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葬儀の生前準備|元気なうちに決めておく6つのことを解説

葬儀の生前準備|元気なうちに決めておく6つのことを解説

葬儀費用の全国平均は96.73万円、いちばん多く選ばれている家族葬でも96.39万円です(鎌倉新書 第7回お葬式に関する全国調査/2026年3月時点)。

この金額を、家族は亡くなった当日に、病院の霊安室で初対面の担当者と決めることになります。

遺体を安置する場所を先に押さえないと搬送もできないため、見積書を並べて比べる時間はほとんどありません。

形式と予算だけでも本人が決めておけば、残された家族の仕事は内訳を確かめるところまで小さくなります。

本記事では、元気なうちに決める6つの項目・形式別の費用の差・生前相談で確かめること・病院で紹介された葬儀社の扱い方を解説します。

葬儀準備で元気なうちに決める6つのこと

亡くなった直後に家族が判断を迫られる項目は、大きく6つに分かれます。どれも本人が生きているうちに答えを出せるもので、逆に言えば、決めないまま亡くなると全部が家族の宿題として残ります。

決めること家族が当日に困る理由
形式(一般葬・家族葬・一日葬・直葬)費用も日程も参列者数も、ここが決まらないと何も動かせません
訃報を出す範囲家族は本人の交友関係も勤務先の連絡先も把握していません
予算の上限と、支払いに使うお金誰の財布から出すかが決まっていないと、その場で立て替えることになります
宗教者を呼ぶか(菩提寺・宗派)先祖代々の墓がある寺を飛ばすと、納骨の段階で話がこじれます
葬儀社決めていないと、病院で紹介された社にそのまま頼むことになります
遺影の写真と安置先写真探しと安置場所の確保は、搬送前に片付ける必要があります

形式が決まれば、残りの5つは絞れる

手を付ける順番は迷わなくて構いません。

形式から決めてください。

一般葬にするなら訃報を出す相手は広がり、会場も大きくなり、予算も上がります。

直葬なら通夜も告別式も行わないため、呼ぶ範囲は考えなくてよくなり、宗教者を呼ぶかどうかも別の問題になります。

形式は他の5項目の前提になっていて、ここが空欄のままでは予算の上限も決めようがありません。

形式を選ぶ材料は、費用と、呼びたい人の数の2つです。

どちらも自分で答えを出せます。

親戚や近所付き合いの範囲を知っているのは本人だけで、家族が名簿から推測できるものではありません。

決めた内容は、家族が読める形で残す

口頭で伝えた希望は、いざというときに「そういえば何か言っていた」で終わります。

紙に書いて、家族が場所を知っている引き出しに入れておいてください。

市販の用紙でも手書きのメモでも構いませんが、項目を漏らさず埋めるならエンディングノートに書く項目で解説している形式が使いやすいです。

金庫や貸金庫にしまうと、開けるのが葬儀のあとになります。

形式別の費用は家族葬96.39万円、直葬49.56万円

形式を選ぶときにいちばん気になるのは金額でしょう。全国調査の数字を並べると、次のようになります。

形式平均費用
一般葬122.01万円
家族葬96.39万円
一日葬74.43万円
直葬・火葬式49.56万円
全体の平均96.73万円

いずれも鎌倉新書「第7回お葬式に関する全国調査」(2026年3月時点/直近2年以内に喪主を経験した40歳以上の男女2,000件)の数字です。実施割合は家族葬が47.0%で最も多く、喪主経験者のほぼ半数が選んでいます。

この平均額に何が含まれるかは、見積書でしか分からない

調査で公表されているのは形式別の総額です。

飲食の費用や返礼品、宗教者へのお布施がどこまで入った金額なのかは、この調査からは分かりません。

見積書を見るときは、総額の大小より先に「この金額に含まれるもの」と「別料金になるもの」を項目ごとに確かめてください。

安く見えた見積もりが、当日に料理と返礼品を足して膨らむのはこの部分です。

家族葬は安さで選ぶと、後日の対応が増える

家族葬と一般葬の差は25.62万円ほどです。

ただし呼ばなかった人が訃報を後から知れば、自宅へ弔問に来ます。

その対応が1か月続くこともあり、費用は下がっても家族の負担が消えるわけではありません。

誰を呼んで誰を呼ばないかは本人が線を引いておくのが確実で、判断の基準は家族葬で呼ぶ範囲の決め方で解説しています。

直葬でも、亡くなった当日には火葬できない

死亡または死産の時から24時間を経過した後でなければ火葬できません(墓地、埋葬等に関する法律3条)。

通夜も告別式もしない直葬であっても、最低1日はどこかに安置します。

自宅で寝かせられないなら葬儀社の安置施設を使うことになり、1日あたりの安置料が発生します。

49.56万円という平均額には、この安置の日数が人によって違うという幅が含まれています。

葬儀準備で家族に渡しておく情報は、宗派・保険・連絡先

形式と予算が決まったら、家族が当日に調べても分からない情報を書き出します。役所や葬儀社に聞いても出てこないものばかりです。

菩提寺の名前と宗派

先祖代々の墓が寺の境内にあるなら、通夜と葬儀を依頼する僧侶はその寺に相談するのが通例です。

知らずに別の僧侶へ頼むと、納骨の段階で話し合いが必要になることがあります。

寺の名前、住所、電話番号、宗派の4つを書き残してください。

寺との付き合いが途絶えている場合や、墓を持たずに供養先を探している場合は、永代供養の種類ごとの違いで解説している選択肢が候補になります。

永代供養は永久という意味ではなく、多くの施設で三十三回忌や十七回忌までを個別に安置し、そのあとは他の遺骨と合祀(ごうし)されます。

年数と合祀後の扱いは施設ごとに違うので、契約書で確かめてください。

加入している健康保険の種類

健康保険の被保険者が亡くなると埋葬料が支給され、額は一律5万円です。

国民健康保険や後期高齢者医療の加入者には葬祭費が支給されますが、金額は市区町村の条例で決まるため一律ではありません。

お住まいの市区町村の窓口で確認してください。

どちらも申請しなければ支給されないお金で、家族は本人がどの保険に入っていたかを知らないまま手続きの期限を迎えることがあります。

保険証の種類と、勤務先の健康保険組合名を控えておけば足ります。

訃報を出す相手の連絡先と、遺影に使う写真

連絡先は、名前・続柄や関係・電話番号の3点があれば家族が動けます。

年賀状の束を渡されても、家族はそこから誰に知らせるべきかを判断できません。

遺影の写真は、本人が気に入っている1枚をデータか紙で指定しておきます。

当日にアルバムをひっくり返す作業が丸ごと消えます。

葬儀社の生前相談は、いつ何社に申し込むか

葬儀の準備に法律上の期限はありません。

相続放棄の3か月や相続税の申告の10か月のような起算日は存在せず、いつ動いても構わない代わりに、いつまでも先送りできてしまいます。

実務上の目安は、本人が契約内容を理解して判断できるうちです。

入院した、要介護の認定を受けた、あるいは診断を受けた段階で相談に行く人が多い分野になります。

見積もりは複数社から、紙でもらう

生前相談は無料で受け付けている葬儀社が多く、その場で契約を求められるものではありません。

1社だけで決めると、提示された金額が高いのか安いのかを判断する基準がないままになります。

2社以上から同じ形式・同じ人数の条件で見積書をもらい、次の点を項目ごとに比べてください。

  • 総額に含まれるものと、別料金になるもの
  • 安置施設があるか、1日あたりの安置料はいくらか
  • 深夜や早朝に亡くなった場合の搬送に対応するか
  • 追加費用が発生する条件(参列者が増えた、安置日数が延びた場合など)
  • 支払いの時期と方法、現金以外が使えるか

口頭の説明だけで帰らないことです。担当者が替われば話も変わりますし、実際に連絡するのは本人ではなく家族になります。

積立や保険で払うなら、解約の条件まで読む

互助会の積立や葬儀保険を使って備える方法もあります。

どちらも途中でやめるときに条件があり、互助会は解約手数料が引かれる仕組みが一般的です。

加入前に、解約したらいくら戻るのか、引っ越した先でも使えるのかを確かめてください。

積立と保険それぞれの注意点は、互助会の積立の仕組みと解約時の注意で解説しています。

申し込んだ事実を家族に伝える

生前相談を申し込んでも、家族が知らなければ意味がありません。葬儀社名と担当者名、24時間つながる連絡先を、決めた内容を書いた紙と同じ場所に入れておいてください。

葬儀準備が止まるのは、病院での即決と親族の反対

準備した内容がそのとおりに使われないことがあります。止まる場所はだいたい決まっていて、いずれも事前に手当てができます。

病院で紹介された葬儀社は、その場で断ってよい

病院には遺体を長く置いておく設備がないため、亡くなると搬送を急がされます。

提携している葬儀社を紹介されることもありますが、どこに頼むかを決めるのは家族です。

病院に決定権はありません。

決めた葬儀社があるなら「もう依頼先が決まっています」と伝えれば足ります。

ここで断れずに流れで契約すると、生前相談で取った見積もりは使われないまま終わります。

家族が同じ説明をできるよう、断ってよいことも紙に書いておいてください。

家族葬にすると伝えたら、親族から反対された

反対の理由は費用ではなく、呼ばれないことへの不満であることがほとんどです。

本人が生きているうちに、なぜその形式にするのかを親族に直接伝えておけば、家族は「故人の希望です」と繰り返すだけで済みます。

亡くなってから子どもが説明すると、勝手に決めたと受け取られます。

伝える順番と言い方は家族葬を親族に納得してもらう伝え方で解説しています。

書いたものが見つからない

希望を書いた紙を金庫や貸金庫に入れると、開けるのは葬儀が終わったあとです。

貸金庫は相続手続きを経ないと開かないこともあります。

保管場所は、配偶者と子どもの両方が知っている引き出しにしてください。

同じ内容のコピーを1部、離れて暮らす子に渡しておくのも手です。

葬儀準備の費用は誰が払うかまで決める

形式と葬儀社が決まっても、支払う人と原資が決まっていないと当日に止まります。葬儀費用の支払いは、施行後の短い期間に求められるのが一般的です。

本人の口座から出すつもりなら、前提を確認する

金融機関が名義人の死亡を把握すると、その口座は凍結されます。

通帳とキャッシュカードが手元にあっても、引き出せなくなる前提で考えてください。

当面の現金をどこから出すかを家族と決めておき、本人の口座をあてにする場合は、いつどうやって引き出すのかまで話し合っておく必要があります。

なお、相続放棄を検討している人が故人の預金から葬儀費用を支出した場合、単純承認したものとみなされるかどうかは判断が分かれる論点です。

借金の有無が分からない段階なら、支払う前に弁護士か司法書士に相談する段階になります。

相続放棄の申述は、自分が相続人だと知った時から3か月以内です。

葬祭費と埋葬料は、払ったあとに戻るお金

健康保険の埋葬料は一律5万円、国民健康保険と後期高齢者医療の葬祭費は市区町村ごとに額が違います。

どちらも申請して後から振り込まれるもので、葬儀の支払いには間に合いません。

手元の現金を用意しておく話とは別に考えてください。

現金で置くか、商品を使うか

備え方は、預金で残す方法と、互助会や葬儀保険といった商品を使う方法に分かれます。

預金は自由度が高い代わりに凍結の問題があり、葬儀保険は受取人を指定できる代わりに保険料の総額が給付額を上回ることもあります。

どちらが向くかは年齢と健康状態、それに家族構成で変わります。

商品を選ぶ前に、葬儀保険の仕組みと加入前の確認点で構造を押さえておくと比較しやすくなります。

よくある質問

葬儀の生前準備はいつから始めればいいですか

法律上の期限はありません。

判断の目安は、本人が見積書の内容を理解して自分で決められるうちです。

入院や要介護認定をきっかけに動く人が多い一方、健康なうちに形式と予算だけ決めておく人もいます。

認知症の診断を受けたあとは契約そのものが難しくなるため、先に希望を紙に残しておくほうが家族は動けます。

生前に葬儀社を決めておくと、あとで変更できなくなりますか

生前相談は見積もりと事前登録にとどまるのが一般的で、その段階なら変更できます。

ただし互助会の積立や葬儀保険に加入した場合は、解約に手数料や条件が付きます。

加入前に解約返戻金の計算方法を確かめてください。

加入後に乗り換えを考える場合の注意点は葬儀保険の解約や乗り換えで損しない見方で解説しています。

直葬なら本当に50万円以内で収まりますか

直葬・火葬式の平均は49.56万円です(鎌倉新書 第7回お葬式に関する全国調査/2026年3月時点)。

これは平均であって上限ではありません。

死後24時間は火葬できないため安置が必要で、日数が延びれば安置料が積み上がります。

火葬場の混雑で数日待つ地域もあります。

見積もりを取るときは、安置1日あたりの料金と、何日分が総額に含まれているかを確認してください。

葬祭費はいくら支給されますか

国民健康保険と後期高齢者医療の葬祭費は、市区町村の条例で額が決まっているため一律ではありません。

お住まいの市区町村の窓口で確認してください。

会社の健康保険に入っていた人の埋葬料は一律5万円です。

いずれも自動では振り込まれず、申請が必要になります。

病院で紹介された葬儀社を断ると、遺体を運んでもらえなくなりませんか

搬送を頼む先を決めるのは家族です。

紹介を断ったうえで、自分たちで決めた葬儀社に連絡して迎えに来てもらう流れになります。

深夜や早朝に亡くなることもあるため、生前相談の段階で「24時間対応か」「病院まで何分で来られるか」を聞いておくと、当日に迷いません。

まとめ

葬儀の生前準備で本人にしかできないのは、形式を決めることと、菩提寺や交友関係のように家族が調べても分からない情報を書き残すことです。形式さえ決まれば費用の目安も呼ぶ範囲も絞れますし、生前相談で見積もりを取っておけば、家族は病院で紹介された葬儀社と即決せずに済みます。

支払いの原資まで決めて、はじめて準備が完結します。

口座は凍結される前提で、当面の現金をどこから出すかを家族と共有しておいてください。

ぜひ本記事の6項目の表と形式別の費用を参考に、まず形式と予算の2つを紙に書き出すところから始めてください。

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