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無料査定のトラブル例|高すぎる査定額に注意すべき理由

無料査定のトラブル例|高すぎる査定額に注意すべき理由

同じ家でも、会社によって査定額は違います。

無料査定で出てくる数字は、その会社が「この価格なら売れると思う」と判断した予想であって、買主が付いた価格ではありません。

査定が無料なのは、売却を任せる契約(媒介契約)を取るための営業活動だからです。

いちばん高い数字を出した会社に任せ、3か月経っても内見が入らず、値下げを繰り返す——空き家になった実家の売却でつまずくのは、たいていこの順番です。

本記事では、高すぎる査定額の見分け方・査定書で確認する欄・仲介手数料と譲渡所得税の負担・相続した実家で使える3,000万円特別控除まで解説します。

無料査定のトラブルは、査定額の高さ・営業電話・媒介契約の3タイプに分かれる

「不動産 無料 査定 トラブル」で調べている人が実際に困っている中身は、大きく3つに分かれます。自分がどれに当たるかで、次に打つ手が変わります。

起きていること原因の所在次の一手
1社だけ飛び抜けて高い数字が出た査定の根拠が成約事例ではなく売出事例査定書の事例欄を確認する
申し込んだ直後から電話が止まらない複数社へ同時に個人情報が渡っている連絡手段と時間帯を書面で指定する
その場で契約書にサインを求められた媒介契約の種類と期間を説明されていない持ち帰って契約期間と報告義務を読む
売り出したが半年動かない査定額そのものが高すぎた値下げの前に事例を取り直す

査定額は「売れる価格」ではなく「売れると会社が考えた価格」

査定額に法的な意味はありません。

会社が立地・築年・接道状況・面積・周辺の取引事例をもとに算出した見込みの価格で、その金額で買い取る約束でも、その金額で売れる保証でもありません。

同じ物件を5社に出せば5通りの数字が返ってきます。

どこを重く見るかが会社ごとに違うからです。

開きが出ること自体は異常ではありません。

問題になるのは、開いた理由を説明できない会社に任せてしまう場合です。

査定価格がどう組み立てられるかは不動産の査定価格はどう決まる?相場との差が出る理由で解説しています。

無料なのは、媒介契約を取るための入口だから

不動産会社が売主から報酬を受け取れるのは、売買が成立して仲介手数料が発生したときだけです。

査定にかかる人件費と調査費は、その手数料から回収します。

査定が無料で提供されるのは、契約を取るための営業活動として位置づけられているためです。

この仕組みを知っていると、高い査定額を出す動機も見えます。

売主は数字の大きい会社を選びたくなるので、契約を取る目的で高めの数字を出す会社が出てきます。

売り出してから反響がないことを理由に値下げを提案されれば、結果として相場の価格に戻るだけです。

高い査定を出した会社に、その価格で売る義務はありません。

営業電話が止まらないのは、申込先が1社ではないから

一括査定の申込フォームに入力した情報は、提携している複数社に同時に送られます。

受け取った各社が営業をかけるため、申し込んだ当日から電話が重なります。

これは違法な行為ではなく、サービスの設計どおりの動きです。

電話を減らしたいなら、申込時点で連絡手段をメールに限定する欄があるかを確認してください。

申し込む社数を絞る方法も含め、不動産一括査定のデメリット|営業電話を避ける使い方と注意点で解説しています。

高すぎる査定額を疑うなら、査定書の「事例」の欄を見る

査定額が妥当かどうかは、金額そのものを見ても判断できません。見るのは、その金額を導いた事例のほうです。

成約事例か、売出事例か

査定書に載っている比較事例には2種類あります。

実際に売買が成立した成約事例と、現在売りに出ている売出事例です。

売出事例は売主の希望価格なので、成約価格より高いまま並んでいることがあります。

売出事例だけを根拠に組み立てた査定額は、その分だけ上振れします。

査定書を受け取ったら、事例欄に「成約」と書かれているか、取引時期はいつか、自宅から何メートル離れた物件かを確認してください。

事例が1件しか載っていない、あるいは事例欄そのものがない査定書は、根拠を確認できません。

口頭で金額だけ伝えてくる場合は、書面で出してもらってください。

机上査定と訪問査定では、精度が違う

住所と面積だけで算出する机上査定は、建物の傷み・境界の状況・接道の実態を見ていません。

空き家のまま何年か経った実家では、雨漏りやシロアリの被害が査定額を下げる要因になりますが、机上査定にはそれが反映されません。

訪問査定を受けて初めて数字が下がるのは、手のひらを返されたのではなく、前提が変わっただけです。

両者の使い分けは不動産の査定方法|机上査定と訪問査定の違いと使い分けで解説しています。

査定を頼む前に自分の側で用意するもの

手ぶらで訪問査定を受けると、会社の言い値を検証できません。次の3点を先に手元に集めておくと、査定額の前提を自分で確かめられます。

  • 登記事項証明書(法務局で取得します。甲区(こうく)を見れば、名義が親のままかどうかが分かります)
  • 固定資産税の課税明細書(毎年春に届くもので、土地と建物の評価額と面積が載っています)
  • 境界に関する資料(測量図、隣地との立会い記録。見つからなければ「未確認」と伝えます)

境界が未確定の土地は、確定測量の費用と期間が売却の条件に絡みます。

査定の段階で伝えておかないと、契約後に話が戻ります。

名義が親のままなら、売る前に相続登記を済ませる必要があります。

手順は不動産の名義変更を自分でやる手順|法務局での申請の流れで解説しています。

兄弟に出すのは数字、業者に出すのは名義と境界の資料

相手が変われば、持っていくものが変わります。同じ話を同じ資料で通そうとすると、どちらかで止まります。

兄弟には、査定書を並べて渡す

売るか残すかで意見が割れるのは、誰もいくらで売れるかを知らないまま話しているからです。

住み続けたい側は高く、売りたい側は安く見積もり、金額の話が感情の話に変わります。

複数社の査定書を並べ、固定資産税の年額と、空き家のまま維持したときの管理費用を同じ紙に書き出してください。

数字が同じ土俵に乗ると、議論の対象が「いくらで売るか」に絞られます。

仏壇や位牌の行き先は、売却の話とは別に決めます。

墓・仏壇・位牌といった祭祀(さいし)財産は相続財産とは別枠で、1人が引き継ぐ決まりです(民法897条)。

相続の取り分をどうするかとは切り離して話せる論点なので、まとめて交渉材料にしないほうが早く片づきます。

業者には、名義と境界の状態を先に伝える

不動産会社に隠しても得はありません。

名義が親のままであること、境界が未確定であること、雨漏りや傾きがあることを先に伝えると、査定額は下がります。

ただしその数字が、実際に売れる価格に近い数字です。

後出しで判明した瑕疵(かし)は、価格交渉か契約解除の材料になります。

媒介契約は、種類と期間を持ち帰って読む

訪問査定の場でそのまま媒介契約を結ぶと、他社の査定を比べる機会がなくなります。

契約書で確認するのは、1社だけに任せる契約か複数社に頼める契約か、契約期間は何か月か、販売状況の報告はどのくらいの頻度で来るかの3点です。

専任で任せる形の契約には、会社側に定期的な報告義務があります。

報告が来ないまま数か月過ぎたなら、契約更新のタイミングで見直す判断ができます。

無料なのは査定だけ|仲介手数料と譲渡所得税は売却時にかかる

査定が無料でも、売却そのものにはお金がかかります。ここを見落としたまま手取り額を計算すると、兄弟への分配の話がやり直しになります。

仲介手数料には法律で上限がある

売買価格が400万円を超える場合、仲介手数料の上限は「売買価格の3%+6万円+消費税」です。

これは上限であって、必ずこの額になると決まっているわけではありません。

査定額を聞いたら、その金額で成約したときの手数料を自分で計算しておいてください。

売却にかかる費用は手数料だけでなく、登記費用や、建物を解体する場合の工事費も加わります。

相続した実家は、親の所有期間を引き継ぐ

売却益(譲渡所得)にかかる税率は、所有期間で2段階に分かれます。

区分所有期間税率
長期譲渡所得5年超所得税15%+住民税5%=20%
短期譲渡所得5年以下所得税30%+住民税9%=39%

いずれも別に復興特別所得税が基準所得税額の2.1%かかります(国税庁 タックスアンサーNo.3208・No.3211/2026年9月時点)。短期の実効税率は約39.63%です。

ここで誤解が起きます。

親から相続したばかりの家だから所有期間は1年、と考えると短期の税率に見えます。

相続や贈与で取得した不動産は、原則として亡くなった人が取得した日から所有期間を数えます。

親が40年住んだ家を相続してすぐ売っても、長期譲渡所得の扱いです。

判定は売った日ではなく、譲渡した年の1月1日時点で5年を超えるかどうかで行います(国税庁 タックスアンサーNo.3202/2026年9月時点)。

1981年5月以前の家なら、3,000万円の控除を確認する

相続した空き家を売ったときは、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります(租税特別措置法35条3項)。

1981年5月31日以前に建築された家屋であることなどの要件があり、対象は2027年12月31日までの譲渡です。

相続人が3人以上いる場合、2024年1月1日以降の譲渡では1人あたり2,000万円に下がります。

要件は建築年だけではありません。

適用できるかどうかは物件と売り方で変わるため、控除を前提に手取り額を計算する段階になったら税理士に確認してください。

なお、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をする義務があります(不動産登記法76条の2)。

2024年4月1日より前に相続した不動産も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。

正当な理由なく怠ると10万円以下の過料があります。

一括査定で高い順に選ぶやり方が進まない理由と、専門家に渡す境目

よく勧められるのに、実際にはうまくいかない進め方があります。

高い順に並べて上から選ぶ

6社に出して最高額の会社を選ぶと、売り出し価格が相場から離れます。

反響のない期間が続き、値下げを重ねた結果、最初から適正価格で出した場合より低い金額で成約することがあります。

買主側からは「長く売れ残っている物件」に見えるためです。

見るべきは金額の順位ではなく、その金額の根拠を説明できるかどうかです。

査定額の幅そのものをどう捉えるかは実家の査定はどう進める?相場を知る3つの方法を解説で解説しています。

口コミの星の数だけで会社を選ぶ

口コミは書いた人の物件と地域での経験です。

実家のある地域で取引実績があるかどうかは、口コミの点数からは分かりません。

確認するのは、その地域の成約事例を査定書に載せられるか、販売活動の内容を書面で示せるかという点です。

「とりあえず更地にすれば売れる」と考える

解体すれば買い手が付きやすくなる土地もありますが、建物を壊すと住宅用地の特例が外れ、翌年の固定資産税が上がります。

3,000万円特別控除の要件との関係もあるため、解体は売却の見通しが立ってから判断する順番になります。

売ってから気づく項目は実家の売却で後悔した理由|売る前に確かめておくことで解説しています。

どの状態になったら専門家に渡すか

状態渡す先
名義が親のままで、相続人が3人以上いる司法書士
控除や税率を前提に手取り額を計算したい税理士
兄弟と連絡が取れない、話し合いが決裂した弁護士
契約を急かされた、解約したいお住まいの自治体の消費生活センター

相続人のうち1人でも反対していると、売買契約そのものが結べません。査定を取ること自体は1人でできるので、話し合いが止まっている間も資料集めは進められます。

よくある質問

無料査定を頼んだら、その会社に売らないといけませんか

査定を受けたことと、売却を任せることは別です。

媒介契約を結ぶまで義務は生じません。

査定だけ受けて断っても費用は発生しませんが、断る連絡を入れないと営業の連絡が続きます。

売る時期を決めていない段階なら、その旨を最初に伝えてください。

査定額がいちばん高い会社に頼むのは間違いですか

高いこと自体が問題なのではなく、根拠を確認せずに選ぶことが問題になります。

その金額の比較事例が成約事例で、取引時期が新しく、近隣の物件であれば、高い数字にも理由があります。

事例を示せない会社と、示せる会社を並べて判断してください。

訪問査定を断って、机上査定だけで売り出せますか

売り出すことはできますが、建物の状態が価格に反映されていません。

空き家として何年か経った家では、訪問査定で数字が下がることがあります。

売り出してから買主の内見で指摘されるより、先に把握しておいたほうが値下げ交渉の余地を残せます。

兄弟の同意がないまま査定を頼んでもいいですか

査定を依頼するだけなら1人でできます。

ただし売買契約は共有者全員の同意が要るため、査定書が揃った段階で共有します。

黙って進めると、話し合いの席で資料そのものが信用されなくなります。

契約を急かされてサインしてしまいました。解約できますか

媒介契約には契約期間と解除に関する定めがあります。

まず契約書の解除条項を確認してください。

説明を受けていない条件があった、強引な勧誘だったという場合は、お住まいの自治体の消費生活センターに相談できます。

契約書と受け取った書面は捨てずに保管してください。

まとめ

無料査定で起きるトラブルの多くは、金額そのものではなく、金額の根拠を確認しないまま契約へ進んだことから始まります。

査定書の事例欄が成約事例かどうかを見れば、高すぎる数字は入口で切り分けられます。

売却にかかる費用も、査定額から仲介手数料と譲渡所得税を引いた手取りで考えてください。

相続した実家なら親の所有期間を引き継ぐので、長期譲渡所得の税率です。

名義の確認と資料集めは、兄弟の同意を待たずに今日から動かせます。

反対に、売買契約と解体は全員の同意が要る工程です。

ぜひ本記事の査定書チェック項目と、相手別に用意する資料の一覧を参考に、まずは手元の登記事項証明書と課税明細書を揃えるところから始めてください。

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