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エンディングノートに何を書く?書くべき項目を一覧で確認

エンディングノートに何を書く?書くべき項目を一覧で確認

買ってきたエンディングノートの1ページ目は、氏名と生年月日の記入欄です。そこを埋めたあと、次の財産一覧のページで手が止まります。

書く順番は、その情報を家族が代わりに調べられるかどうかで決まります。

戸籍も不動産の登記も、亡くなったあとに家族が窓口で取れます。

けれども、どの口座を生活費に使っていたか、延命治療をどうしたいか、誰に知らせてほしいかは、本人以外に知る人がいません。

死亡届は7日以内、相続放棄は3か月以内と期限が切られていて、家族に探し物の時間はありません。

本記事では、最初に書く3項目・遺言書と分ける内容・項目の一覧と優先度・保管場所の決め方を解説します。

エンディングノートの内容は、家族が代わりに調べられないものから決まる

エンディングノートに決まった書式はありません。

市販のものでも大学ノートでもよく、そのかわり書いた内容に法的な効力はつきません。

財産の分け方を書いても、そのとおりに分ける義務は相続人に生じません。

何をどの順で書くかは、こちらで自由に決められます。

亡くなったあとの手続きで家族が最初に詰まるのは、書類の書き方ではありません。その書類を出す相手が分からないところです。

書き残さないと家族が探し回る情報

相続の手続きは、故人の名前で残っている契約を1つずつ止めていく作業です。

契約先が分かれば窓口に連絡できますが、分からないうちは家の中を探すしかありません。

処分すると手続きが止まる書類には、次のようなものがあります。

  • 通帳・キャッシュカード
  • 保険証券
  • 年金手帳
  • 不動産の権利証と登記識別情報
  • 遺言書
  • 印鑑と印鑑登録証
  • 貸金庫の鍵と契約書
  • 有価証券・借用書

ノートに会社名と支店名を書いておけば、この探し物そのものが不要になります。

残高まで書く必要はありません。

金額は書いた日から動いていくので、いずれ合わなくなるからです。

書かなくても家族が取れる情報

公的な記録として残っているものは、紙面を使ってまで書き写さなくてかまいません。

相続人を確定させる戸籍は本籍地の市区町村、不動産の名義は法務局の登記事項証明書で確認できます。

名義が親のままかどうかは、証明書の甲区(所有権に関する事項)に出ています。

ただし、本籍地がどこかと、不動産がどこにあるかの2点は書いておくと家族の初動が早く済みます。ノートそのものの役割と、書いた内容がどこまで通用するのかはエンディングノートの役割と書くべき項目で解説しています。

エンディングノートと遺言書は、書ける内容がはっきり分かれる

「長男に家を、次男に預金を」と決めたいなら、それはノートではなく遺言書の役目です。

ノートに同じことを書いても、相続人全員が話し合って別の結論を出せばそちらが通ります。

反対に遺言書は、方式を外すと無効になります。

比べる点エンディングノート遺言書
法的な効力なしあり
書式自由民法の方式に従う(自筆証書は本文を全文自筆)
書き直しいつでも、何度でも方式を守って作り直す
家族が開けてよいかよい自筆証書と秘密証書は封を開けずに家庭裁判所へ
書くのに向く内容契約の在りか、医療や葬儀の希望、連絡先財産を誰に渡すか、遺言執行者の指定

方式を外すと無効になる遺言書の側

自筆証書遺言は本文を全文自筆で書きます。

添付する財産目録は2019年1月13日からパソコン作成や通帳のコピーでよくなりましたが、各ページに署名押印が要ります(民法968条2項)。

自筆証書と秘密証書は家庭裁判所の検認が必要で、封を開けずに持ち込みます。

公正証書遺言と、法務局の自筆証書遺言書保管制度を使ったものは検認が要りません。

保管申請の手数料は1件3,900円です(法務省 遺言書保管所/2026年9月時点)。

ノートに書くのは遺言書の預け先だけ

遺言書を作ったなら、ノートに書き写すのは中身ではなく在りかです。

公正証書なら作成した公証役場の名前、法務局に預けたならその旨、自宅保管ならどこに置いたかを一行書けば足ります。

自筆証書遺言は検認を受ける前に開封しない扱いなので、「開けずに家庭裁判所へ」と添えておくと、封筒を手にした家族がその場で迷いません。

まず書く3項目|お金の置き場所・医療の希望・連絡先

項目の一覧を前にすると、どこから手をつけるかで止まります。

埋める順番を決めるなら、本人に聞けなくなった時点で代わりのいないものが先です。

次の3つが埋まった時点で、ノートは家族の役に立ち始めます。

残りは思い出したときに足せばよく、空欄のまま置いても手続きは動きます。

お金と契約の置き場所

金融機関は会社名と支店名まで、保険は会社名と証券番号、年金は基礎年金番号の控えがどこにあるかを書きます。

毎月の引き落とし、クレジットカード、携帯とインターネットの契約、動画や音楽の月額サービスも同じ欄にまとめると、解約の順番を家族が組み立てられます。

貸金庫を借りているなら、銀行名と鍵の置き場所も要ります。

借入と、保証人になっている契約は、この欄で書く意味がとくに大きい部分です。

プラスの財産だけを見て相続すると決め、あとから借金が出てきたとき、相続放棄の3か月がすでに過ぎている場合があります。

この3か月は自分が相続人だと知った時から数えます(民法915条)。

亡くなった日からではありません。

暗証番号とパスワードは書きません。

ノートは金庫ではなく、家族が読める場所に置いておく紙だからです。

スマートフォンのロック解除だけは別の紙に分けるか、解除を頼める人を1人決めて口頭で伝えておく方法があります。

医療と介護で判断を任せたい人

延命治療や胃ろう、病名の告知をどうするかは、本人が答えられなくなってから家族が選ぶことになります。

書いてあれば、選んだ家族が自分ひとりで決めた形になりません。

かかりつけの医院名、常用している薬、アレルギーも同じページに置いておきます。

個々の処置をどうするかは状況で変わるので、気になる点は主治医に相談してください。

あわせて、意思を確認できなくなったときに誰に相談してほしいかを書きます。

介護が必要になったら自宅で過ごしたいのか、施設を探してよいのか。

この一行があるだけで、きょうだいの話し合いが出発点を持てます。

亡くなったことを知らせる人

名前・関係・連絡先を並べただけの一覧でかまいません。

年賀状の束やスマートフォンの連絡先が残っていても、家族には誰に知らせるべきかまでは判断できないからです。

学生時代の友人や遠方の親族は、本人が書かなければ抜け落ちます。

知らせなくてよい相手をあえて書いておく使い方もあります。

エンディングノートの項目を一覧で確認する

市販のノートに並んでいる項目を、書く優先度で並べ替えると以下の通りです。「後で足す」に置いたものは、空欄のままでも家族の手続きは止まりません。

項目書く内容優先度
お金と契約金融機関名と支店、保険会社と証券番号、年金、引き落とし、カード先に書く
借入と保証借入先、残っている返済、保証人になっている契約先に書く
医療と介護延命治療の希望、かかりつけ医、常用薬、相談してほしい人先に書く
連絡してほしい人名前・関係・連絡先、知らせなくてよい相手先に書く
遺言書作ってあるかどうか、預け先、開封しない旨先に書く
デジタル端末の扱い、月額サービス、ネット銀行や証券、SNSのアカウント早めに書く
不動産所在、名義が誰か、鍵の場所、境界の資料の在りか早めに書く
葬儀規模の希望、相談した葬儀社、宗派、遺影に使う写真後で足す
お墓と供養いまある墓の場所と管理者、継いでほしい人、希望する形後で足す
ペット預け先、動物病院、食事と持病後で足す
家財と形見渡したい相手、処分してよいもの後で足す
自分のこと本籍地、経歴、家系図後で足す
家族へのメッセージ伝えておきたいこと後で足す

この表の順に上から埋めていく必要はありません。

書きやすい欄から手をつけて、空欄が残るのを前提にしてください。

ページごとに書いた日付を入れておくと、家族はどれが最新の記述か判断できます。

項目によって日付が違っていてもかまいません。

途中で止まりやすい箇所と埋めていく順番はエンディングノートが途中で止まらない書く順番で解説しています。

葬儀とお墓の希望をエンディングノートに書くなら、金額の幅も添える

希望だけを書くと、家族が金額で迷う

「家族だけで小さく」と書いてあっても、何にいくらまで使ってよいのかは伝わりません。

見積書を前にした家族は、安く済ませると気が引け、勧められた通りにすると本人の希望から離れていきます。

お墓の平均購入価格は、樹木葬が71.7万円、納骨堂が81.5万円、一般墓が152.0万円です(鎌倉新書 第17回お墓の消費者全国実態調査/2026年1月時点)。

希望する形とあわせて「この範囲で」と一行書いておけば、家族は金額のほうを比べられます。

費用の備えも同じページに書けます。

健康保険の被保険者が亡くなったときの埋葬料は一律5万円です(健康保険法100条/2026年9月時点)。

国民健康保険と後期高齢者医療の加入者には葬祭費が支給されますが、額は市区町村の条例で違うので、住んでいる市区町村の窓口で確認してください。

葬儀社を決めておきたいなら、生前相談を受け付けているかを本人のうちに聞いておきます。

病院で紹介された葬儀社を、その場で断ってもかまいません。

火葬は死亡から24時間を経過した後でなければできない決まりがあり(墓地、埋葬等に関する法律3条)、家族はその間に連絡先を探すことになります。

相談した会社名が書いてあれば、この時間の使い方が変わります。

お墓を継ぐ人は、遺産の話し合いとは別に決まる

墓・仏壇・位牌は祭祀(さいし)財産にあたり、遺産とは別に1人が引き継ぎます(民法897条)。

指定がなければ慣習によって、それでも決まらなければ家庭裁判所が定めます。

相続放棄をした人でも祭祀を継ぐ側にはなれます。

ノートに「誰に継いでほしいか」を書いておくと、その指定が話し合いの出発点になります。

いまの墓から遺骨を移す希望があるなら、改葬許可証が要ることまで書き添えておきます。

現在の墓地がある市区町村が出す書類で、申請には受け入れ先の受入証明書と、いまの墓地管理者の埋葬証明書が必要です。

受け入れ先が決まらないと申請そのものができません。

許可証なしに遺骨を移すのは墓地埋葬法に反する行為になります。

永代供養を選ぶ場合は、個別に安置される年数(三十三回忌や十七回忌までとする施設が多い)と、合祀(ごうし)されたあとは遺骨を取り出せないことを確認しておきます。

「永代」は永久という意味ではありません。

立場で変わる書き足す欄|おひとりさま・実家あり・30代から書く人

先の3項目は誰にも共通します。これに足す欄は、頼れる家族が近くにいるか、名義を残す不動産があるか、いま何歳かで変わります。

頼れる家族が近くにいない場合

入院や施設入居では、身元保証人と緊急連絡先を求められます。

この立場では、書く欄が「誰に連絡するか」から「誰が手続きをするか」に変わります。

任意後見や死後事務委任のような契約を使うなら、契約書の預け先と、依頼した相手の名前をノートに書きます。

会社に身元保証を頼む場合は、預けたお金がどう管理されているかを契約前に確かめてください。

身元保証人がいないときの入院・入居の備えと身寄りがない人が先に決めることで解説しています。

実家や空き家を残す場合

全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%です(総務省 住宅・土地統計調査/2023年時点)。

この欄に書くのは、所在・名義・鍵の場所・境界の資料の在りかです。

名義が祖父のままなら、子の世代では相続人が枝分かれし、話し合う相手を戸籍でたどる作業から始まります。

相続登記は2024年4月1日から義務になり、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請します。

正当な理由なく怠ると10万円以下の過料があります(不動産登記法76条の2)。

それより前に相続した不動産も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。

売る前提で残すなら、相続した空き家を売ったときに譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります(租税特別措置法35条3項/2026年9月時点)。

1981年5月31日以前に建築された家屋であることなどの要件があり、2027年12月31日までの譲渡が対象です。

相続人が3人以上いる場合、2024年1月1日以降の譲渡では1人あたり2,000万円に下がります。

空き家のまま置く場合は、倒壊のおそれなどを市区町村が認めると特定空家、そうなるおそれがあると管理不全空家に指定されます。

勧告を受けた段階で住宅用地の特例(6分の1)が外れる仕組みで、放置すれば自動で税額が上がるわけではありません。

使い道が決まらない家の出口のひとつは空き家バンクの登録条件と使い方で解説しています。

そもそも相続税がかかる家かどうかは、基礎控除の3,000万円+600万円×法定相続人の数を超えるかで決まります(相続税法15条/2026年9月時点)。

判定の考え方は相続税がかかる人の分かれ目で解説しています。

30代・40代で書き始める場合

働いている世代では、情報が紙よりも端末の中に集まっています。

書いておく価値が高いのは、ネット銀行とネット証券、月額で引き落とされているサービス、写真を預けているクラウド、それに端末を誰に見てもらいたいかという希望です。

通帳のない口座は、家族が家の中をどれだけ探しても出てきません。

若い世代向けのノートの選び方は30代から書くエンディングノートの選び方で解説しています。

エンディングノートの保管場所を決めないと、期限のほうが先に来る

書き終えたノートが見つからなければ、書かなかったのと変わりません。家族が動くことになる期限は以下の通りです。

手続き期限起算日と窓口
死亡届7日以内死亡を知った日から。死亡地・本籍地・届出人の所在地の市区町村(戸籍法86条)
年金の受給停止厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内年金事務所または市区町村
世帯主変更届14日以内15歳以上が2人以上残る場合。市区町村(住民基本台帳法25条)
相続放棄・限定承認3か月以内自分が相続人だと知った時から。家庭裁判所(民法915条)
準確定申告(故人の所得税)4か月以内相続の開始を知った日の翌日から。税務署
相続税の申告・納付10か月以内同じく翌日から。基礎控除以下なら申告不要(特例で0円にする場合は申告が要る)
相続登記3年以内取得を知った日から。2024年3月31日以前の相続は2027年3月31日まで

上の4つは、四十九日を終えるころにはもう期限が近づいています。ノートが見つからない場合、家族は請求書や通知が郵便で届くのを待って契約先を知る形になり、3か月の判断材料がそろわないまま期限に近づきます。

置き場所は1人以上に伝えておく

貸金庫にしまうと、銀行に開けてもらう段階で相続人の立会いや書類を求められる場合があります。

金庫の中だけに置いたノートは、いちばん読んでほしい時期に読めません。

自宅に置くなら、引き出しの位置まで家族の誰か1人に伝えておきます。

コピーを何部も配ると古いほうが残って混ざるので、書き換えたら前のものは処分してください。

書く項目を上から順にたどるなら、エンディングノート(Web版)が家族が困る順に並んでいます。

書き換えを前提に作る

契約も体調も、書いた翌年には変わります。

消せる筆記具やパソコンの文書で作っておけば、直すことに気が重くなりません。

誕生日など日付を決めて年に1回開くようにすると、そのたびに空欄が1つか2つ埋まっていきます。

全部埋め終わった状態を目標にしなくてかまいません。

よくある質問

エンディングノートは市販のものを買ったほうがよいですか

決まった書式はないので、大学ノートでもパソコンの文書でもかまいません。

市販のものは項目があらかじめ並んでいるため、書き漏らしが減ります。

一方で欄が多く、埋まらないところが目について手が止まることもあります。

市販のものを使うなら、先に書く5項目のページだけに付箋を貼って、そこから埋めていく使い方ができます。

エンディングノートに財産の分け方を書けば、そのとおりに分けてもらえますか

法的な効力はないため、相続人が話し合って別の結論を出せばそちらが通ります。

分け方を決めたいなら遺言書です。

ノートには、遺言書を作ったことと預け先を書く役割を持たせてください。

家族に見せるタイミングはいつですか

中身まで読んでもらう必要はありません。

ノートがあることと、置き場所を伝えておけば役目は果たせます。

読まれるのが気になる欄があるなら、医療の希望のページだけを先に見せて、お金の欄は場所だけ伝えるという分け方もできます。

暗証番号やパスワードは書いてもよいですか

書きません。

ノートは家族が読める場所に置く前提なので、そのまま盗難や不正な利用につながります。

書くのは金融機関名と支店名までにとどめ、スマートフォンの解除方法だけは別の紙に分けるか、口頭で1人に伝えてください。

子どもの側から親に書いてもらうには、どう頼めばよいですか

一冊まるごと渡すと、1ページ目で止まったまま置かれることがあります。

取引のある銀行と保険会社の名前を聞くところから始めると、話が現在の生活の範囲に収まります。

入院したときに誰に連絡すればよいかという聞き方も、死後の話にはなりません。

聞いた内容を子の側でメモにしておけば、それがそのままノートの代わりになります。

書き直したいときは、前のノートをどうしますか

直したページに日付を入れ、古いものは処分します。

2冊が残っていると、家族はどちらが新しいのか判断できません。

一部だけ差し替えるなら、表紙に最後の更新日を書いておく方法があります。

おひとりさまの場合、ノートは誰に渡しておけばよいですか

身元保証や死後事務を頼んでいる相手がいれば、その契約先に置き場所を伝えます。

きょうだいや甥(おい)・姪(めい)が遠方にいるなら、連絡先とノートのある場所を伝えておくだけでも状況が変わります。

存在を知る人が1人もいない状態では、書いた内容は使われません。

まとめ

エンディングノートの内容は、家族が代わりに調べられないものから決めます。

お金と契約の置き場所、医療と介護の希望、知らせてほしい人の3つが埋まっていれば、残りの欄は空白でも家族の手続きは進みます。

分け方を決めたい段階になったら、ノートではなく遺言書に切り替えてください。

書いたノートは、置き場所を誰か1人に伝えたところから役目を果たし始めます。ぜひ本記事の項目一覧と優先度の表を参考に、「先に書く」に入れた5項目から手をつけてください。

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