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相続の銀行手続きは何から?必要書類と窓口での流れ

相続の銀行手続きは何から?必要書類と窓口での流れ

銀行に死亡を伝えた時点で、その口座は凍結されます。

出金だけでなく入金も止まり、電気やガス、介護施設の利用料といった自動引き落としも不能になります。

連絡の順番を決めないまま電話をかけると、相続の手続きと支払い方法の変更が同時に押し寄せます。

凍結後でも、葬儀費用や当面の生活費は仮払いで引き出せます。

1つの金融機関につき「口座ごとの預貯金額×3分の1×その相続人の法定相続分」、上限150万円までで、他の相続人の同意は要りません(民法909条の2/法務省・2026年9月時点)。

本記事では、銀行へ連絡する前に決めておくこと、出生から死亡までの戸籍の集め方、窓口で手続きが止まる原因を解説します。

相続の銀行手続きは、口座を凍結させる前の段取りで半分決まる

金融機関は、名義人が亡くなったことを知った時点で口座を凍結します。

きっかけの多くは遺族からの連絡です。

凍結されると引き落としが不能になり、電気・ガス・水道、携帯電話、介護保険料などは未払い扱いで督促が届きます。

立て替えるにしても、どこから何が落ちていたのかが分からないと手の打ちようがありません。

そのため、連絡の前に通帳を記帳して、直近1年分の引き落とし項目を書き出します。そのうえで、止めてよい契約と、遺族の口座へ付け替える契約を仕分けておくと、あとの作業が一度で済みます。

段階やることつまずきやすい点
1引き落とし項目の洗い出しと付け替え凍結後だと督促が先に届く
2銀行へ死亡を連絡し、相続手続きの案内一式を受け取る支店ではなく専用の事務センター扱いになることがある
3遺言書の有無を確認する自筆証書は封を開けずに家庭裁判所へ
4出生から死亡までの戸籍で相続人を確定させる転籍していると本籍地をさかのぼる必要がある
5死亡日時点の残高証明書を請求する相続税の申告に使うため早めに取る
6銀行所定の相続届に相続人全員が署名し、実印を押す1人でも欠けると受け付けられない
7書類を提出し、払い戻しまたは名義変更を受ける審査に日数がかかる

通帳と印鑑を探す前に、捨ててはいけないものを決める

遺品を片づけながら手続きを進めると、必要な紙が先に処分されてしまいます。銀行の手続きで詰まる原因になるのは、次のものです。

  • 通帳とキャッシュカード
  • 銀行届出印
  • 貸金庫の鍵と契約書
  • 保険証券と有価証券の書類
  • 遺言書
  • 借用書や返済予定表

通帳が無い口座も解約はできますが、支店名と口座番号が分からないと照会から始めることになります。郵便物や年賀状、確定申告の控えに取引先の金融機関名が残っていることがあるため、紙類はひとまとめにしてから仕分けてください。

相続放棄を考えているなら、口座に手をつけない

相続財産を使うと、単純承認したものとみなされて放棄ができなくなります。

相続放棄の申述は、自分が相続人だと知った時から3か月以内に家庭裁判所へ行います。

起算日は亡くなった日ではありません。

負債の有無が分からない段階では、入出金を止めたまま調査を優先します。

一方、葬儀費用や生活費をどうしても先に出したい場合は仮払いを使います。

預金額600万円の口座で法定相続分が2分の1なら、600万円×3分の1×2分の1で100万円が上限です。

同じ金融機関に複数の口座があっても、合計で150万円までになります。

凍結される時点と解除までの流れは亡くなった人の口座はいつ凍結されるかで解説しています。

銀行へ出す相続の必要書類は、遺言書があるかどうかで二手に分かれる

提出書類の中身は、遺言書の有無と、遺産分割協議が終わっているかで変わります。

様式は金融機関ごとに違うため、最初の連絡で送られてくる案内書に従うのが早道です。

共通して要るのは、相続人を証明する戸籍と、その人が本人であることを示す印鑑登録証明書の2種類だと考えてください。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍

亡くなった人の除籍謄本だけでは足りません。

生まれてから亡くなるまでの戸籍が切れ目なくつながっている必要があり、結婚・転籍・法改正のたびに戸籍は作り替えられています。

古いものは改製原戸籍謄本(かいせいげんこせきとうほん)という名前で保管されています。

請求先は、そのときどきの本籍地の市区町村です。

最後の本籍地で取った戸籍に「◯◯市から転籍」と記載があれば、その市へさかのぼって請求します。

郵送で取り寄せる場合は、請求書・本人確認書類の写し・定額小為替・返信用封筒を同封します。

手数料と処理日数は自治体で異なるので、窓口か市区町村のサイトで確認してください。

遠方を何往復もすると、この工程だけで数週間かかります。

相続人全員の戸籍謄本と印鑑登録証明書

相続人が現在も生存していることを示すため、全員分の戸籍謄本を用意します。

印鑑登録証明書は住所地の市区町村で取得し、相続届に押した実印と照合されます。

発行からの有効期間を3か月または6か月と定めている金融機関があるため、戸籍集めに時間がかかりそうなときは、印鑑登録証明書を最後に取ったほうが無駄になりません。

銀行所定の相続届と、遺産分割協議書

相続届は金融機関ごとの専用用紙で、誰がその預金を取得し、どの口座へ振り込むかを記入します。

遺産分割協議書がない場合、この用紙に相続人全員が署名して実印を押すのが原則です。

協議書を作ってある場合は、取得する人だけの署名で足りる扱いもあります。

協議書を使うなら、預金の書き方に注意してください。

「預貯金はすべて長男が取得する」といった大づかみな書き方では、金融機関が対象口座を特定できず差し戻されることがあります。

金融機関名・支店名・預金の種類・口座番号まで書き込んでおきます。

遺言書がある場合に加わるもの

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、家庭裁判所の検認を受けたうえで、検認済証明書と一緒に提出します。

封をしたまま持ち込むのが決まりで、その場で開けてはいけません。

公正証書遺言と、法務局の自筆証書遺言書保管制度を使ったものは検認が不要です。

遺言執行者が指定されているときは、執行者が手続きの窓口に立ちます。

銀行手続きの窓口は誰が行けるか、いつ始めるのがいいか

窓口に出向くのは相続人のうち1人で構いません。

代表者が書類一式を持ち込み、払戻金を代表口座で受け取ってから分けるやり方が一般的です。

ただし代表者を立てても、相続届への署名押印は全員分が要ります。

相続人以外が行く場合は委任状と、代理人の本人確認書類が必要です。

支店で受け付けたあと、書類は相続手続きの専門部署へ送られて審査されます。

不備があれば返送されて再提出になるため、窓口に出した日と振込日にはあいだが空きます。

所要日数は金融機関で違うので、受付時に目安を聞いておいてください。

ネット銀行のように店舗を持たない金融機関では、郵送でのやり取りだけで完結します。

銀行の手続き自体に法定期限はないが、後ろの期限に縛られる

預金の解約や名義変更に、法律上の期限は定められていません。それでも先延ばしできないのは、他の手続きがこの結果を待っているからです。

手続き期限起算日
相続放棄・限定承認3か月自分のために相続の開始があったことを知った時
準確定申告4か月相続の開始を知った日の翌日
相続税の申告・納付10か月相続の開始を知った日の翌日
相続登記3年不動産を取得したことを知った日

相続税がかかるかどうかは、預金の残高を確定させないと判断できません。

基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で、相続人が3人なら4,800万円です。

ここを超えそうなら、死亡日時点の残高証明書を早めに請求してください。

判定の考え方は相続税は誰にかかるのかで解説しています。

遺産分割の話し合いが長引きそうなときは、解約を待つあいだの生活費を仮払いでつないでおく方法があります。上限や計算例は亡くなった人の預金はいくらまで引き出せるかで解説しています。

銀行の相続手続きが止まるのは、戸籍の欠落と1人分の署名不足

差し戻しの理由は、だいたい決まっています。

ひとつは戸籍のつながりが切れているケースです。

最後の本籍地の除籍謄本と、直近の改製原戸籍だけを出して「出生まで足りません」と返されます。

窓口で「出生から死亡までの連続したものを」と伝えて取得すると、担当者がつながりを見て不足分を教えてくれます。

もうひとつは、相続人の1人から署名と印鑑登録証明書が集まらないケースです。

疎遠な兄弟、前妻との間の子、認知された子がいると、戸籍を取って初めて存在を知ることがあります。

連絡が取れても、金額の説明がないまま実印を求められた側は判を押しません。

先に机の上に出すのは、残高証明書の写しと、他に何が残っているかの一覧です。

手続きが進まない原因としては、次のようなものもあります。

  • 印鑑登録証明書の有効期間が切れて取り直しになる
  • 遺産分割協議書に口座番号が書かれておらず対象を特定できない
  • 届出印が見つからず、紛失の届け出から始まる
  • 貸金庫の中身を確認するのに相続人全員の立ち会いを求められる

相続人の中に未成年者や、判断能力が落ちている人がいる場合は、そのままでは協議も署名もできません。家庭裁判所を通す手続きが要るため、司法書士か弁護士に相談する段階になります。

自分で進めるか、司法書士や税理士に渡すか

口座が1〜2行で、相続人が配偶者と子だけなら、自力で終わる手続きです。

戸籍の請求も相続届の記入も特別な知識は要らず、費用は戸籍と証明書の手数料、郵送代だけで済みます。

時間をかけられるなら自分でやったほうが安く上がります。

外部に渡したほうがいい分かれ目は、手続きの難しさではなく量と関係の複雑さです。

  • 取引先の金融機関が5行を超える
  • 相続人に兄弟姉妹や甥姪が含まれ、戸籍の収集範囲が広い
  • 相続人の1人が海外に住んでいる
  • 財産の総額が基礎控除を超えそうで、申告が必要になる
  • 遺産の分け方で意見が割れている

頼む先も分かれます。

戸籍の収集と預貯金の解約は司法書士や行政書士、相続税の申告は税理士、もめているなら弁護士です。

報酬は事務所ごとに決め方が違うため、着手前に見積書で内訳を確認してください。

すべてを丸投げせず、戸籍集めだけ自分でやって解約の代行だけ頼む、という切り分けもできます。

預金以外にも名義を変えるものが残ります。

不動産があれば相続登記に3年の期限があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。

2024年4月1日より前に相続した不動産も対象で、その場合の期限は2027年3月31日になります。

期限の考え方は相続登記の期限は3年で解説しています。

車が残っている場合の名義変更は車の名義変更をしないとどうなるかで解説しています。

よくある質問

凍結される前に、親の口座からお金を下ろしてもいいですか

下ろしたお金を生活費などに使うと、相続財産を処分したとみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。

負債の有無がはっきりしないうちは動かさないでください。

やむを得ず引き出した場合は、領収書を残して使途を記録し、他の相続人にも金額を伝えておきます。

残高証明書は相続人1人でも請求できますか

相続人であることを戸籍で示せば、単独で請求できる扱いが一般的です。

請求時には、死亡日時点の残高を指定してください。

相続税の申告では既経過利息の計算書を求められることがあるため、あわせて依頼できるか窓口で確認します。

発行手数料と必要書類は金融機関で異なります。

通帳が見つからない口座は、どうやって探せばいいですか

郵便物やカレンダー、粗品のタオル、確定申告の控え、年金の振込通知書から取引先を絞り込みます。

心当たりのある金融機関に戸籍と本人確認書類を持ち込めば、同一店舗内の口座の有無を照会してもらえます。

全国の金融機関を横断して一括で調べる仕組みはないため、1行ずつあたることになります。

口座が凍結されると、住宅ローンやクレジットカードの引き落としはどうなりますか

引き落としは止まり、未払いとして各社から請求が届きます。

カードは死亡の連絡で解約手続きに入り、未払分は相続財産から精算します。

住宅ローンは団体信用生命保険に加入していれば残債が保険で完済されますが、手続きには死亡診断書の写しなどが要ります。

契約先に早めに連絡してください。

遺産分割協議書がないと、預金は引き出せませんか

金融機関所定の相続届に相続人全員が署名して実印を押せば、協議書がなくても払い戻しに応じる扱いが一般的です。

ただし不動産や有価証券がある場合、協議書は他の手続きでも使います。

分け方が固まっているなら、先に1通作っておくほうが結局は早く進みます。

まとめ

銀行に連絡すれば口座は凍結され、そこから先は戸籍と全員の署名を集める作業になります。

手続き自体に法定期限はないものの、相続放棄は知った時から3か月、相続税の申告は10か月と決まっているため、残高を早く確定させるほど選べる手が増えます。

分け方でもめそうなときほど、残高証明書という共通の数字を先に出してください。

ぜひ本記事の流れの表と必要書類の一覧を手元に置いて、まずは通帳の記帳と引き落とし項目の洗い出しから始めてください。

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