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空き家の3,000万円特別控除とは?使える条件を一覧で確認

空き家の3,000万円特別控除とは?使える条件を一覧で確認

相続した実家を売って利益が出たとき、その利益から最大3,000万円を差し引けるのが空き家特例です(租税特別措置法35条3項/2026年9月時点)。ただし対象になるのは1981年5月31日以前に建てられた家屋で、売る時期も2027年12月31日までと区切られています。

年に数回、草を刈りに帰りながら売るか残すかを決めきれずにいると、判断より先に期限のほうが来ます。しかも相続人が3人以上いる場合、2024年1月1日以降の譲渡では控除額が1人あたり2,000万円に下がります。

本記事では、空き家特例が差し引く対象・条件の一覧と確認先・相続人の人数で変わる控除額・2027年12月31日までに何を終わらせるかを解説します。

空き家特例は相続した実家を売った利益から最大3,000万円を引ける

実家を売って利益が出た場合、その利益から最大3,000万円を差し引けます(租税特別措置法35条3項/2026年9月時点)。

差し引いた結果が0円になれば、その利益にかかる税金は発生しません。

ここで減るのは、亡くなったときに払う相続税ではなく、売ったあとにかかる所得税と住民税のほうです。

相続税とは別の税金を減らす制度

相続税は、亡くなった人が残した財産全体に対してかかります。

基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で、相続人が3人なら4,800万円です(相続税法15条)。

この枠に収まっていれば相続税の申告そのものが要りません。

空き家特例が働くのはそのあと、実家を売って現金に換えた段階です。

相続税を払っていない家でも、売って利益が出れば譲渡所得の税金は別に発生します。

相続税がかかるかどうかの線引きは基礎控除3,600万円が分かれ目になる仕組みで解説しています。

控除で0円になっても確定申告は必要

この特例は、申告をして初めて適用されます。

控除を当てはめれば税額が0円になる場合でも、売った年の翌年に確定申告をしなければ、特例を使っていない状態として扱われます。

「税金が出ないなら何もしなくていい」と考えて申告を飛ばすと、あとから納税を求められることになりかねません。

売却した年の申告が必要かどうかの判断は不動産を売ったあとの確定申告の要否で解説しています。

空き家特例が差し引くのは売値ではなく譲渡所得

この制度でいちばん誤解されやすいのが、何から3,000万円を引くのかという点です。

引き算の相手は売った金額そのものではありません。

売った金額から、その家を手に入れるためにかかった費用と、売るためにかかった費用を引いた残り、つまり譲渡所得が対象になります。

引き算の順番

順番項目中身
1売った金額買主から受け取る売買代金
2取得費を引く親が買ったときの代金と、そのときにかかった費用がもとになる
3譲渡費用を引く仲介手数料など、売るためにかかった費用
4特別控除を引くここで最大3,000万円を差し引く

そのため、売値が3,000万円を超えていても税額が0円になることはありますし、逆に売値が3,000万円以下でも、取得費の資料が無ければ計算上の利益が大きく出ることがあります。判断の材料になるのは売値そのものではなく、この4段階の引き算をした残りです。

取得費の資料が見つからないとき

昭和のうちに建てた家では、売買契約書も領収書も残っていないことがあります。

取得費が確認できないときの扱いは判断が分かれる論点なので、税務署の事前相談で確認できます。

相談に行く前に、まず実家がいくらで売れそうかを把握しておくと、話が具体的になります。

査定額の開きと取り方は実家の相場を知る3つの方法で解説しています。

空き家特例が使える条件を一覧で確認する

条文と国の公表資料で確認できる条件を先に並べます。自分の実家を思い浮かべながら、上から順に照らしてみてください。

確認すること内容どこで確認するか
家屋の建築時期1981年5月31日以前に建てられた家屋であること登記事項証明書の表題部、建築確認済証、固定資産税の課税明細
取得のしかた相続によって取得した空き家であること遺産分割協議書、登記事項証明書
売った時期2027年12月31日までの譲渡が対象売買契約書と引渡しの日
相続人の人数3人以上の場合、2024年1月1日以降の譲渡は1人あたり2,000万円戸籍謄本(本籍地の市区町村)
申告控除で税額が0円でも確定申告が要る所轄の税務署

一覧に載らない要件のほうが判定を左右する

上の表で確認できるのは、日付と人数という機械的に決まる部分だけです。

実際の判定では、亡くなった人がその家にどう住んでいたか、相続してから売るまでの間に貸したり誰かが住んだりしていないか、家屋を残して売るのか取り壊して売るのかといった点も問われます。

ここは実家ごとに事情が違うため、国税庁が公表している要件と税務署の事前相談で確認してください。

要件に当てはまりそうだと分かったら、次に要るのは書類です。

市区町村が発行する確認書など、売却の前後でしか取れないものも含まれます。

何をどこへ出すかは空き家3,000万円控除の必要書類と提出先で解説しています。

1981年5月31日以前の建築かどうかで入口が決まる

建築時期は、この特例でいちばん動かしようのない条件です。

1981年6月以降に建てられた家であれば、他の条件をどれだけ満たしていても対象になりません。

実家が昭和50年代なのか60年代なのか、記憶があいまいなまま話を進めると、あとで前提から崩れます。

建てた年はどこに書いてあるか

法務局で取れる登記事項証明書には、建物の表題部に新築年月が記載されています。

手元に固定資産税の納税通知書があれば、課税明細にも建物の情報が載っています。

建築確認済証が残っていれば、確認を受けた日付から時期をたどれます。

いずれも役所や法務局で取り直せる書類なので、実家の引き出しを探すより先に、登記事項証明書を1通取ったほうが早く片づきます。

建て替えや増築をしている場合

母屋を一度壊して建て直していれば、現在の家屋は建て替えた年の建物です。

一部を増築しただけの場合や、離れを後から足した場合の扱いは、図面と登記の記載によって判断が変わります。

自己判断で「古い家だから大丈夫」と決めず、登記事項証明書を持って税務署に確認してください。

実家全体の片づけと売却をどの順番で進めるかは親の家を片付けて手放すまでの全体像で解説しています。

相続人が3人以上だと1人あたり2,000万円に下がる

2024年1月1日以降の譲渡では、相続人が3人以上いる場合の控除額が1人あたり2,000万円になります。

それ以前の譲渡と同じ感覚で3,000万円を前提に計算していると、想定と実際の税額が食い違います。

兄弟3人で実家を引き継いだケースは、この変更をまともに受ける形です。

共有のまま売るか、1人が取得して売るか

兄弟で共有名義にしたまま売ると、売却代金は持分に応じて分かれ、譲渡所得も各人に分かれます。

控除もそれぞれの持分に対して当てはめる形になります。

一方、遺産分割で1人が単独取得してから売れば、譲渡所得はその1人に集中します。

どちらが有利かは、取得費の資料があるか、他に売る資産があるか、各人の所得状況がどうかで変わります。

金額の見込みが出せる段階になったら、税理士に相談する場面です。

人数の数え方は売る前に確認する

控除額が2,000万円になるかどうかは、遺産分割の結果が確定してから慌てて調べるより、売り出す前に確認しておいたほうが選択肢が残ります。

相続人が何人いるかは、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍をたどって確定させます。

戸籍謄本は本籍地の市区町村で取り寄せる書類で、本籍が何度も移っている場合は複数の役所に請求することになります。

売却の話を始める前に、まずここを固めてください。

空き家特例の期限は2027年12月31日。ただし先に来る期限がある

制度そのものの期限は、2027年12月31日までの譲渡です。

ここだけを見て「まだ時間がある」と考えると危ないのは、相続してから売るまでの期間にも制限があるためです。

2つの期限のうち、先に来るほうが自分にとっての締切になります。

期限いつまで起算日
空き家特例の適用2027年12月31日までの譲渡制度に定められた期限
相続放棄・限定承認3か月自分が相続人だと知った日
相続税の申告・納付10か月相続の開始を知った日の翌日
相続登記3年以内(2024年4月1日より前の相続は2027年3月31日まで)不動産を取得したことを知った日

売ると決めてから引渡しまでにかかる時間

期限に間に合うかどうかは、契約日ではなく引渡しの日で見ることになります。

実家の売却では、査定を取り、不動産会社と媒介契約を結び、売り出してから買主が見つかるまでの期間が読めません。

買主が住宅ローンを使う場合は審査の時間も加わります。

さらに、家財が残ったままでは内見もできないため、片づけの期間を前に積む必要があります。

逆算すると、期限の年に入ってから動き始めるのでは間に合わない可能性が高まります。

相続から3年という区切り

もうひとつの制限は、相続が起きた日を起点に数えます。

相続してから何年も草刈りだけを続けていた実家は、2027年12月31日より前にこちらの期限で対象から外れることがあります。

数え方と、いつまでに何を終えていればよいかは空き家特例の適用期限と3年以内ルールで解説しています。

空き家特例の前に、相続登記と名義をそろえる

税金の話より先に済ませることがあります。

名義が親のままの家は売れません。

買主に所有権を移す登記ができないためです。

祖父の代から名義が動いていない実家であれば、相続人の人数はさらに増えます。

名義は登記事項証明書の甲区で確認する

登記事項証明書の甲区には、所有権に関する事項が記録されています。

ここに書かれている所有者が親のままであれば、相続登記は未了です。

相続登記は2024年4月1日から義務になり、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。

正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。

2024年4月1日より前に相続した不動産も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。

空き家特例の期限とほぼ同じ時期に並んでいます。

売る話を始める前に相続人全員の同意が要る

誰が実家を取得するかは、遺言が無ければ相続人全員の遺産分割協議で決めます。

協議書には相続人全員の署名と実印が要り、1人でも連絡が取れない人がいると手続きが止まります。

「とりあえず自分が管理しているから」という状態は、登記の上では何も決まっていない状態です。

兄弟に切り出しにくい場合でも、査定額と固定資産税の年額という数字を先に用意しておくと、感情の話になりにくくなります。

家財の撤去はどの段階でやるか

家財の処分は、誰が取得するかが決まってから動くほうが揉めません。

形見になりそうなものを勝手に処分すると、そのあとの協議に響きます。

また、家庭から出た不用品を運んで処分するには、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が要ります。

「無料回収」を名乗るトラックはこの許可が無いことがあるため、依頼する前に許可の有無を確認してください。

順番と探しておくべき書類は遺品整理を何から始めるかで解説しています。

売らずに置いたままにすると税と管理の負担が増える

全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%で過去最高になりました(総務省 住宅・土地統計調査/2023年時点)。放置された家に対しては、市区町村が動ける仕組みが整えられています。

固定資産税が上がるのは勧告を受けてから

倒壊のおそれや衛生上の問題があると市区町村が判断すると「特定空家」に、そうなるおそれがある状態だと「管理不全空家」に指定されます。

指定を受けて勧告に至ると、住宅用地の特例(6分の1)が外れ、土地の固定資産税の計算が変わります。

放置しただけで自動的に税額が跳ね上がるわけではなく、指定と勧告という段階を踏みます。

ただし、年に数回の草刈りだけで管理が追いつかなくなってきた家は、その段階に近づいていきます。

期限が過ぎると戻らないもの

草が伸びることも雨漏りが進むことも、費用をかければ手当てできます。

戻らないのは期限のほうです。

2027年12月31日を過ぎれば、この控除を前提にした資金計画は立てられなくなります。

相続登記を怠ったまま年数が経つと、相続人の誰かが亡くなって相続人がさらに増え、協議に呼ぶ人数が膨らみます。

売る決断ができていなくても、名義を自分たちの代に移す手続きだけは、期限のあるものとして進めておいてください。

よくある質問

空き家特例と小規模宅地等の特例は両方使えますか

この2つは働く場面が違います。

小規模宅地等の特例は、亡くなった人が住んでいた宅地の相続税評価額を330平方メートルまで80%減額するもので、相続税の計算で使います(租税特別措置法69条の4)。

空き家特例は、そのあとに売って出た利益にかかる所得税と住民税を減らすものです。

両方の適用関係は財産の構成によって変わるため、相続税の申告を担当する税理士に相談する段階です。

家を取り壊して更地にしてから売っても使えますか

家屋を残して売るか、取り壊して敷地だけを売るかで、求められる要件が変わります。

取り壊しの時期や、その後の土地の使い方も判定に関わります。

取り壊しは戻せない作業なので、解体を発注する前に、国税庁の要件を確認したうえで税務署に相談してください。

相続してすぐ人に貸していた実家でも対象になりますか

この制度は、相続で空き家になった家を売る場合を対象にしています。

相続してから売るまでの間に貸したり、相続人が住んだりしていた場合の扱いは、期間や使い方によって判断が変わります。

賃貸に出す予定があるなら、出す前に税務署へ確認してください。

控除を使って税額が0円になるなら申告しなくてよいですか

申告が要ります。

特例は確定申告をすることが適用の条件で、申告しなければ控除を使っていない状態のまま税額が計算されます。

売った年の翌年の申告期間に、必要書類をそろえて所轄の税務署へ提出してください。

兄弟3人の共有で売ると控除額はいくらになりますか

相続人が3人以上いる場合、2024年1月1日以降の譲渡では1人あたり2,000万円です。持分をどう分けているか、各人が要件を満たしているかによって計算が変わるため、売り出す前に人数と持分を確定させたうえで税務署に確認してください。

相続放棄をした実家でも空き家特例は使えますか

相続放棄をすると、その実家を取得しないことになるため、売る立場にありません。

放棄は自分が相続人だと知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する手続きです(民法915条)。

借金の有無が分からず判断に時間が要るときは、その3か月の間に家庭裁判所へ期間の伸長を申し立てられます。

まとめ

空き家特例で最初に決まるのは、1981年5月31日以前の建築かどうかという一点です。

ここを満たしていれば、次に見るのは2027年12月31日という制度の期限と、相続からの期間という2つの締切で、先に来るほうが自分の締切になります。

相続人が3人以上なら控除額は1人あたり2,000万円に下がるため、人数と持分は売り出す前に固めておいてください。

そして、税金の話より前に済ませるのが名義です。

相続登記は3年以内の義務で、2024年4月1日より前に相続した実家も2027年3月31日までに申請することになります。

ぜひ本記事の条件一覧と期限の表を照らし合わせて、今日できる登記事項証明書の取得から順に手をつけてください。

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