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葬儀屋はどう選ぶ?生前相談で確かめたい項目を解説

葬儀屋はどう選ぶ?生前相談で確かめたい項目を解説

葬儀費用の平均は96.73万円です(鎌倉新書 第7回お葬式に関する全国調査/2026年3月時点)。ただしこれは、一般葬の122.01万円から直葬・火葬式の49.56万円までをならした数字で、どの形式にするかで70万円以上開きます。

この差を比べられるのは、亡くなる前の期間だけです。

亡くなった当日は、遺体をどこへ運ぶかを数時間で決めることになり、手元にある見積書は病院で紹介された1社分だけという状態で契約に進みます。

なお、病院で渡される葬儀社の連絡先は、その場で断って構いません。

本記事では、葬儀屋と互助会・紹介サイトの違い、生前相談で確かめる見積書の項目、形式別の費用差、葬祭費と埋葬料の申請先まで解説します。

葬儀屋を比べられるのは、亡くなる前の期間だけ

葬儀の依頼が他の買い物と違うのは、検討に使える時間が決まっていない点です。

親が入院している段階なら何か月でも調べられますが、亡くなった後は数時間しかありません。

病院は霊安室を長く使わせない運用が一般的で、搬送先を決めるまで次に進めないためです。

ここで押さえておきたいのは、搬送を頼んだ会社と、葬儀を任せる会社は別でも構わないという点です。

病院に出入りしている葬儀社に遺体の搬送だけを依頼し、葬儀は別の会社と契約することもできます。

ただし搬送費は二重にかかり、安置場所を移すなら移動のたびに費用が発生します。

結果として、その場で紹介された会社にそのまま流れる形になりやすいのです。

生前に1社でも相談しておくと、この流れを断ち切れます。

連絡先が決まっていれば、病院からの搬送をその会社に頼めます。

見積書が手元にあれば、当日に提示された金額が高いのか妥当なのかを判断する材料になります。

相談したからといって契約する義務はなく、複数の会社に話を聞いて構いません。

相談に行くときは、亡くなる人本人を連れて行かなくても大丈夫です。

子どもだけで訪ねて、費用の目安と対応エリアを聞いて帰るだけでも意味があります。

親に切り出しにくいという事情があるなら、まず自分ひとりで情報を集める段階から始めてください。

葬儀屋・葬儀社・互助会・紹介サイトは役割が違う

調べ始めると似た言葉が並びますが、契約の相手として誰が出てくるかがそれぞれ異なります。ここを整理しておかないと、「積立をしているから大丈夫」「サイトに載っていた金額で頼んだはず」といったずれが起きます。

葬儀屋という呼び名と、契約の相手になる葬儀社

葬儀屋は日常語での呼び方で、事業者としての名称は葬儀社です。

葬儀の施行を請け負い、遺体の搬送・安置、式場と火葬場の手配、祭壇や棺の用意、宗教者への連絡までをまとめて行います。

会社によって、自社で式場を持っているところと、公営斎場や寺院の会館を借りて施行するところに分かれます。

自社式場があれば式場使用料が抑えられる一方、場所が選べないこともあります。

互助会の積立は葬儀費用の全額ではない

冠婚葬祭の互助会は、月々の掛金を積み立てて、葬儀のときにその積立分を充当する仕組みです。

積立額がそのまま葬儀費用の総額になるわけではなく、不足分は当日に追加で支払います。

親が加入していた場合は、まず契約書と会員証を探してください。

確認したいのは、いくら積み立ててあるか、どのコースに充当されるか、解約する場合に手数料がいくら引かれるかの3点です。

加入している本人が元気なうちに問い合わせたほうが、手続きは進めやすくなります。

紹介サイトは施行する会社が別にいる

インターネットで「一律◯万円」と表示している事業者には、自社で施行する会社と、提携している地域の葬儀社を紹介する仲介事業者が混在しています。

仲介の場合、当日に来るのは提携先の会社です。

表示価格に何が含まれているか、火葬料や式場使用料が別枠になっていないかを、施行する会社の名前とあわせて確認してください。

見積書の項目の読み方は葬儀社の見積もりで見るべき項目で解説しています。

火葬は死亡から24時間後|葬儀屋に連絡してから火葬までの流れ

亡くなってすぐ火葬することはできません。

死亡または死産の時から24時間を経過した後でなければ火葬・埋葬できないと墓地埋葬法3条で決まっています(指定感染症などの例外があります)。

そのため、どの形式を選んでも最短で翌日以降になり、その間はどこかに遺体を安置します。

安置場所を決めないと病院を出られない

搬送先の選択肢は、自宅か、葬儀社の安置施設か、公営の霊安室のいずれかです。

自宅に運べるかは、寝かせる部屋があるか、玄関や階段を通せるかで決まります。

マンションでエレベーターに入らない場合は、自宅を希望しても物理的に難しいことがあります。

葬儀社の安置施設を使う場合、料金は1日ごとの加算になるのが一般的です。

火葬場が混み合って日程が後ろにずれると、そのぶん安置日数とドライアイスの費用が増えます。

生前相談では、安置料が1日いくらか、面会できるのか、面会に別途料金がかかるのかまで聞いておいてください。

死亡届は7日以内、火葬許可証はその場で受け取る

死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡地・本籍地・届出人の所在地のいずれかの市区町村へ死亡届を提出します(戸籍法86条)。

提出すると火葬許可証が交付され、これがないと火葬場は受け付けません。

実務では葬儀社が提出を代行することが多く、生前相談の段階で代行してもらえるかを確認しておくと当日の負担が減ります。

葬儀費用の平均は96.73万円、形式で70万円以上の差がつく

直近2年以内に喪主を経験した全国の40歳以上2,000人への調査では、葬儀費用の平均は96.73万円でした(鎌倉新書 第7回お葬式に関する全国調査/2026年3月時点)。形式別の内訳は次のとおりです。

形式平均費用
一般葬122.01万円
家族葬96.39万円
一日葬74.43万円
直葬・火葬式49.56万円

同じ調査では、実際に選ばれた形式のうち家族葬が47.0%で最も多くなっています。平均値の96.73万円は、この家族葬の平均額とほぼ重なります。

ここから先は、総額ではなく何で増減するかを見たほうが自分の家に当てはめられます。

金額を動かす要素は、参列者の人数、安置の日数、式場を借りるかどうか、火葬場が公営か民営かです。

参列者が増えれば飲食と返礼品が人数分積み上がり、火葬場が混んでいれば安置日数が延びます。

逆に言えば、この4つを生前に見当づけておけば、提示された見積額が自分の条件に合っているかを判断できます。

形式ごとの相場の比べ方は葬儀費用の平均と形式別の相場、人数別の目安は家族葬の費用と内訳で解説しています。

なお、宗教者へのお礼や飲食費が上の金額にどこまで含まれるかは、調査からは確認できていません。見積書を受け取ったら、寺院や神社へ渡す分が別立てかどうかを必ず口頭で確かめてください。

生前相談で葬儀屋に確かめる5項目

生前相談は、パンフレットをもらって帰るだけでは意味が薄くなります。

当日に金額が動く要素を先につぶしておくのが目的です。

聞くべきことは次の5つに絞れます。

見積書を項目ごとに出してもらう

「一式◯万円」とだけ書かれた見積書では、後から何が足されたのか分かりません。

棺・祭壇・搬送・安置・式場使用料・火葬料・返礼品といった単位で分かれた書面を求めてください。

総額が同じでも、含まれている範囲が会社ごとに違います。

書面をもらえない、口頭でしか答えないという対応であれば、その時点で比較の対象から外して構いません。

追加費用が発生する条件

当日に金額が膨らむのは、たいてい見積もりの前提が変わったときです。

参列者が想定より増えた、安置が2日延びた、搬送距離が規定を超えた、といった場面です。

それぞれ1件あたり・1日あたりいくら加算されるのかを、相談の場で数字にしてもらいます。

ここを聞いておくと、当日に増減が出ても納得して判断できます。

搬送できる範囲と、深夜早朝の対応

亡くなる時間は選べません。

24時間電話がつながるか、その電話が本社なのか外部のコールセンターなのかを確認してください。

搬送についても、対応エリアと、県外の病院で亡くなった場合の距離加算を聞いておきます。

遠方の実家に親が住んでいて、自分は都市部にいるという状況なら、どちらの地域の葬儀社に頼むかを先に決めておく話にもつながります。

支払いの時期と方法

葬儀代の請求は、施行後まもなく届くのが一般的です。

現金一括のみか、クレジットカードや分割に対応しているか、支払期日が何日後かを聞いておきます。

誰が立て替えるかを家族で決める前提にもなる情報です。

生前契約をした場合の解約と変更

その場で契約を勧められることがありますが、急いで決める理由はありません。

契約するなら、解約時に返金されるのか、手数料が引かれるのか、転居した場合に他地域へ移せるのかを書面で確認してください。

数年後に施行される契約なので、そのときに会社が同じ条件で対応できるかという視点で読みます。

葬儀代は誰が払うのか|口座の凍結と葬祭費・埋葬料

費用の話で抜けやすいのが、支払う人を決めていないことです。

多くの場合は喪主が立て替えますが、亡くなった親の預金から出せばいいと考えていると行き詰まります。

金融機関が死亡を把握した時点で、その口座は入出金ができなくなるためです。

通帳と印鑑が手元にあっても引き出せません。

そのため、当面の支払いは誰の財布から出すのかを先に決めておきます。

兄弟で分担するのか、喪主が立て替えて後で精算するのか。

精算するなら、領収書を誰が保管するかまで決めておくと、後の話し合いが揉めにくくなります。

相続の場面では、葬儀費用の負担が分割協議の中で議論になることもあります。

健康保険からの給付は申請しないと出ない

公的医療保険からは、葬儀に関する給付があります。

健康保険の被保険者が亡くなったときの埋葬料は一律5万円です(健康保険法100条)。

国民健康保険と後期高齢者医療の加入者には葬祭費が支給されますが、金額は市区町村の条例で決まっているため、お住まいの自治体の窓口で確認してください。

いずれも自動では振り込まれません。

健康保険なら勤務先を通じて健康保険組合か協会けんぽへ、国民健康保険なら市区町村の窓口へ申請します。

申請期限が設けられているので、窓口で期限と必要書類をあわせて聞いてください。

葬儀費用の備え方として保険商品を検討する場合は、葬儀保険の仕組みと注意点で解説しています。

家族葬・一日葬・直葬、どれを選ぶかは参列者の数から逆算する

形式を先に決めようとすると決まりません。

呼ぶ人の顔ぶれを紙に書き出してから、それが収まる形式を選ぶ順番のほうが早く決まります。

人数が決まれば、式場の広さも飲食と返礼品の数も自動的に決まるためです。

家族葬が収まる範囲

親族と、ごく親しい友人までを呼ぶ形です。

調査では47.0%と最も多く選ばれています。

注意したいのは、呼ばなかった人への連絡をどうするかです。

後から知った人が個別に自宅へ弔問に来る状態が続くと、そのたびに応対することになります。

誰を呼び、誰に事後報告にするかを生前に決めておくと、当日の判断が楽になります。

呼ぶ範囲の決め方は家族葬と一般葬の違いで解説しています。

一日葬と直葬を選ぶ場面

一日葬は通夜を行わず、告別式と火葬を1日で済ませる形です。

平均は74.43万円で、家族葬より20万円ほど下がります。

高齢の親族が多く、2日続けて集まるのが体力的に難しい場合に選ばれます。

直葬・火葬式は儀式を行わず火葬のみで、平均49.56万円です。

故人に近親者がほとんどいない場合や、本人が生前に希望していた場合が中心になります。

両者の違いと選び分けは直葬と一日葬の違いと費用の抑え方で解説しています。

一般葬を外せない場合

地域の付き合いが濃い、自治会や檀家としての関係が続いている、故人が事業をしていたといった事情があると、人を呼ばない選択が後に響きます。

平均は122.01万円と最も高くなりますが、参列者からの香典もそのぶん集まるため、持ち出しの額だけで比べると差が縮まることもあります。

費用だけでなく、残る家族がその後どう付き合っていくかで判断してください。

納骨先が決まっていないと、葬儀の後で止まる

形式を決めるときに一緒に考えておきたいのが、遺骨をどこへ納めるかです。

先祖の墓がある場合はそこへ入れれば済みますが、墓を持っていない、あるいは墓じまいを考えているなら、葬儀の後に遺骨を自宅に置いたまま数年経つことがあります。

受け入れ先の種類と費用は永代供養の種類と向いている人で解説しています。

亡くなった当日に葬儀屋を探すと、見積もりは1社分しか出てこない

生前相談をしなかった場合に何が起きるかを、時間の流れで見ておきます。

医師から死亡が告げられると、病院は数時間以内の退出を求めます。

その時点で家族が調べられるのは、スマートフォンで検索するか、病院で渡された紹介先に電話するかのどちらかです。

搬送してもらった会社に、そのまま葬儀を依頼する流れになります。

1社しか見ていない状態では、提示された祭壇のランクや棺の種類が高いのか標準なのかを判断する基準がありません。

担当者から「このクラスが一般的です」と言われれば、そのまま選ぶことになります。

追加費用の条件を聞く余裕もないまま、施行が始まります。

同じ時期に、期限のある手続きが並行して来ます。主なものは次のとおりです。

  • 死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内(戸籍法86条)
  • 厚生年金の受給停止は死亡から10日以内、国民年金は14日以内
  • 世帯に15歳以上が2人以上残る場合の世帯主変更届は14日以内(住民基本台帳法25条)
  • 相続放棄・限定承認は、自分が相続人だと知った時から3か月以内(民法915条)
  • 相続税の申告・納付は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内(相続税法27条)

葬儀と初七日で1週間、四十九日までで約1か月半が過ぎます。

そこから財産を調べ始めると、相続放棄を判断できる期間はほとんど残りません。

葬儀社を決めておくことは、この時期に使える時間を他の手続きへ回すという意味も持ちます。

親の希望や、加入している保険・互助会の有無を書き留めておく方法もあります。書き方と項目はエンディングノートに書くべき項目で解説しています。

よくある質問

病院で紹介された葬儀屋は断ってもいいですか

断って構いません。

病院が紹介するのは提携している事業者で、そこに依頼する義務はありません。

搬送だけを頼み、葬儀は別の会社に依頼することもできます。

ただし搬送費が二重にかかる場合があるため、搬送を頼む前に「搬送のみでお願いします」と伝え、その料金を確認してください。

生前に葬儀屋と契約したら、解約できますか

解約の可否と返金の扱いは契約内容によって変わります。

契約前に、解約時の手数料、返金される範囲、転居した場合に他地域へ移せるかを書面で確認してください。

口頭の説明だけで契約しないことが、後の争いを避ける方法になります。

互助会に入っていれば、葬儀屋を選ばなくてよいですか

積立金は葬儀費用の一部に充当されるもので、それだけで葬儀が完結するとは限りません。

積立額、充当されるコースの内容、不足分がいくらになるかを互助会に問い合わせてください。

加入している本人が元気なうちのほうが、問い合わせも解約も手続きが進めやすくなります。

亡くなってから火葬まで何日かかりますか

死亡または死産の時から24時間を経過するまで火葬できないため、最短でも翌日以降です(墓地埋葬法3条)。

実際の日程は火葬場の予約状況で決まり、混み合う時期は数日待つこともあります。

待つ日数だけ安置料とドライアイスの費用が加算されるので、1日あたりの単価を先に確認してください。

葬祭費や埋葬料はいつ、どこへ申請しますか

健康保険の被保険者が亡くなった場合の埋葬料は一律5万円で、勤務先を通じて健康保険組合または協会けんぽへ申請します。

国民健康保険と後期高齢者医療の葬祭費は市区町村の窓口で、金額は自治体ごとに異なります。

いずれも申請しないと支給されず、期限が設けられているため、窓口で必要書類とあわせて確認してください。

複数の葬儀屋に見積もりを頼んでも失礼になりませんか

生前相談は複数社に依頼して構いません。

同じ条件(参列者の人数、形式、希望する式場)を伝えて見積書をもらうと、項目の立て方や含まれる範囲の違いが分かります。

比較のために条件をそろえて渡すことが、そのまま担当者の説明の丁寧さを見る材料にもなります。

まとめ

葬儀費用の平均は96.73万円ですが、一般葬と直葬では70万円以上の開きがあり、この差を比べられるのは亡くなる前の期間だけです(鎌倉新書 第7回お葬式に関する全国調査/2026年3月時点)。

当日は搬送先を数時間で決めることになり、手元の見積書は1社分になります。

生前に1社でも相談し、項目ごとの見積書を受け取っておくと、その場で提示された金額を判断できます。

決めておくのは、呼ぶ人の顔ぶれ、安置場所、支払う人の3つです。

この3つが決まれば形式はおのずと絞られ、葬祭費や埋葬料の申請先も先に調べておけます。

ぜひ本記事の形式別の費用表と生前相談の5項目を手元に置いて、まずは1社の相談窓口で項目ごとの見積書を取ってください。

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