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孤独死の特殊清掃はいつから始める?発見後の流れを解説

孤独死の特殊清掃はいつから始める?発見後の流れを解説

警察から連絡を受けた時点では、部屋の鍵はまだ手元にありません。

孤独死の現場に清掃業者を入れられるのは、警察の現場での調べが終わり、鍵が遺族か管理会社へ戻ってからです。

それまでは待つしかない一方で、室内の状態は日ごとに変わり、においが階下や隣室へ広がれば作業の範囲も広がります。

急いで家財を処分すると別の問題が起きます。

相続財産を処分したとみなされると、自分が相続人だと知った時から3か月以内という相続放棄の判断ができなくなることがあります。

順番を間違えると戻せない工程が、この最初の数日に集まっています。

本記事では、鍵が戻ってから清掃を発注するまでの順番・捨てる前に探す通帳や権利証の在りか・賃貸の解約日と四十九日から日取りを逆算する考え方を解説します。

孤独死の特殊清掃はいつから始められるか|鍵が戻るまでは部屋に入れない

着手できるのは、警察による現場の調べが終わり、室内への立ち入りが認められてからです。

事件性の有無を確認している間は、遺族であっても中に入れません。

鍵を警察が預かっている場合もあり、いつ戻るかは現場ごとに違います。

まずは担当の警察署に、立ち入りができる時期と鍵の受け渡し方法を確認するところから始まります。

発見から作業完了までの段取り

段階やること主に動く人
1警察の調べが終わるのを待ち、立ち入りの可否と鍵の所在を確認する遺族・管理会社
2賃貸なら管理会社か大家へ連絡し、誰が業者を手配するかを決める遺族・貸主
3業者に現地を見てもらい、汚損の範囲を確認したうえで見積書を受け取る遺族(相続人)
4においと害虫の広がりを止める作業を先に入れる業者
5通帳・権利証・遺言書など、捜索を依頼した物を回収する業者・遺族
6家財の搬出と処分、床材や壁の張り替えなどの原状回復業者・管理会社

全体でどれくらいかかるかは、汚損が床下や壁の内側まで及んでいるかで大きく変わります。

表面の清掃と消臭で収まる部屋と、床材を剥がして下地から入れ替える部屋とでは、日数も立ち会いの回数も別物です。

作業の中身そのものは特殊清掃の作業内容と依頼が必要になるケースで解説しています。

待っている間にできること

部屋に入れない期間は、手続きの側を進める時間に充てられます。

死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡地・本籍地・届出人の所在地のいずれかの市区町村へ提出します(戸籍法86条)。

孤独死では発見日が起算日になるため、葬儀社との相談と並行して進めることになります。

年金を受けていたなら、厚生年金は死亡から10日以内、国民年金は14日以内に年金事務所または市区町村へ届け出ます。

同じ世帯に15歳以上の人が2人以上残るなら、世帯主変更届も14日以内です。

ひとり暮らしの親が亡くなった場合、この届出は要りません。

先に決めておく「誰が発注するか」

見積もりを取る前に、契約者を決めておいてください。

賃貸であれば、部屋の原状回復について責任を負うのは借主側です。

相続人が複数いるのに、たまたま現地へ行ける一人が独断で発注すると、あとから費用の分担でもめます。

発注者名と支払方法を、兄弟に一度メールで共有しておくだけでも違います。

貸主と遺族のどちらが負担するかという論点は孤独死の特殊清掃を誰が払うかの整理で解説しています。

通帳・権利証・遺言書を捨てると相続の手続きが止まる

清掃と同時に家財が運び出されると、書類は二度と出てきません。

汚損した部屋では、遺族が自分で探せる範囲が限られます。

そのぶん、何を探してほしいかを業者へ先に伝えておく作業が重要になります。

捨てる前に探すもの

相続の手続きで使うのは次のものです。

  • 預金通帳・キャッシュカード
  • 生命保険・損害保険の証券
  • 年金手帳や年金の通知書
  • 不動産の権利証と登記識別情報
  • 遺言書
  • 実印と印鑑登録証
  • 貸金庫の鍵と契約書
  • 株式や投資信託などの取引報告書
  • 借用書やローンの契約書

借用書とローンの契約書は、見つかったほうが困る書類に見えるかもしれません。

ただ、借金の総額が分からないまま3か月が過ぎると、相続放棄という選択肢そのものが使えなくなります。

プラスの財産と同じ優先度で探してください。

仏壇の引き出し、押し入れの奥の菓子缶、冷蔵庫の上、本棚に差した封筒あたりが、実務では確認先になります。

遺言書は封を開けずに持ち込む

封のある遺言書が出てきても、その場で開けないでください。

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、家庭裁判所の検認を受ける必要があります(民法1004条)。

公正証書遺言と、法務局の自筆証書遺言書保管制度を使ったものは検認が要りません。

封筒に法務局の記載があるかどうかで扱いが変わるため、写真を撮って封のまま保管しておきます。

仏壇・位牌・写真は家財と分けて伝える

見積書の上では、仏壇も食器棚も同じ「家財」です。

供養してから処分したいものがあるなら、作業前に業者へ伝えて分けてもらってください。

仏壇・位牌・遺影・神棚・人形は、扱いを相談できる業者が多い品目です。

なお、墓や仏壇などの祭祀(さいし)財産は相続財産とは別に1人が引き継ぐ決まりで、相続放棄をした人でも引き継げます(民法897条)。

処分するか誰かが引き取るかは、放棄の判断とは切り離して考えられます。

部屋全体の片づけをどの順番で進めるかは遺品整理を何から始めるかの手順で解説しています。

賃貸の解約日と四十九日から、特殊清掃の日取りを逆算する

「いつから始めるか」を決める材料は、法律の期限と、賃貸契約の期限の2種類です。

四十九日は法律上の期限ではありません。

遠方から通う人が日程の目安に使うことが多い区切りで、これに合わせなければ手続きが遅れるというものではありません。

法律で決まっている期限

手続き期限起算日
死亡届7日以内死亡の事実を知った日
相続放棄・限定承認3か月以内自己のために相続の開始があったことを知った時
準確定申告4か月以内相続の開始を知った日の翌日
相続税の申告・納付10か月以内相続の開始を知った日の翌日
相続登記3年以内不動産を取得したことを知った日

孤独死では、亡くなった日と発見された日がずれます。

相続放棄の3か月は亡くなった日からではなく、自分が相続人だと知った時から数えます(民法915条)。

調査が間に合わないときは、期間内であれば家庭裁判所に伸長を申し立てられます。

相続税の基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で、これを超えなければ申告そのものが不要です。

家賃が発生し続ける賃貸は、解約日が基準になる

賃貸は、部屋を明け渡すまで賃料の負担が続きます。

解約の予告期間は契約書で決まっているため、まず契約書の解約条項を確認してください。

清掃と原状回復にかかる日数を管理会社に伝え、引き渡し日から逆算して作業日を押さえる流れになります。

においが残っていると引き渡しを受けてもらえないこともあり、消臭の工程が入るぶん、見込みより日数を取っておくほうが現実的です。

放棄を考えているなら、家財に手をつけない

相続財産を処分すると、単純承認したものとみなされて放棄ができなくなります。

故人の預金を引き出して清掃費に充てる、家財を売却する、家電を持ち帰るといった行為が、この処分にあたるかどうかは個別の判断になります。

放棄を検討しているなら、口座の入出金は止め、家財の搬出は保留にしたまま、弁護士か司法書士に相談する段階です。

賃貸の連帯保証人になっている場合は、保証契約が相続とは別の契約になるため、放棄の話とは分けて確認してください。

見積もりが膨らむのは、消臭と原状回復の線引きがないとき

電話の時点では「見てみないと分かりません」と言われ、訪問した担当者が総額だけを口頭で伝える、という進み方があります。

この形だと、作業が始まってから「床下まで浸透していたので追加です」という話になりがちです。

現地を見た時点で、どこまでが契約範囲で、どうなったら追加になるのかを書面に落としてもらってください。

金額を左右する条件

特殊清掃の費用は、次の条件で変わります。

  • 汚損の範囲と、床材や下地のどこまで浸透しているか
  • 部屋の広さと間取り
  • 搬出する家財の量
  • 階数とエレベーターの有無、作業車を停められる場所があるか
  • 消臭にどの工程をどれだけ重ねるか
  • 床や壁の解体・張り替えまで含めるか

このうち遺族が事前に伝えられるのは、間取りと階数と駐車の可否です。

写真を送れる状態なら、現地調査の前に共有しておくと見積もりの精度が上がります。

状況別の目安と保険が使えるかどうかは特殊清掃の費用相場と保険の適用で解説しています。

許可の有無を先に聞く

家庭から出た不用品を運んで処分するには、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が要ります。

買い取りを伴うなら、都道府県公安委員会の古物商許可です。

産業廃棄物収集運搬業の許可だけでは家庭ごみを運べません。

「無料回収」を掲げるトラックは、この許可を持っていないことがあります。

遺品整理士は一般社団法人遺品整理士認定協会の民間資格で、これがあるから廃棄物を運べるわけではありません。

資格の有無と許可の有無は別に確認してください。

その場で買い取りを持ちかけられたとき

業者が自宅を訪問して物品を買い取る「訪問購入」は、契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます(特定商取引法58条の14・58条の15)。

その間は物品の引き渡しを拒めます。

貴金属や古い時計を「まとめて引き取ります」と言われても、相続人全員の合意が取れていない段階で渡さないでください。

依頼から完了までの進め方は特殊清掃の依頼から作業完了までの流れで解説しています。

遺族が自分でやれる作業と、特殊清掃業者に渡す作業

丸ごと任せるか自分でやるかの二択ではありません。部屋の中で、汚損が及んだ範囲と、及んでいない範囲を分けて考えると、費用を抑えられる部分が見えます。

業者に渡す範囲

体液や腐敗が及んだ床・壁・寝具の清掃、消臭、汚染物の廃棄は、専用の薬剤と防護具が要る作業です。

見た目が乾いていても、下地に染み込んだものは家庭用の洗剤では取れず、においだけが残ります。

においが取れないまま引き渡すと、原状回復のやり直しで結局費用がかさみます。

害虫が発生している場合も、隣室への広がりを止める意味で先に業者へ渡す範囲です。

汚損した室内での作業は衛生上のリスクを伴います。無理に立ち入ったあとで体調に不安が出た場合は、自己判断せず医療機関に相談してください。

自分でやれる範囲

汚損が及んでいない部屋の私物の仕分けは、遺族でも進められます。

書類や写真の確認、形見分けの選別、家電のリサイクル券の手配、粗大ごみの収集申し込みなどが該当します。

自治体の粗大ごみ収集は、申し込みから収集日まで日数がかかる地域があるため、解約日が決まっているなら早めに枠を押さえてください。

手順は粗大ごみの出し方と申込みの流れで解説しています。

遠方から通う場合の分け方

片道に半日かかる場所へ何度も往復すると、交通費と休みの日数が積み上がります。

立ち会いが必要なのは、現地調査と、貴重品の受け渡し、引き渡しの確認あたりです。

それ以外は写真と報告で済ませられる業者かどうかを、契約前に確認しておくと往復の回数が減ります。

作業中の写真を工程ごとに送ってもらう取り決めにしておけば、兄弟への説明資料にもなります。

よくある質問

警察の調べが終わる前に、部屋の片づけを始めてもいいですか

始められません。

立ち入りが認められる時期は警察の判断によるため、担当の署に確認してください。

鍵を預かっている場合もあり、返却の方法もあわせて聞いておくと二度手間になりません。

特殊清掃と遺品整理は、どちらを先にしますか

汚損とにおいが残る部屋では、清掃と消臭が先です。

その状態で家財を動かすと、においが荷物に移り、持ち帰れるものも減ります。

ただし通帳や権利証の捜索は先に依頼しておき、搬出前に回収してもらう形にしてください。

相続放棄をするつもりですが、特殊清掃を発注してもいいですか

故人の預金から支払う、家財を売却して費用に充てるといった行為は、相続財産の処分にあたるかどうかが問題になります。

放棄の可否に直結するため、発注の前に弁護士か司法書士へ相談する段階です。

期限は自分が相続人だと知った時から3か月で、期間内なら家庭裁判所に伸長を申し立てられます。

消臭だけ頼んで、家財は自分で運び出せますか

汚損が及んでいない家財なら、分けて運び出すことはできます。

その場合でも、処分を業者に任せる分については一般廃棄物収集運搬業の許可を確認してください。

作業範囲を分けるときは、どこまでが業者の担当かを見積書に書き分けてもらうと、当日の食い違いを防げます。

賃貸の場合、大家と遺族のどちらが業者を手配しますか

管理会社が提携先を手配する例と、遺族側が探す例の両方があります。

手配した側がそのまま支払うとは限らないため、誰が発注し誰が負担するかを先に文書で確認してください。

原状回復の範囲や保険の扱いによって結論が変わります。

まとめ

着手できるのは警察の調べが終わって鍵が戻ってからで、その日を待つ間に死亡届と年金の届出を進めておくと後がつまりません。

部屋に入れるようになったら、通帳・権利証・遺言書の捜索を業者へ先に伝え、搬出前に回収します。

日取りは、賃貸の解約日と、自分が相続人だと知った時から3か月という相続放棄の期限から逆算して決めます。

見積もりでは、汚損の深さと階数と搬出量という変数を現地で確認してもらい、追加が出る条件まで書面に残してもらってください。ぜひ本記事の段取りの表と「捨てる前に探すもの」のリストを手元に置いて、業者への連絡と兄弟への共有を進めてください。

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