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樹木葬とは?種類ごとの違いと選ぶときの判断軸を解説

樹木葬とは?種類ごとの違いと選ぶときの判断軸を解説

霊園の資料に「樹木葬」と書かれた区画が、同じ園内に2つ並んでいることがあります。

片方は一区画ごとに小さな銘板が付き、もう片方は最初から他の家の遺骨と一緒に納めます。

同じ呼び名でも、あとから遺骨を取り出せるかどうかが違います。

鎌倉新書の第17回お墓の消費者全国実態調査では、お墓を買った人の47.4%が樹木葬を選び、平均購入価格は71.7万円でした(2026年1月時点)。

本記事では、合祀型と個別型で変わる遺骨の扱い・改葬許可証を申請する順番・親族に切り出すときに手元へ置く資料を解説します。

樹木葬で最初に確かめるのは、遺骨を取り出せなくなる時期

樹木葬の契約書で先に見る数字は、金額ではなく個別に安置する年数です。

多くの施設は十三回忌や三十三回忌といった区切りを設け、その期間を過ぎると他の遺骨と一緒に納める合祀(ごうし)へ切り替えます。

合祀されたあとは、どれが誰の遺骨か特定できなくなるため、取り出して別の場所へ移すことはできません。

ここだけは後から変更できない条件です。

「永代」は永久を意味する言葉ではない

樹木葬の案内には「永代供養付き」と書かれていることが多いですが、これは施設が管理と供養を引き受けるという意味で、個別の区画が永久に残るという約束ではありません。

個別安置の年数と、合祀後の扱いが施設ごとに決まっています。

永代供養という契約そのものの仕組みは永代供養の種類ごとの違いで解説しています。

契約前に書面で確かめる3点

パンフレットには書かれていても、使用規約まで読まないと分からない項目があります。次の3つは、口頭ではなく書面で確認してください。

  • 個別に安置する年数と、その起算日(納骨日からか、亡くなった日からか)
  • 合祀に切り替わったあと、遺骨を取り出せるかどうか
  • 年間管理料があるかどうか、ある場合は誰が払い続けるのか

子どもが他県にいて継ぐ人がいない、という理由で樹木葬を検討している場合、3つ目がとくに重要になります。

管理料の支払いが続く契約なら、実質的に誰かが引き継ぐ形になるためです。

最初にまとめて払い切る契約と、毎年払う契約では、10年後に子へ残るものが変わります。

樹木葬と永代供養・納骨堂は、指している中身が違う

この3つの言葉は同じ並びで比べられがちですが、答えている問いが別です。

樹木葬は遺骨をどこに納めるかという場所の形で、永代供養は誰が管理と供養を続けるかという契約の形を指します。

そのため「樹木葬か永代供養か」という選び方にはなりません。

樹木葬でも一般墓でも、永代供養が付く契約と付かない契約の両方があります。

樹木葬は、墓標が石ではなく樹木や草花になったもの

樹木葬は、墓石の代わりに樹木やシンボルツリー、草花を墓標とする埋葬の形です。

区画の見え方は施設ごとに大きく違い、芝生の中に銘板が並ぶタイプもあれば、里山の斜面をそのまま使うタイプもあります。

継ぐ人がいなくても契約できる施設が多いのは、多くが永代供養とセットで販売されているためです。

納骨堂は建物の中、樹木葬は土の中

納骨堂は屋内の収蔵施設に骨壺を納める形で、雨の日でも参拝でき、駅の近くに立つものもあります。

一方の樹木葬は屋外の区画なので、天候と季節に左右されます。

平均購入価格は納骨堂が81.5万円、樹木葬が71.7万円で、大きな差はありません(鎌倉新書 第17回お墓の消費者全国実態調査/2026年1月時点)。

屋内か屋外かという条件で迷っているなら、納骨堂のタイプ別の違いと並べて比べたほうが早いでしょう。

なお、遺骨を海や山に撒く散骨は、墓地の区画に納める樹木葬とは別の行為です。「自然に還す」という言葉が両方に使われるため混ざりやすいのですが、必要な手続きも、参拝する場所が残るかどうかも違います。

樹木葬も、許可を受けた墓地の区画に納める

樹木葬は山林に自由に埋めるものではありません。

遺骨を埋めるには、墓地として許可を受けた区域である必要があります。

里山型の樹木葬が野山のように見えても、その区域は墓地として許可された土地です。

個人が所有する山に勝手に遺骨を埋めることはできません。

今あるお墓から遺骨を移す場合は、現在の墓地がある市区町村が発行する改葬許可証が要ります(墓地、埋葬等に関する法律5条)。

許可証なしに遺骨を動かすのは違法です。

お盆の帰省のついでに骨壺を持ち帰る、という進め方はできません。

遺骨の納め方は施設ごとに決まっている

同じ樹木葬でも、骨壺のまま納める施設、布の袋に移して納める施設、遺骨を直接土に還す施設があります。

骨壺のままなら後から取り出せる可能性が残りますが、土に還す方式では戻せません。

遺骨の一部を粉状にしてから納める方式を取る施設もあります。

どの方式かで、あとの選択肢が変わります。

納め方ごとの違いは樹木葬の納骨方法で解説しています。

運営が寺院か、公営か、民営か

樹木葬の区画は、寺院の境内にあるもの、自治体が運営する公営墓地の中にあるもの、宗教法人や公益法人が母体の民営霊園にあるものに分かれます。

寺院墓地の樹木葬でも宗旨宗派を問わない募集は多いのですが、檀家になることを条件とする施設もあります。

公営は募集の時期が限られ、その市区町村に住んでいることなどの条件が付くのが一般的です。

申し込みの窓口と条件は施設ごとに違うため、資料を取り寄せる段階で確認してください。

樹木葬の平均は71.7万円、動かすのは区画と安置年数

お墓の種類ごとの平均購入価格は次のとおりです(鎌倉新書 第17回お墓の消費者全国実態調査/2026年1月時点)。

お墓の種類平均購入価格
一般墓152.0万円
納骨堂81.5万円
樹木葬71.7万円

この調査は、2025年1月から12月にポータルサイト「いいお墓」を通じてお墓を購入した1,267人への調査です。

全国の平均ではなく、そのサイトを使って買った人の平均という点は押さえておいてください。

同じ調査では、購入した種類の47.4%が樹木葬で、合祀墓・合葬墓が16.4%、納骨堂が15.5%、一般墓が15.2%でした。

選ぶときに重視した点としては「継承者が不要なこと」が38.8%で、金額の43.9%に次ぐ位置にあります。

施設に払う金額を動かす条件

同じ霊園の中でも、区画によって価格が何倍か違うことがあります。

効いている条件は、遺骨を何体分納められるか、個別に安置する年数が何年か、銘板やプレートを付けるか、区画に個別の植栽が付くかです。

夫婦2人で1区画を使う契約は、1人用の2倍にならないこともあります。

内訳ごとの金額差は合祀型と個別型の費用の差で解説しています。

今のお墓を片づける側の費用は、面積と搬出経路で決まる

遠方の墓を樹木葬に移す場合、受け入れ先の購入費とは別に、今の墓石を撤去して区画を更地で返す工事費がかかります。

この工事費は、区画の面積、外柵とカロート(納骨室)の量、重機が入れるかどうか、墓石を運び出す経路の長さで変わります。

参道が狭く階段が続く区画では手作業の割合が増えます。

見積もりを取るときは、撤去する範囲と残置物の扱いを図面で示してもらってください。

離檀料は金額も根拠も書面で確認する

寺院墓地を離れるときに離檀料を求められることがあります。

法律に支払義務を定めた規定はなく、相場として示せる公的な統計もありません。

請求された場合は、金額と、その算定の根拠を書面で出してもらうところから始めてください。

口頭のやり取りだけで話を進めると、後から金額が動いたときに確かめる材料が残りません。

改葬許可証は、受け入れ先が決まらないと申請できない

手続きの順番を間違えると、途中で止まります。

改葬許可の申請には、移す先の受入証明書と、今の墓地管理者が出す埋葬証明書を添えるためです。

つまり樹木葬の契約を先に済ませないと、市区町村の窓口へ行けません。

「まず役所で許可をもらってから移転先を探す」という順序では進みません。

順番やること窓口・相手
1墓地使用者の名義と、祭祀を継いだ人を確かめる今の墓地の管理者
2兄弟・親族に事情を伝える家族・親族
3樹木葬の施設を決めて契約し、受入証明書をもらう移転先の霊園・寺院
4埋葬証明書をもらう今の墓地の管理者
5改葬許可を申請して許可証を受け取る今の墓地がある市区町村
6遺骨を取り出し、墓石を撤去して区画を返す石材店・墓地管理者
7許可証を提出して納骨する移転先

遺骨の一部だけを手元に残したい場合は、改葬許可証とは別に分骨証明書が必要です。

墓地管理者または火葬場が発行します。

書類の名前が似ていますが、用途が違うので同時に頼んでおいてください。

改葬そのものに法律の期限はない。ただし相続の期限は別に走る

お墓と仏壇などの祭祀財産は相続財産とは別に扱われるため、改葬や墓じまいに「いつまで」という法定の期限はありません。

ここが、相続の手続きとの大きな違いです。

一方で、親が亡くなった直後に樹木葬を検討している場合は、別の時計が動いています。

相続放棄は自分が相続人だと知った時から3か月、相続税の申告と納付は相続の開始を知った日の翌日から10か月、相続登記は不動産を取得したと知った日から3年です。

相続税がかかるかどうかの分かれ目は基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人の数で解説しています。

お墓の相談で親族と集まる機会は、これらの期限を確かめる場にもなります。

書類に署名するのは祭祀承継者1人、納得が要るのは叔父叔母

墓地の使用者を変えたり改葬を申請したりするのは、祭祀を引き継いだ1人です。

お墓・仏壇・位牌といった祭祀財産は、相続財産とは別に1人が引き継ぐ決まりになっています(民法897条)。

指定がなければ慣習によって決まり、それでも決まらないときは家庭裁判所が定めます。

相続を放棄した人でも祭祀承継者にはなれます。

相続人全員の署名が要る遺産分割とは仕組みが違うところです。

とはいえ、法律上の権限が1人にあることと、親族が納得することは別の話です。

実際に止まるのは、叔父や叔母から「先祖に申し訳ない」と言われる場面でしょう。

この気持ちを説き伏せる材料はありません。

ただ、樹木葬に移す判断が「面倒だから」ではなく「守り手がいなくなる前に移す」ためだと分かる資料は用意できます。

まず墓地の名義を確かめる

使用者の名義が亡くなった親のままか、祖父のままかで、必要な書類が変わります。

管理者に問い合わせて、現在の使用者名義と、名義変更に必要な書類を先に聞いてください。

ここが分からないまま親族会議を開くと、誰が決めていいのかという話に戻ります。

話す順番は、兄弟が先、叔父叔母が後

兄弟の間で結論が割れている状態で叔父叔母に相談すると、意見が3方向に増えます。

先に兄弟で、今のお墓を誰がいつまで見るのかを確かめてから、親族へ伝える形にすると論点が絞れます。

厚生労働省の衛生行政報告例によると、令和4年度の改葬件数は151,076件でした。

移すこと自体は各地で行われている手続きだという点は、伝える材料になります。

手元に置く資料

感情の話を数字の話にすり替えるためではなく、判断の材料を同じテーブルに載せるために用意します。

  • 今のお墓の現状写真(区画の傾き、周囲の草、隣の無縁墓の様子)
  • 年間管理料の請求書と、直近数年の支払い実績
  • 自宅から墓地までの片道の移動時間と交通費、年間の参拝回数
  • 検討している樹木葬の資料(個別安置の年数、合祀後の扱い、総額)
  • 今の墓石を撤去する工事の見積書

決めたあとで気持ちが戻ることを心配しているなら、契約前に確かめておく項目を先に潰しておくほうが現実的です。樹木葬で後悔した理由では、契約後に変えられなくなる条件を挙げています。

樹木葬は合祀型・個別区画型・里山型で扱いが変わる

樹木葬という一語で括られていますが、中身は3タイプに分かれます。値段の差だけでなく、参拝したときに何が見えるか、あとで遺骨を動かせるかが違います。

合祀型

1本のシンボルツリーの下に、複数の家の遺骨をまとめて納めます。

個別の区画がないため費用を抑えやすく、管理料が不要な契約も見られます。

ただし納骨した時点で他の遺骨と混ざるため、取り出せません。

参拝は共用の献花台や礼拝スペースで行います。

継ぐ人がおらず、自分の代で完全に区切りを付けたい場合に合うタイプです。

個別区画型

区画が区切られ、銘板やプレートに名前が入ります。

一定年数が過ぎたあとに合祀へ移る契約が多く、その年数が価格差になります。

夫婦2人、あるいは親と自分の2代分を納める想定なら、収蔵できる体数を先に確認してください。

「ここに父がいる」と指せる場所が要る親族がいる場合、合祀型よりも話が通りやすいでしょう。

里山型

整備された墓域ではなく、山林や雑木林の中に納めるタイプです。

自然に還すという考え方に沿う形ですが、最寄り駅や駐車場から歩く距離が長く、冬季に入れない区域もあります。

50代の自分が通えても、80代になってから同じ道を歩けるかという点は見ておいてください。

なぜこの形が選ばれているのかという背景と、施設を比べるときの見方は樹木葬が選ばれる理由と判断軸で解説しています。

3つのどれを選ぶかは、遺骨を後から動かす余地を残すかどうかで決まります。動かす可能性を残すなら骨壺で個別に安置する契約、残さないなら合祀型という分け方になります。

決めないまま置くと、管理料と相続人の数が増える

今すぐ結論を出さないという選択も、それ自体は判断のひとつです。ただし何も動かさない間に変わっていくものがあります。

ひとつは墓地の管理料です。

使用規約で定めた期間、管理料の未納や連絡が取れない状態が続くと、管理者が無縁墳墓として整理する手続きを取る場合があります。

手続きの内容は墓地ごとの規約で違いますが、遺骨をどこへ移すかを自分たちで選べなくなる点は共通です。

もうひとつは、判断に関わる人の数です。

祭祀承継者を決めずに世代が下ると、いとこの代まで関係者が広がります。

人数が増えるほど、全員の予定を合わせるだけで年単位の時間がかかります。

実家の空き家と同時に来ることが多い

遠方のお墓を守れないという状況は、たいてい実家が空き家になる話と重なります。

不動産については相続登記が義務になり、取得を知った日から3年以内に申請しなければ10万円以下の過料の対象です。

2024年4月1日より前に相続した不動産も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。

お墓のほうに期限がないぶん、先に不動産の期限を確かめておくと、親族で集まる回数を減らせます。

また、空き家を放置すると固定資産税が自動で上がるわけではありません。

市区町村が「特定空家」または「管理不全空家」に指定し、勧告を受けた段階で住宅用地の特例が外れる仕組みです。

段階を踏む制度なので、指定の通知が届いた時点が動く目安になります。

よくある質問

樹木葬にすると、法要はできなくなりますか

施設によって扱いが違います。

共用の礼拝スペースを用意している霊園、年に1回の合同供養を行う寺院、個別の法要を受け付けていない施設があります。

菩提寺との関係を続けたいのか、区切りを付けたいのかによって選ぶ施設が変わるため、資料請求の段階で法要の受け入れについて聞いてください。

夫婦2人で1区画に入れますか

収蔵できる体数で決まります。

1人用として募集している区画に2人分を納めることはできません。

2体用、4体用という区分で価格が変わる施設もあります。

将来的に自分も同じ区画に入る想定なら、申し込み時点で体数と、追加で納骨するときの費用を確認してください。

ペットと一緒に入れる樹木葬はありますか

受け入れている施設と、受け入れていない施設があります。

人の遺骨とは別の区域を設けている形もあります。

条件は施設ごとに決まっているので、募集要項で確かめてください。

遺骨の一部だけを手元に置くことはできますか

できます。

その場合は分骨証明書が必要で、墓地管理者または火葬場が発行します。

改葬許可証とは別の書類です。

手元に置く分と樹木葬に納める分をどう分けるかは、遺骨を取り出す作業の前に決めておいたほうが、石材店との段取りが1回で済みます。

墓石を撤去せずに、遺骨だけ樹木葬へ移せますか

遺骨を移したあと区画をどうするかは、墓地の使用規約で決まっています。

更地にして返すよう定めている墓地では、撤去工事が前提になります。

使用権を持ち続けて管理料を払い続けられるかどうかも規約次第です。

改葬の相談をする際に、返還の条件を書面で確認してください。

改葬の許可は、どこの市区町村に申請しますか

移転先ではなく、今遺骨が納められている墓地がある市区町村です。遠方の墓を移す場合、その自治体へ郵送で申請できるか、窓口へ行く必要があるかを事前に問い合わせておくと、往復の回数を減らせます。

樹木葬の樹木が枯れたら、どうなりますか

管理者が植え替える運用の施設と、区画の植栽を使用者が管理する施設があります。

シンボルツリー型は管理者が手入れをする形が一般的ですが、契約書に記載がないこともあります。

植栽の管理責任がどちらにあるかは、契約前に聞いておく項目です。

まとめ

樹木葬を選ぶときに後から変えられない条件は、個別に安置する年数と、合祀になったあと遺骨を取り出せるかどうかの2点です。

金額の差は、収蔵できる体数と安置年数から生まれます。

そして手続きの順番は、樹木葬の契約を先に済ませて受入証明書をもらい、それを添えて今の墓地がある市区町村へ改葬許可を申請する流れになります。

この順序は入れ替えられません。

書類に署名するのは祭祀を継いだ1人ですが、親族が納得しないまま進めると話が戻ります。

名義を確かめ、兄弟の間で結論を出し、それから叔父叔母へ伝える順番にすると論点が絞れます。

ぜひ本記事の手続きの順番の表と、親族に話すときに手元へ置く5つの資料を参考に、まずは今の墓地の名義を管理者に問い合わせてください。

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