葬儀保険のデメリット|解約や乗り換えで損しない見方

葬儀保険の資料を取り寄せると、まず目に入るのは毎月の保険料と受け取れる保険金の額です。
掛け捨てなのか、何歳で保障が終わるのか、更新のときに保険料が上がるのかは、重要事項説明書と約款の欄に小さく書かれています。
パンフレットの表紙だけでは分かりません。
葬儀費用の平均は96.73万円、家族葬でも96.39万円でした(鎌倉新書 第7回お葬式に関する全国調査/2026年3月時点)。
保険金がこの額に届かない設計なら、足りない分は誰かが立て替えることになります。
逆に、払い込む総額が保険金を上回っていく契約もあります。
本記事では、葬儀保険で損が出る3つの場面・解約や乗り換えの前に保険証券で確かめる項目・公的な埋葬料や葬祭費との重なりまで解説します。
葬儀保険のデメリットは、掛け捨て・保険料の値上がり・受け取りの遅れに分かれる
「入っていたのに損をした」という話の多くは、契約の途中で条件が変わったからではありません。
契約したときに読み飛ばした条項が、そのまま働いた結果です。
起きやすい形は3つに分かれます。
自分の契約がどれに当たるかで、次に取る手も変わります。
払った保険料が戻らない設計になっている
葬儀費用に充てることを想定した死亡保険は、解約したときに戻るお金が無いか、あってもごくわずかという設計が多く見られます。
積み立てではなく保障を買っている契約だからです。
途中でやめると、それまで払った分は保障に対する対価として消えます。
ここを貯金と同じものとして受け取っていると、家計が苦しくなって解約した時点で「ここまで払ったのに何も残らない」という受け止めになります。
解約返戻金があるかどうか、あるとして何年目でいくらかは商品ごとに違うので、証券と約款で確かめてください。
仕組みそのものの整理は葬儀保険の仕組みと加入前の注意点で解説しています。
更新のたびに保険料が上がり、保障が終わる年齢がある
保険期間が1年や5年で区切られていて、更新のときに当時の年齢で保険料を計算し直すタイプがあります。
60代で契約したときの金額が、80代まで続くわけではありません。
上がり方は商品によって違いますが、更新を重ねるほど負担は重くなります。
さらに、保障が終わる年齢が定められている契約では、その年齢を過ぎると保険そのものが無くなります。
長生きした結果として保障が切れ、払い込んだ保険料だけが残るという事態が起こり得ます。
葬儀のために備えたつもりが、いちばん必要になる時期に外れてしまうわけです。
保険金の額と、葬儀代の支払いに間に合うかは別の話
保険金が支払われるまでには、死亡診断書などの書類をそろえて請求する手間がかかります。
請求を受け付けてから支払われるまでの日数は約款に定められていますが、書類が不足すればそこから先へ進みません。
一方で葬儀社への支払いは、施行後まもなく請求されることが一般的です。
保険金が出るのは葬儀が終わってからになるため、いったんは遺族の手持ちの資金で払う場面が出てきます。
亡くなった本人の預金口座は、金融機関が死亡を把握した時点で凍結されます。
保険金を当てにして預金を一切用意していないと、立て替える人が誰もいないという状況になります。
解約や乗り換えの前に、保険証券で確かめる4項目
やめるか続けるかを決める材料は、保険証券と重要事項説明書に全部書かれています。判断に要るのは次の4つです。
| 確認項目 | どこを見るか | 分かること |
|---|---|---|
| 保険金額 | 証券の「死亡保険金」欄 | 葬儀費用のうちどこまで賄えるか |
| 保険期間と満了年齢 | 証券の「保険期間」欄 | 何歳で保障が切れるか |
| 更新後の保険料 | 重要事項説明書の年齢別保険料表 | 今後いくらまで上がるか |
| 解約返戻金 | 約款の解約に関する条項 | やめたときに戻る金額 |
この4つが分かると、払い込む総額と受け取る保険金を並べて比べられます。
現在の年齢から満了年齢までの保険料を足し合わせて、保険金額と見比べてください。
総額が保険金を超えるなら、保障ではなく割高な積み立てを続けていることになります。
手元に証券が無い場合は、通帳の引き落とし名義か、保険会社から届く契約内容のお知らせから契約を特定できます。
もう一つ出しておきたいのが、実際に足りない金額です。
葬儀費用の平均は形式で大きく違い、一般葬122.01万円、家族葬96.39万円、一日葬74.43万円、直葬・火葬式49.56万円でした(鎌倉新書 第7回お葬式に関する全国調査/2026年3月時点)。
どの形式で送るつもりかによって、必要な備えは倍以上変わります。
呼ぶ範囲の決め方は家族葬と一般葬の違いと呼ぶ範囲で解説しています。
互助会の積立と混同していないか
毎月払っているものが保険ではなく互助会の積立金だったという取り違えも起こります。
保険は保険金が現金で支払われる契約、互助会は積み立てた金額分のサービスを受ける契約で、仕組みが別物です。
互助会は解約時に手数料が差し引かれる規約になっていることが多く、途中でやめる判断は保険とは別に考える必要があります。
積立の扱いは互助会の積立の仕組みと解約時の注意で解説しています。
家族に渡す情報と、保険会社の窓口で聞くことは違う
契約を続けるにしても解約するにしても、話す相手が変われば持っていくものも変わります。同じ説明を全員に繰り返しても進みません。
受取人になっている家族へ
家族に必要なのは、保険会社名・証券番号・保険金額・証券の保管場所です。
加入していること自体を知らせていない契約は、請求されないまま終わります。
口頭で伝えただけでは、いざというときに誰も思い出せません。
書き残す場所を一つに決めておくと探す手間が減ります。
書く項目はエンディングノートに書くべき項目で解説しています。
保険会社・代理店へ
窓口で聞くのは、次の更新後の保険料、満了年齢、解約した場合に戻る金額の3点です。
「解約したいのですが」と切り出す前に、この3つを数字で答えてもらってください。
担当者に相談すると別の商品を勧められることもありますが、乗り換えは新しい契約の年齢で保険料が計算されます。
健康状態によっては引き受けてもらえない場合もあるため、先に解約してから探すと無保険の期間ができます。
兄弟・親族へ
立て替えの話は、感情ではなく金額で切り出したほうが進みます。
机の上に出すのは、想定している葬儀の形式と費用の目安、保険金の額、足りない差額です。
差額が分かれば、誰がいくら立て替え、後で保険金からどう精算するかという具体の相談になります。
「お金の話をしたい」から始めると、たいてい先送りになります。
葬儀社へ
生前相談の場では、保険金で支払えるかどうかを確かめておいてください。
支払期限が施行後何日か、保険金の入金を待つ後払いに応じてもらえるかは会社ごとに違います。
病院で葬儀社を紹介されても、その場で決める義務はありません。
断って構いません。
互助会との比べ方は葬儀保険と互助会の違いの見比べ方で解説しています。
葬儀保険の保険金と、公的な埋葬料・葬祭費は別に出る
保険に入っていなくても、公的な給付が出る場合があります。ここを知らずに保険金額を決めると、必要以上の保障を買うことになります。
| 制度 | 対象 | 金額 |
|---|---|---|
| 埋葬料 | 健康保険の被保険者が亡くなったとき | 一律5万円 |
| 葬祭費 | 国民健康保険・後期高齢者医療の加入者が亡くなったとき | 市区町村の条例で定められ、額が異なる |
葬祭費の金額はお住まいの市区町村の窓口で確認してください。
どちらも申請しなければ支給されません。
葬儀保険の保険金とは別の制度なので、両方受け取れます。
保険金を誰が請求するかは、証券に書かれた受取人で決まります。
受取人が亡くなった本人のままになっている契約や、離婚前の配偶者が指定されたままの契約は、請求の段階でもめる原因になります。
指定の変更は生きているうちしかできません。
保険金が相続税の課税対象に含まれるかどうかは、契約者・被保険者・受取人の組み合わせで扱いが変わります。
相続税には3,000万円+600万円×法定相続人の数という基礎控除があり、相続人が3人なら4,800万円です。
これを超えるかどうかで申告の要否が分かれますが、個別の判定は税理士に相談する段階です。
申告と納付の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内と決まっています。
なお、申込みを撤回できる期間や、告知した内容に誤りがあったときに契約を解除される条件は、申込書面と約款に定められています。
持病を告知せずに加入した契約は、請求の段階で支払われないことがあります。
自分の契約書面で確認してください。
葬儀保険の解約前にやっても進まないことと、相談先の選び分け
調べ始めた人がまずやりがちで、実際には判断が進まない対処があります。
- ランキングサイトや口コミで比べる(保険料は加入時の年齢と健康状態で変わるため、他人の評価は自分の条件に当てはまりません)
- 掛け捨てだと分かった時点ですぐ解約する(新しい契約は今の年齢で計算され、引き受けてもらえない場合もあります)
- 互助会に乗り換えれば解決すると考える(積立金の解約手数料と、サービスの範囲を先に確かめないと二重の負担になります)
- 家族に「保険に入ってあるから」と口頭で伝えて終える(証券番号と保管場所が無いと請求できません)
先に手を動かすのは、証券の4項目を書き出して、払込総額と保険金を並べる作業です。
ここまで自分でできます。
数字が出たあとに解約や乗り換えを考えると、判断の材料がそろった状態で窓口に行けます。
専門家や窓口に渡す境目
契約内容の照会と解約手続きは、保険会社の窓口で完結します。証券が見つからない場合も、契約者本人か相続人であれば照会に応じてもらえます。
訪問してきた担当者に迫られて契約した、説明された内容と証券の記載が違うといった場面では、お住まいの市区町村の消費生活相談窓口へ相談できます。契約日と担当者名、受け取った書面を手元に置いてから連絡してください。
保険金の相続税の扱い、遺産に含めるかどうかの判定は税理士の領域です。
立て替えた葬儀費用の精算を兄弟の誰かが拒んで話が止まったときは、弁護士に渡す段階になります。
自治体が実施する無料相談を入口にすれば、費用をかけずに見通しを聞けます。
よくある質問
葬儀保険は掛け捨てですか
商品によって違います。
解約したときに戻るお金が無いか、あってもごくわずかという設計が多く見られますが、契約ごとに条項が異なるため、証券と約款の解約に関する記載で確認してください。
積み立てと同じつもりで契約していると、途中でやめた時点で何も残りません。
途中で解約すると払った保険料は戻りますか
解約返戻金が定められていない契約では戻りません。
定められている場合でも、経過年数によって額が変わります。
保険会社の窓口に証券番号を伝えれば、現時点で戻る金額を確認できます。
解約を決める前に、この数字と次回更新後の保険料を並べて比べてください。
持病があっても加入できますか
告知する項目と引き受けの条件は商品ごとに定められています。
申込書の告知欄にどこまで書く必要があるかを確かめてください。
告知が要らない契約のように見えても、加入から一定期間内に亡くなった場合の支払いが制限されていることがあります。
告知せずに加入すると、請求の段階で契約を解除される可能性が残ります。
保険金は葬儀社への支払いに間に合いますか
請求書類がそろってから支払われるため、葬儀の直後に現金が必要な場面には間に合わない場合があります。
亡くなった本人の預金口座は金融機関が死亡を把握した時点で凍結されるので、遺族が立て替える前提で考えておいてください。
葬儀社に後払いや支払期限の延長に応じてもらえるかは、生前相談の段階で聞けます。
親が葬儀保険に入っているか分からないときはどうしますか
通帳の引き落とし名義、郵便物、確定申告の控除証明書から契約を特定できます。
保険会社名が分かれば、契約内容の照会ができます。
本人が元気なうちに、保険会社名・証券番号・保険金額・受取人の4つを聞いておくと、亡くなったあとに探す手間がなくなります。
まとめ
葬儀保険で損が出るのは、途中でやめても戻るお金が無い設計であること、更新のたびに保険料が上がって保障の終わる年齢があること、保険金が葬儀代の支払いに間に合わないことの3つです。どれも契約書面に書かれている内容で、加入後に変わったものではありません。
判断の材料は、保険証券の保険金額・保険期間と満了年齢・更新後の保険料・解約返戻金の4項目に集約されます。
ここから払込総額を計算し、葬儀費用の目安と公的な埋葬料や葬祭費を差し引けば、本当に足りない金額が出ます。
その数字が無いまま解約や乗り換えを決めると、無保険の期間ができたり、割高な契約に移ったりします。
ぜひ本記事の証券で確かめる4項目と相手別の切り出し方を参考に、まずは手元の保険証券を開いて、次回更新後の保険料を確認してください。生前に決めておける項目は葬儀の生前準備で決めておく6つのことで解説しています。


