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樹木葬はなぜ人気?選ばれる理由と選ぶときの判断軸

樹木葬はなぜ人気?選ばれる理由と選ぶときの判断軸

樹木葬が選ばれているのは、継ぐ人がいない前提で作られた墓だからです。ポータルサイト「いいお墓」を経由してお墓を購入した人のうち47.4%が樹木葬で、一般墓の15.2%を大きく上回ります(鎌倉新書 第17回お墓の消費者全国実態調査/2026年1月時点)。

ただ、選ぶ段で最後に止まるのは費用ではありません。

遠方の墓を畳んで遺骨を移すには、叔父や叔母に話を通し、寺に離檀を伝え、役所に申請する順番があります。

法律上は墓を引き継いだ1人で決められますが、順番を飛ばすと後から話が戻ります。

本記事では、樹木葬が選ばれている理由・親族に話す前にそろえる資料・相手ごとの切り出し方・改葬許可証が出る順序まで解説します。

樹木葬が購入の47.4%を占めるのは、継ぐ人がいない前提で作られているから

同じ調査で、お墓を選ぶときに重視した点を聞いた結果は、お墓の種類が50.0%、金額が43.9%、継承者が不要なことが38.8%、お墓参りのアクセスが38.4%でした(鎌倉新書 第17回お墓の消費者全国実態調査/2026年1月時点)。

金額と継承者の問題がほぼ並んでいます。

値段で選ばれているというより、継ぐ人を前提にしない受け入れ方が成立していることが、選択肢として残る条件になっています。

継承者を立てなくても契約できる

一般墓は、使用者が亡くなったら次の使用者を届け出る作りになっています。

子どもが他県にいて戻る予定がない場合、この届け出をする人がいません。

樹木葬や納骨堂は、最初から承継者を求めない区画が用意されていることが多く、管理料も前納でまとめる形が選べます。

遠方の墓を持て余している人にとって、ここが一般墓との実質的な違いです。

ただし承継の扱いは施設ごとの規約で決まるため、承継者不要と書かれていても、個別安置の期間が終わったあとの扱いまで確認してください。

種類ごとの違いは樹木葬とは?種類ごとの違いと選ぶときの判断軸で解説しています。

71.7万円は一般墓の半分以下という位置

平均購入価格は次のとおりです。

種類購入割合平均購入価格
樹木葬47.4%71.7万円
合祀墓・合葬墓16.4%調査に記載なし
納骨堂15.5%81.5万円
一般墓15.2%152.0万円

いずれも鎌倉新書 第17回お墓の消費者全国実態調査(2026年1月時点)の数字です。

回答者は「いいお墓」を経由して購入した1,267人に限られるので、全国の平均額ではありません。

それでも、同じ調査の中で一般墓の半分以下に収まっている点は、親族に説明するときの材料になります。

費用の内訳は合祀型と個別型で構造が違うため、樹木葬の費用はいくら?合祀型と個別型の差を確かめるで解説しています。

今ある墓を畳むのか、自分の行き先を決めるのかで手順が別

ここを混ぜたまま調べ始めると、必要な書類がいつまでも決まりません。読者の状況はおおむね3つに分かれます。

  • 遠方に先祖の墓があり、中の遺骨を移したい場合。改葬の手続きと、墓石の撤去、寺との話が全部付いてきます
  • 墓はあるが自分の遺骨の行き先だけを決めたい場合。改葬は発生せず、契約と家族への共有だけで済みます
  • 墓がなく、手元や納骨堂に遺骨がある場合。受け入れ先の規約と、遺骨の数の確認が中心になります

本記事がいちばん長く扱うのは1つ目です。相手が多く、順番を間違えると止まるのもここだからです。

親族に樹木葬の話を出す前に、手元にそろえる4点

叔父や叔母に切り出せないのは、気が弱いからではありません。

聞かれることに答えられない状態で話すと、その場で保留になるからです。

先に用意するのは次の4つです。

用意するもの入手先と見るところ
受け入れ先候補の使用規約霊園・寺院に請求する。個別に安置される年数、その後の合祀の時期、年間管理料の有無と支払い方法、承継者が要るかどうか
今の墓の写真と実測自分で墓地へ行って撮る。区画の面積、外柵とカロート(遺骨を納める石室)の量、通路に重機が入るか、駐車場から区画までの距離
納められている遺骨の数と続柄墓地管理者に埋葬の記録を照会する。受け入れ先には受け入れ体数の上限があり、費用も体数で変わる
改葬の申請窓口と様式現在の墓地がある市区町村の担当課。申請書の様式と、添付書類の一覧をもらう

墓石の撤去費は、区画の面積と、外柵やカロートの量、そして重機が入れるかどうかでほとんど決まります。

手作業で担ぎ下ろす区画と、トラックを横付けできる区画では作業量が変わるためです。

この変数を自分の言葉で説明できるようになると、石材店の見積額が高いのか妥当なのかを親族と一緒に検討できます。

規約でとくに見落とされるのが、個別安置の年数です。

永代供養と書かれていても永久ではなく、三十三回忌や十七回忌までを個別に安置して、その後は他の遺骨と一緒に合祀される施設が多くあります。

合祀されたあとは遺骨を取り出せません。

永代供養という言葉の中身は永代供養とは?種類ごとの違いと向いている人を解説で解説しています。

兄弟には遺骨の数、叔父叔母には墓の現状、寺院には日付を持っていく

相手が変われば、知りたいことも変わります。同じ説明を全員に繰り返すと、どこかで必ず引っかかります。

兄弟姉妹には、契約名義と管理料の負担を先に出す

兄弟の関心は、費用を誰がどう負担するかと、自分の遺骨もそこに入るのかという点に集まります。

そのため最初に決めるのは、誰の名前で契約するかです。

樹木葬の区画は1体用、2体用、家族用と分かれており、あとから体数を増やせない区画もあります。

遺骨の数を数えた紙と、候補施設の受け入れ体数を並べて見せると、感情の話にならずに人数の話で進みます。

叔父・叔母には、墓の現状の写真から入る

年長の親族にとって、その墓は自分の親が建てたものです。

先祖に申し訳ないという気持ちは、こちらにもあるはずのもので、否定して説得する対象ではありません。

持っていくのは、草が伸びた区画の写真と、年に何回行けているかという事実です。

そのうえで、管理料が払われず参る人もいない状態が続けば、墓地の規約に沿って無縁墓として改葬される可能性があることを伝えます。

手放す話ではなく、どこへ移すかの話として出すと、反対の理由が「移すこと」から「移す先」に移り、検討に入れます。

参りに来られる距離かどうかも、そのときに聞いてください。

寺院には、電話ではなく納骨の希望日を持って伺う

寺に伝える内容は2つです。

遺骨を移す先が決まったことと、埋葬証明書の発行をお願いしたいことです。

改葬の申請には現在の墓地管理者が出す埋葬証明書が要るので、こちらは書類を依頼する立場になります。

離檀という言葉を先に出すと話が止まりやすいため、納骨の希望日から入るほうが具体的に進みます。

離檀料を提示された場合は、金額と何に対する費用なのかを書面でもらってください。

石材店と霊園には、内訳の入った見積書を出してもらう

撤去工事は、総額だけの見積書では比較できません。

撤去、運搬、処分、整地のそれぞれがいくらで、追加料金が発生する条件は何かを書面に書いてもらいます。

仏壇や家財の処分まで頼む場合は、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているかを確認してください。

買い取りを伴うなら古物商許可が別に必要で、産業廃棄物の許可だけでは家庭から出たものを運べません。

無料回収をうたうトラックは、この許可がないことがあります。

改葬許可証は、受け入れ先が決まらないと申請できない

遺骨を別の場所へ移すには、現在の墓地がある市区町村が発行する改葬許可証が必要です(墓地、埋葬等に関する法律5条)。

申請には、新しい受け入れ先が出す受入証明書と、現在の墓地管理者が出す埋葬証明書を添えます。

つまり順序は、受け入れ先の決定、寺院への連絡、役所への申請の順に固定されます。

役所で手続きを始めてから施設を探すことはできません。

許可証なしに遺骨を移すのは違法になります。

言葉の使い分けも押さえておくと、親族との話が噛み合います。

遺骨を移すことが改葬で、墓石を撤去して使用権を返すのが墓じまいです。

両方を同時にやる人が多いので混ざりがちですが、必要な書類は別です。

遺骨の一部を手元に置く場合は改葬ではなく分骨にあたり、墓地管理者または火葬場が出す分骨証明書を使います。

納め方の実際は樹木葬の納骨方法|遺骨はどう納めるかを種類別に解説で解説しています。

決める権限については、誤解が多い部分です。

墓・仏壇・位牌といった祭祀(さいし)財産は相続財産とは別枠で、1人が引き継ぎます(民法897条)。

指定がなければ慣習に従い、それでも決まらなければ家庭裁判所が定めます。

多数決ではなく、叔父叔母に拒否権があるわけでもありません。

相続を放棄した人でも祭祀を引き継げます。

とはいえ、権限があることと納得を得ることは別の話です。

事後に知らせた結果として親族と縁が切れる例があるため、順番を踏むほうが実務的です。

なお、改葬そのものは珍しい手続きではありません。

厚生労働省の衛生行政報告例では、令和4年度の改葬件数は151,076件でした。

窓口の担当者にとっては日常の業務です。

樹木葬の説得で進まないやり方と、専門家に渡す境目

よく勧められるものの、実際には話が動かない進め方があります。

  • パンフレットを回して感想を聞く。意見と感想が集まるだけで、誰も決める立場に立たないため保留になります
  • 費用の安さを前面に出す。「安いから先祖を移すのか」と受け取られ、金額の話が感情の話にすり替わります
  • グループのメッセージで一斉に知らせる。年長の親族には、内容より伝わる順番が問題になります
  • 「永代供養だからずっと供養してもらえる」と説明する。後から規約を読まれて、三十三回忌で合祀されると分かった時点で話が振り出しに戻ります

4つ目は避けやすい失敗です。

個別安置の年数と、合祀後は遺骨を取り出せないことを最初に共有しておけば、あとで前提が崩れません。

契約前に確かめておく点は樹木葬で後悔した理由|契約前に確かめたい5つのことで解説しています。

自分で進められるのは、資料をそろえること、親族に順番に話すこと、役所の窓口で申請することまでです。次の状態になったら、外に出してください。

  • 誰が墓を引き継ぐかで折り合わない場合。祭祀承継者は家庭裁判所が定めることになり、弁護士に相談する段階です
  • 離檀料の金額に納得できず、根拠の書面も出てこない場合。自治体の無料法律相談が入口になります
  • 実家の名義が親のままの場合。相続登記は不動産を取得したと知った日から3年以内が期限で、2024年4月1日より前に相続した分は2027年3月31日までとなっています。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料があるため、司法書士に渡してください

墓の話と実家の話が同時に来ている場合は、税の期限も見てください。

相続税の申告と納付は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。

基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で、これを超えなければ申告そのものが不要になります。

判定の考え方は相続税は誰にかかる?基礎控除3,600万円が分かれ目になるで解説しています。

超えそうなら税理士に相談する段階です。

よくある質問

樹木葬に納めた遺骨は、あとから取り出せますか

個別に安置されている期間内であれば取り出せる施設と、最初から合祀で取り出せない施設があります。

合祀されたあとは他の遺骨と混ざるため、取り出しはできません。

契約前に、個別安置の年数と合祀の時期を規約で確認してください。

叔父や叔母の同意は、全員から取らないといけませんか

法律上、墓の移転を決めるのは祭祀を引き継いだ1人です(民法897条)。

同意書を全員から集める義務はありません。

ただし霊園や寺院が独自に親族の同意書を求めることがあり、この場合は施設の規約に従います。

離檀料を請求されたら、払わなければいけませんか

離檀料の支払い義務を定めた法律の規定はありません。

相場として断定できる公的な統計もないため、提示された金額と、それが何に対する費用なのかを書面で確認してください。

折り合わないまま埋葬証明書が出ない状態が続く場合は、自治体の無料法律相談で扱える段階です。

樹木葬でも年間管理料はかかりますか

施設によって異なります。

契約時に一括で納めて以後の支払いが不要になる区画と、個別安置の期間中は毎年納める区画があります。

金額と支払い期間、滞納したときの扱いを、使用規約の文面で確かめてください。

墓を畳んだあと、仏壇や位牌はどうなりますか

墓と仏壇は別々に手続きします。

遺骨を移す改葬の許可とは無関係で、仏壇は閉眼供養をしてから処分するか、小さいものに買い替える人もいます。

遺骨の行き先を決めるのが先で、仏壇はその後で構いません。

まとめ

樹木葬が購入の47.4%に達しているのは、承継者を立てずに契約できる点が、継ぐ人のいない家の条件に合っているからです(鎌倉新書 第17回お墓の消費者全国実態調査/2026年1月時点)。一方で、遠方の墓を畳む話が止まるのは費用ではなく、親族への切り出し方と手続きの順番でした。

改葬許可証は受け入れ先が決まってからしか申請できません。

そのため、受け入れ先の規約、墓の写真と実測、遺骨の数、申請窓口の4点をそろえてから、兄弟、叔父叔母、寺院の順に話を出していきます。

決める権限は祭祀を引き継いだ1人にありますが、権限と納得は別のものです。

折り合わないまま長引く論点は、家庭裁判所や弁護士、司法書士に渡す段階があります。

ぜひ本記事の「そろえる4点」の表と相手別の切り出し方を参考に、まずは今の墓の写真を撮り、受け入れ先候補の使用規約を取り寄せてください。

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