証書遺言と、法務局の自筆証書遺言書保管制度を使ったものについては検認が不要です。

どの種類か分からないうちは、封のまま保管しておきます。

「無料回収」と書かれたトラックに渡してもいいですか

渡す前に、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているか確認してください。

家庭から出た不用品を運んで処分するにはこの許可が要ります。

許可のない相手に渡すと、不法投棄された場合に出した側が説明を求められることがありますし、積み込んだ後で高額な料金を請求される例も報告されています。

遺品整理士がいる業者なら任せて大丈夫ですか

遺品整理士は一般社団法人遺品整理士認定協会の民間資格で、国家資格ではありません。この資格があるからといって廃棄物を運べるわけではないため、一般廃棄物収集運搬業の許可と古物商許可の有無を別に確認してください。

相続放棄をするつもりですが、部屋の片づけはできますか

遺品を売却したり処分したりすると、相続を承認したものとみなされて放棄が認められなくなることがあります。

放棄を検討している段階では、搬出も買取も止めておいてください。

3か月の期限が迫っているなら、期間内に家庭裁判所へ伸長の申立てをして、財産と負債の調査に時間を確保する方法があります。

まとめ

自分で遺品整理を進められるかどうかは、体力や日数より先に、書類を回収し終えているかで決まります。

通帳と保険証券、権利証、遺言書、貸金庫の鍵を押さえてしまえば、あとの片づけは順番を多少入れ替えても取り返しがつきます。

逆にここを飛ばすと、相続の手続きが止まったまま部屋だけが空になります。

粗大ごみの収集日や供養の日程は、申し込んでから待つ時間が発生します。

搬出日が決まっているなら、分別より先に予約から入れてください。

業者に頼む部分を切り出すときは、許可の有無と、費目まで書かれた見積書の2点で判断できます。

ぜひ本記事の「捨てる前に探す書類」のリストを手元に置いて、最初の一日を書類の捜索にあててください。

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