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特殊清掃とは?依頼が必要になるケースと作業内容を解説

特殊清掃とは?依頼が必要になるケースと作業内容を解説

部屋の状態を見た管理会社から、その場で清掃業者の連絡先を渡されることがあります。

電話をかける前に、ひとつだけ先に決めることがあります。

相続放棄をするなら、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する決まりで、その前に遺品を処分すると単純承認したものとみなされ、放棄ができなくなります。

特殊清掃は、体液やにおいが残った部屋を人が住める状態まで戻す作業です。

金額も日数も、汚れがどこまで染みたかと、建物の条件で変わります。

本記事では、清掃より先に決める相続の判断・撤去から原状回復までの作業内容・捨てる前に探す書類・業者の許可の見分け方を解説します。

相続放棄の3か月が先、特殊清掃の手配はそのあと

故人に借金があるかどうかが分からない段階で部屋を片づけると、あとで選べる道が減ります。

相続放棄の期限は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月です(民法915条)。

起算日は亡くなった日ではありません。

遠方に住んでいて、亡くなったこと自体を後日知らされた場合は、その知った時から数えます。

財産の調査が3か月で終わらないときは、期間内であれば家庭裁判所に伸長を申し立てられます。

この3か月のあいだに避けるのが、相続財産の処分です。

預金を引き出す、家財を売る、価値のある品物を持ち帰る——こうした行為は単純承認とみなされ、借金も含めて全部を引き継ぐ扱いになります。

汚染された畳や寝具の撤去が処分にあたるかどうかは、判断が分かれる論点です。

放棄する可能性が残っているなら、発注の前に弁護士か司法書士へ確認してください。

借金の心配がないと分かっているなら、ここで止まる理由はありません。

においは日数とともに強くなり、体液は床材の内部へ進みます。

着手が遅れるほど、剥がして交換する範囲が広がります。

発見からの動き方は孤独死の特殊清掃はいつから始めるかで解説しています。

特殊清掃と遺品整理は、必要な許可も頼む相手も違う

この3つは現場で同時に進むことが多く、見積書の中でも混ざります。ただし作業の中身も、業者に要る許可も別です。

呼び方中心になる作業不用品を運ぶときに要る許可
特殊清掃体液や腐敗物で汚れた部分の撤去、消毒、消臭、内装の復旧一般廃棄物収集運搬業(市区町村)
遺品整理家財と私物の仕分け、搬出、買取、室内の清掃一般廃棄物収集運搬業(市区町村)/買い取るなら古物商許可(都道府県公安委員会)
ハウスクリーニング生活汚れの洗浄と設備の清掃家財の処分を伴わなければ不要

家庭から出たものを運んで処分するには、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が要ります。

産業廃棄物収集運搬業の許可では家庭ごみを運べません。

この違いは、電話口では確認しにくい部分です。

会社名と許可の種類、許可を出した自治体名を聞いて、見積書に書いてもらってください。

「無料回収」を名乗って回るトラックは、この許可を持っていないことがあります。

あわせて名前が出るのが遺品整理士です。

一般社団法人遺品整理士認定協会の民間資格で、国家資格ではありません。

この資格があるから廃棄物を運べる、という関係にはならないので、許可の有無とは別のものとして見てください。

仕分けから搬出までの全体像は遺品整理とは何から始めるかで解説しています。

においが消えず床にしみが出ていれば、依頼が必要な状態

自分で拭けば済むのか、業者を呼ぶ状態なのか。

線を引くのは、汚れが表面で止まっているか、下地まで届いているかです。

フローリングの継ぎ目や畳の縁から液体が入ると、合板や根太(ねだ)まで達します。

ここまで進むと、表面を洗剤で拭いても、においのもとは床の下に残ったままです。

依頼が要る状態かどうかは、次の点で判断できます。

  • 窓を開けて数時間換気しても、においが戻ってくる
  • 床や畳、寝具に色の変わったしみが広がっている
  • ハエやウジ、その死骸が室内や玄関先に出ている
  • 隣室や階下、共用廊下から苦情が出ている
  • 室内にごみや排泄物が積み上がり、床面が見えない

依頼につながる場面は、発見までに日数が経った死亡だけではありません。

室内での事故や自死、長期の在宅療養で寝具や床が傷んだ部屋、ごみが堆積した住居、動物を多く飼っていた住居も対象になります。

共通しているのは、有機物が建材に入り込んでいて、掃除では元に戻らないという点です。

体液や害虫に触れる作業には感染の心配もあります。素手や普段着で作業を始めず、体調に不安が出たときは医療機関に相談してください。

撤去・消毒・消臭・復旧|特殊清掃の作業内容

現場ごとに手順の名前は違いますが、進む順番はおおむね共通しています。見積書の費目もこの区分に沿って並ぶため、どの段階までを頼んだのかを把握しておくと、追加請求の話になったときに確認しやすくなります。

汚染された部分の撤去と搬出

体液が染みた寝具、カーペット、畳をまず運び出します。

汚れの範囲によっては、フローリングや壁紙、押し入れの板まで剥がします。

ここで出たものは家庭から出た廃棄物として処分するため、運搬にも処分にも許可が要ります。

消毒と害虫の駆除

撤去で露出した下地を薬剤で処理し、発生した虫を駆除します。虫が壁の中や隣室へ移っていることもあり、1回で終わらない場合があります。

消臭と脱臭

においは、撤去と消毒だけでは落ちきらない部分が残ります。

薬剤を使った処理や機械による脱臭を行い、数日おいてから状態を確かめ、戻っていれば再度処理します。

回数が読めないところなので、見積の段階で「何回までが契約に含まれるか」を聞いてください。

内装の解体と原状回復

剥がした床材や壁紙を張り直し、場合によっては下地の合板から交換します。

ここは清掃ではなく内装工事に近い作業で、業者によっては別会社が入ります。

見積書が清掃までなのか、復旧まで含むのかで総額が大きく動きます。

依頼から完了までの進み方は特殊清掃の手順で解説しています。

汚染の深さと搬出経路で変わる特殊清掃の費用

同じ間取りでも、金額はそろいません。動かしているのは次の条件です。

  • 汚れが床の表面で止まっているか、合板や根太、コンクリートの下地まで達しているか
  • 撤去する家財の量と、部屋数
  • 階数とエレベーターの有無、階段の幅と曲がり
  • 建物の前にトラックを止められるか、横付けできない場合の手運びの距離
  • 消臭を何回行うか、再処理が要るか
  • 内装の復旧をどこまで含めるか
  • 遺品整理を同じ業者に一括で頼むか、分けるか

見積は現地を見てからでないと出ません。

電話だけで総額を口にする業者には、その金額の根拠を書面で求めてください。

確認するのは、人件費・廃棄物の処分費・薬剤や機材の費用・解体や復旧の工事費が、それぞれ分かれて書かれているかどうかです。

総額だけの一行見積は、作業後に「想定より汚染が深かった」という説明で増えます。

追加が発生する条件と、その場合の単価まで契約前に書面へ落としておくと、後から金額の話にならずに済みます。

費用を下げる余地があるのは、汚染していない家財です。

押し入れの衣類や食器、家具のうち、においが移っていないものは自治体の粗大ごみとして出せます。

粗大ごみの出し方で申込みから収集までの流れを解説しています。

状況別の費用の見方と、保険が使えるかどうかの確認先は特殊清掃の費用相場で解説しています。

費用を払う人と、作業を発注できる人は同じとは限らない

賃貸物件では、部屋の所有者は大家で、借りていた地位(賃借権)は相続財産に含まれます。

原状回復の義務を引き継ぐのは相続人ですが、工事そのものは建物の所有者側が手配して進むことも多く、費用の請求だけが後から遺族に届く形になります。

連帯保証人が別にいる場合は、保証人へ請求が行くこともあります。

誰に請求権があるのかは契約書の内容で変わるため、賃貸借契約書と保証契約書を先に取り寄せてください。

相続放棄をした場合、部屋を片づける義務も引き継ぎません。

それでも管理会社から片づけを求められることはあり、応じて費用を出すと単純承認を疑われる場面が出てきます。

放棄と原状回復が重なったときは、自分で判断せず弁護士に確認する段階です。

負担の分かれ方は孤独死の特殊清掃は誰が払うかで解説しています。

持ち家の場合、建物は相続人全員の共有になります。

清掃だけなら緊急の対応として1人が手配することもありますが、床や壁を剥がす解体工事まで進むなら、相続人全員の合意を取ってから発注してください。

あとから「聞いていない」という話が出ると、費用の分担でもめます。

見積書と作業前後の写真は、人数分を共有できる形で残しておきます。

警察の対応が終わるまで特殊清掃は始められない

発見の直後、室内は警察の管理下に入ります。

事件性の有無を調べる手続き(検視(けんし))が終わり、鍵が戻るまで、遺族でも自由に立ち入れません。

業者へ現地を見てもらえるのもそのあとです。

連絡だけは先に入れて、鍵が戻る見込みの日を伝えておくと、日程が押しにくくなります。

部屋の作業と並行して、期限の決まった手続きが走ります。清掃の段取りに気を取られて、こちらを落とさないでください。

手続き期限窓口
死亡届死亡の事実を知った日から7日以内死亡地・本籍地・届出人の所在地の市区町村
年金の受給停止厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内年金事務所または市区町村
世帯主変更届14日以内(15歳以上が2人以上残る場合)市区町村
相続放棄・限定承認相続の開始を知った時から3か月以内家庭裁判所
準確定申告相続の開始を知った日の翌日から4か月以内税務署
相続税の申告・納付相続の開始を知った日の翌日から10か月以内税務署
相続登記取得を知った日から3年以内法務局

賃貸なら、これに解約の予告期間が加わります。

契約で1か月前や2か月前の通知が定められていることが多く、通知が遅れるとその分の賃料が発生し続けます。

四十九日を過ぎてから手をつけると、汚染の進行と賃料の両方が重なります。

気持ちの整理を待ちたい場合でも、解約通知と清掃の着手だけは日付で区切って動かしてください。

捨てる前に探す|通帳・権利証・遺言書は清掃で失われる

特殊清掃では、汚染した家財をまとめて搬出します。

作業が始まってからでは書類を探せません。

着手前に、次のものを探して別の場所へ移してください。

  • 通帳とキャッシュカード
  • 生命保険・損害保険の証券
  • 年金手帳と年金証書
  • 不動産の権利証、登記識別情報
  • 遺言書
  • 実印と印鑑登録証
  • 貸金庫の鍵と契約書
  • 株式や投資信託の取引報告書
  • 借用書、消費者金融の契約書、督促状

探す場所は、仏壇の引き出し、寝室のタンスの最上段、押し入れの奥、冷蔵庫の上の封筒あたりに集中します。借金の有無を確かめる手がかりになるのは督促状とカードの明細なので、放棄を検討しているなら郵便物も捨てないでください。

封をされた遺言書が出てきたら、その場で開けないことです。

自筆証書遺言と秘密証書遺言は家庭裁判所の検認が要ります。

公正証書遺言と、法務局の保管制度を使った自筆証書遺言は検認が不要です。

どれにあたるか分からないうちは、封のまま保管してください。

汚染がひどく遺族が室内に入れない場合は、探してほしいものの一覧を業者に渡し、見つけた時点で写真を送ってもらう形にします。

汚れた紙の扱いも含め、遺品整理を同時に頼むかどうかで作業量が変わります。

間取り別の目安は遺品整理の費用相場で解説しています。

先送りするほど、においは共用部へ移り特殊清掃の範囲が広がる

放置して起きるのは、においの拡散です。

室内にとどまっていたにおいが、換気口や配管、玄関の隙間から共用廊下や隣室へ移ります。

そうなると清掃の対象は1室では収まらず、共用部の消臭や隣室の対応まで求められる場面が出てきます。

虫も同じで、室内で発生したものが壁の中を通って移動します。

体液の浸透も止まりません。

表面の張り替えで済んだはずの床が、下地の交換まで必要になります。

持ち家の場合は、そのまま空き家として残る問題が加わります。

倒壊のおそれや衛生上の問題があると市区町村が判断すれば「特定空家」に、そうなるおそれがある状態なら「管理不全空家」に指定されます。

指定されて勧告を受けた段階で、固定資産税の住宅用地特例(6分の1)が外れます。

放置すれば自動的に税額が上がるのではなく、指定と勧告の段階を踏む仕組みです。

登記も止まります。

相続登記は2024年4月1日から義務になり、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象です。

2024年4月1日より前に相続した不動産も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。

売却を考えるなら、相続した空き家を売ったときの譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。

1981年5月31日以前に建築された家屋であることなどの要件があり、2027年12月31日までの譲渡が対象です。

相続人が3人以上の場合、2024年1月1日以降の譲渡では1人あたり2,000万円に下がります。

使えるかどうかは建築時期と売却時期で変わるため、清掃と解体の順番を決める前に税理士へ確認してください。

よくある質問

特殊清掃は自分でできますか

汚れが床の表面で止まっていて、においが換気で消えるなら、家庭用の洗剤で対応できる範囲です。

床材の継ぎ目から液体が入っている場合は、表面を拭いても下地に残ります。

虫や体液に触れる作業には感染の心配もあるため、防護具なしで進めないでください。

見積もりは電話だけで出ますか

汚染がどこまで届いているかは、現地を見なければ分かりません。

電話で総額だけを伝えてくる場合は、その根拠を書面で求めてください。

人件費・処分費・薬剤費・復旧工事費が分かれて書かれているかを確認します。

相続放棄をした場合でも部屋を片づける必要はありますか

放棄すれば賃借人の地位を引き継がないため、原状回復の義務も引き継ぎません。

ただし現実には管理会社から片づけを求められることがあり、費用を負担すると単純承認とみなされる可能性が出ます。

この場面は自分で結論を出さず、弁護士に確認する段階です。

業者が遺品を買い取ると言ってきたら応じてよいですか

買取をするには都道府県公安委員会の古物商許可が要ります。

許可番号を確認してください。

業者が訪問して買い取る取引は、契約書面を受け取った日から8日間クーリング・オフができ、その間は品物の引き渡しを拒めます。

放棄を検討中なら、売却そのものを止めておきます。

仏壇や遺影、人形はどう処分すればよいですか

家財としてまとめて運び出す扱いと、寺院や神社で供養してから処分する扱いがあります。

業者によっては供養の手配まで含む場合があり、別料金になることもあります。

含まれるかどうかを見積の段階で確認してください。

におい消しが終わったかどうかは、どう確かめますか

作業直後は薬剤のにおいが残るため、その場では判断できません。

数日あけて窓を閉め切った状態で入り、戻っていないかを確かめます。

再処理が契約に含まれる回数を、着手前に書面で決めておいてください。

賃貸の解約はいつ伝えればよいですか

契約で予告期間が定められていて、1か月前や2か月前の通知が一般的です。

通知が遅れた分だけ賃料が発生し続けます。

相続放棄を検討している場合は、解約の意思表示が財産の処分にあたるかどうかの問題が出るため、通知の前に専門家へ確認してください。

まとめ

特殊清掃は、汚れがどこまで届いたかで作業も金額も変わる工事に近い作業です。

ただし、部屋に手をつける前に決めることがあります。

相続放棄の3か月と、遺品を処分した時点で放棄ができなくなる線引きです。

そのうえで、通帳や権利証、遺言書を先に抜き出してから搬出を始めれば、相続の手続きが止まりません。

業者を選ぶときに見るのは、一般廃棄物収集運搬業の許可と、費目が分かれた書面の見積です。

ぜひ本記事の依頼が必要な状態の目安と、費用を動かす7つの条件を手元に置いて、現地見積の場で確認してください。

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