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葬儀保険とは?加入前に確かめたい仕組みと注意点を解説

葬儀保険とは?加入前に確かめたい仕組みと注意点を解説

葬儀費用の平均は96.73万円です(鎌倉新書 第7回お葬式に関する全国調査/2026年3月時点)。

葬儀保険を検討するときに最初に決めるのは、この金額のうちいくらを保険で持つかという一点です。

全額を保険でまかなう必要はありません。

手元の預金でどこまで払えるのか、健康保険から出る埋葬料や市区町村の葬祭費がいくら入るのか。

この2つを引いた差額が、保険で埋めるべき金額になります。

差額を計算せずにパンフレットの保険金額を選ぶと、払い続けた保険料の総額が保険金を上回ることもあります。

本記事では、平均額から必要な保険金額を出す手順・互助会や死亡保険との違い・保険金が受取人の口座に入るまでの流れ・払込総額の見方まで解説します。

葬儀保険の保険金額は、葬儀費用の平均から逆算して決める

いくらの保険に入るかを決める前に、自分の家がどの形式で葬儀を出すのかを決めます。

形式が変われば費用が倍近く違うためです。

鎌倉新書の第7回お葬式に関する全国調査(2026年3月時点)では、形式ごとの平均費用は次のようになっています。

形式平均費用
一般葬122.01万円
家族葬96.39万円
一日葬74.43万円
直葬・火葬式49.56万円
全体の平均96.73万円

同じ調査では家族葬が47.0%で最も多く、直近2年以内に喪主を務めた人のおよそ半数が選んでいます。

一般葬と直葬・火葬式の差は72万円以上です。

保険金額を50万円にするか150万円にするかは、好みの問題ではなく、どの形式を想定するかで自動的に決まります。

この調査は全国の平均値なので、参列者の人数や地域によって上下します。

飲食費・返礼品・お布施が平均額にどう含まれているかまではこの調査から確認できていないため、実額は葬儀社の生前相談で見積もりを取って確かめてください。

呼ぶ範囲をどこまでにするかで金額が動く事情は家族葬とは?一般葬との違いと呼ぶ範囲の決め方で解説しています。

葬儀保険・互助会・死亡保険は、受け取るものが違う

葬儀の費用に備える方法として名前が挙がるのは、葬儀保険と冠婚葬祭互助会、それに一般の死亡保険です。この3つは同じ「備え」でも、亡くなったあとに遺族の手に渡るものが違います。

 葬儀保険互助会死亡保険
遺族が受け取るもの現金(保険金)葬儀のサービスと設備現金(保険金)
払い方保険料を毎月・毎年払う掛金を一定回数まで積み立てる保険料を毎月・毎年払う
使い道制限なしその互助会が指定する葬儀制限なし
やめるときに確認する点解約返還金があるか解約手数料の規定解約返戻金があるか

互助会は現金が振り込まれるのではなく、積み立てた掛金を自社の葬儀プランに充てる仕組みです。

そのため引っ越して営業区域から外れた場合や、想定より簡素な形式に変えたい場合に、積立額をそのまま使えるとは限りません。

解約の条件と手数料を契約時に確かめておく必要があります。

掛金と実際の総額の関係は互助会の家族葬はいくら?積立の仕組みと解約時の注意で解説しています。

死亡保険との線引きは、金額の大きさと加入のしやすさです。

葬儀保険と呼ばれる商品は保険金額が小さいぶん、健康状態の告知項目が簡略なものもあります。

ただしこれは商品ごとの設計であって、どの商品でも入れるという意味ではありません。

両者を並べて比べる手順は葬儀保険の選び方|互助会との違いを比べて確かめるで解説しています。

葬儀保険の保険金は、受取人が請求して初めて支払われる

保険は、亡くなった事実を保険会社が自動で知って振り込んでくれる仕組みではありません。契約に登場するのは次の3者です。

  • 契約者(保険料を払う人)
  • 被保険者(亡くなったときに保険金の対象になる人)
  • 受取人(保険金を請求して受け取る人)

親が自分で契約する場合、契約者と被保険者は親、受取人は子になるのが一般的な形です。

ここで決め方を間違えやすいのが受取人です。

実際に葬儀社へ代金を振り込む人を受取人にしておかないと、お金の流れと請求の流れがずれます。

請求のタイミングと支払いまでの日数

請求には死亡を証明する書類が必要になり、提出から入金までに何日かかるかは商品ごとに違います。

葬儀社への支払い期日のほうが先に来ることも起こり得ます。

受け取った保険金を充てる前提であっても、いったん誰かが立て替える場面を想定しておいてください。

支払期日と支払方法は、生前相談の段階で葬儀社に確認できます。

故人名義の口座は使えなくなる

金融機関が契約者の死亡を把握すると、その名義の口座は入出金が止まります。

生活費や葬儀費用を親の口座から出す前提でいると、ここで手が止まります。

なお死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に死亡地・本籍地・届出人の所在地いずれかの市区町村へ提出します(戸籍法86条)。

保険金の請求書類をそろえる作業は、この届出と同じ週に重なります。

葬儀保険の保険料は年齢と保険金額で変わり、払込総額で比べる

保険料の額そのものは商品によって違いますが、何で決まるかは共通しています。

  • 加入したときの年齢
  • 設定した保険金額
  • 保険期間が1年ごとの更新型か、払込が続く終身型か
  • 健康状態の告知でどの区分に入るか

このうち見落とされやすいのが保険期間です。

1年ごとに更新する型は、年齢が上がるたびに保険料も上がる設計になっているものがあります。

加入時の金額だけを見て決めると、80代・90代まで払い続けたときの負担が見えません。

比べ方は単純で、月々の保険料を12倍し、想定する加入年数をかけて払込総額を出します。

その数字を保険金額と並べてください。

長生きするほど払込総額が保険金に近づき、上回る場合もあります。

逆に、加入してすぐに亡くなれば払った額を大きく超える金額が支払われます。

保険は貯金と違い、どちらに転ぶか分からない前提で入るものです。

掛け捨てで損したと感じる場面や、乗り換えを考えるときの判断は葬儀保険のデメリット|解約や乗り換えで損しない見方で解説しています。

加入前に読むのは告知事項・支払われない場合・受取人欄の3か所

申込書とパンフレットの中で、あとから揉める原因になる箇所は決まっています。次の3か所だけは、申し込む前に読んでください。

告知事項

持病や入院歴について、どこまで答える必要があるかは商品ごとに違います。

告知した内容が事実と違っていた場合、契約が解除されて保険金が支払われないことがあります。

親に代わって子が申込書を書く場面では、通院歴を本人に確認しないまま記入しないでください。

支払われない場合の規定

契約の効力が始まる日(責任開始日)より前に亡くなった場合や、加入から一定期間内の特定の事由については、保険金が支払われない、または削減されるという規定が置かれていることがあります。どの条件に当てはまると支払われないのかは、パンフレットではなく約款に書かれています。

受取人の指定欄

受取人を誰にするかと、あとから変更できるかどうかを確認します。

契約したこと自体を家族が知らなければ、請求されないまま終わります。

契約した保険会社名・証券番号・受取人を書き残しておく場所として、エンディングノートとは?書くべき項目と役割で解説している形式が使えます。

埋葬料と葬祭費でどこまで足りるか

葬儀費用には公的な給付があります。

会社の健康保険に加入していた人が亡くなったときの埋葬料は一律5万円です(健康保険法100条)。

国民健康保険と後期高齢者医療の加入者には葬祭費が支給されますが、金額は市区町村の条例で決まるため一律ではありません。

いくら出るかはお住まいの市区町村の窓口で確認してください。

どちらも申請しなければ支給されません。

自動で振り込まれるものではない点に注意が必要です。

必要な保険金額は、次の順で出します。

  • 想定する形式の費用(家族葬なら96.39万円が平均)
  • そこから、埋葬料または葬祭費として見込める額を引く
  • さらに、すぐ動かせる自分の預金から出せる額を引く
  • 残った差額が、保険で持つべき金額

ここで葬儀の費用だけを見て終わらせると、あとで足りなくなります。

納骨先が決まっていなければ、お墓の費用が続きます。

鎌倉新書の第17回お墓の消費者全国実態調査(2026年1月時点)では、樹木葬が平均71.7万円、納骨堂が81.5万円、一般墓が152.0万円でした。

承継するお墓がない場合の選択肢は永代供養とは?種類ごとの違いと向いている人で解説しています。

葬儀保険が向く人と、貯蓄で足りる人

差額がゼロなら、保険に入る理由はありません。判断は、金額ではなく「そのお金がその日に動くか」で分かれます。

保険で持つほうが合う条件

葬儀費用に充てられる預金が親名義の口座にしかない場合、その口座は死亡が把握された時点で止まります。

子が立て替える現金を用意できないなら、受取人を子にした保険で現金を回すほうが流れとして無理がありません。

まとまった貯蓄がなく、月々の負担で備えたい場合も同じです。

貯蓄で足りる条件

直葬・火葬式の平均は49.56万円です。

この形式で送ることを家族と決めていて、子名義または自分名義のすぐ動かせる口座に同額以上を分けておけるなら、保険料を払い続ける必要はありません。

使わなかった分はそのまま残ります。

年齢と健康状態で選べる範囲が変わる

加入できる年齢の上限と告知の内容は商品ごとに違います。

親が入院している段階で探し始めると、選べる商品が限られることがあります。

検討するなら、通院歴が増える前のほうが選択肢は多くなります。

ただし、どの商品なら加入できるかは保険会社の判断になるため、代理店や保険会社に直接確認してください。

決めないままだと、葬儀費用は遺族の立て替えから始まる

備えを決めずに亡くなった場合、遺族はその日のうちに葬儀社を選ぶことになります。

病院で葬儀社を紹介されることもありますが、その場で契約する義務はありません。

搬送だけを依頼して、葬儀そのものは別の会社に頼むこともできます。

断ってよいものだと知らないまま、見積もりを比べずに決めてしまうのがいちばん高くつきます。

もうひとつ、相続放棄を考える可能性がある家では順番に注意してください。

相続放棄と限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します(民法915条)。

起算日は亡くなった日ではありません。

この間に故人の預金を引き出して使うと、相続を承認したものとみなされて放棄できなくなるおそれがあります。

親に借金がある可能性があるなら、葬儀費用の出どころを決める前に弁護士や司法書士に相談する段階です。

費用の話は、元気なうちにしか詰められません。

形式・呼ぶ範囲・支払う人・保険や積立の有無を家族で決めておけば、遺族が当日に選ぶ項目は大きく減ります。

決めておく項目の全体像は葬儀の生前準備|元気なうちに決めておく6つのことで解説しています。

よくある質問

葬儀保険は何歳まで加入できますか

加入できる年齢の上限は商品ごとに違い、一律ではありません。

高齢でも申し込める設計の商品もありますが、年齢が上がるほど保険料も上がります。

加入年齢の上限と保険料の推移は、申込書を書く前に保険会社か代理店に確認してください。

持病があっても入れますか

告知項目が少ない商品もありますが、入れるかどうかは告知した内容をもとに保険会社が判断します。

可否をこの場で断定できません。

事実と違う内容を告知すると契約が解除される場合があるため、通院中の病名と時期は本人に確認してから記入してください。

保険金だけで葬儀費用は足りますか

設定した保険金額と、実際に選ぶ形式の費用を比べて判断します。

葬儀費用の平均は96.73万円、家族葬では96.39万円です(鎌倉新書 第7回お葬式に関する全国調査/2026年3月時点)。

保険金額をこれより低く設定するなら、差額をどこから出すかを決めておいてください。

互助会に入っていれば葬儀保険は不要ですか

互助会の掛金は、その互助会の葬儀プランに充てるものです。

現金として使えるわけではないため、お墓や納骨の費用、当日の諸費用に回すことはできません。

現金が必要になる部分が残るかどうかで判断が分かれます。

保険金はいつ受け取れますか

受取人が請求書類を提出してから支払われます。

請求しなければ支払われず、日数も商品ごとに違います。

葬儀社への支払期日が先に来る場合があるため、立て替えが必要かどうかを葬儀社への確認とあわせて見てください。

家族に知らせずに加入しても大丈夫ですか

契約の存在が家族に伝わっていないと、請求されないまま期間が過ぎます。保険会社名・証券番号・受取人の3点は、家族が見つけられる場所に書き残しておいてください。

途中で解約したらお金は戻りますか

解約時に返還金があるかどうかは商品によって違い、掛け捨ての設計もあります。

乗り換えを考えるときは、新しい契約の責任開始日を待たずに先に解約すると、無保険の期間が生まれます。

順番を先に確かめてください。

まとめ

葬儀保険で決めるべき数字は保険金額ひとつで、それは想定する形式の費用から、埋葬料や葬祭費と自分で出せる預金を引いた差額です。

差額が小さければ貯蓄で足りますし、親名義の口座しか当てがないなら現金が入る保険のほうが動きます。

保険料は年齢と保険期間で変わるため、月額ではなく払込総額で保険金額と比べてください。

加入を決める前に読むのは、告知事項と支払われない場合の規定、そして受取人の指定欄です。

契約したことを家族が知らなければ請求されません。

ぜひ本記事の形式別の平均費用と差額の出し方を参考に、自分の家で保険で持つべき金額を先に出してから、商品の比較に進んでください。

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