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不用品回収とは?自治体と業者の使い分けをやさしく解説

不用品回収とは?自治体と業者の使い分けをやさしく解説

実家の前を「無料回収」と書いたトラックが回っていても、その場で家具や家電を渡すのは避けてください。

家庭から出た不用品を運んで処分するには、市区町村が出す一般廃棄物収集運搬業の許可が要ります。

産業廃棄物の許可しか持たない業者は、家庭ごみを運べません。

国民生活センターの公表資料(2022年11月時点)によると、不用品回収サービスに関する相談は2018年度の1,354件から2021年度には2,231件へ増えました。作業が終わったあとに高額な追加料金を求められる例が目立ちます。

本記事では、許可の種類で業者を見分ける方法・自治体の粗大ごみとの使い分け・値段がつく家財とつかない家財を解説します。

不用品回収を頼む前に確かめるのは、許可の種類ひとつ

業者に電話をしたら、料金を聞く前に「一般廃棄物収集運搬業の許可はありますか」「許可番号を教えてください」と尋ねてください。

実家に残った家具・家電・衣類・食器は、事業活動から出る産業廃棄物ではなく一般廃棄物にあたります。

これを運んで処分できるのは、市区町村の許可を受けた業者か、市区町村から委託を受けた業者だけです(廃棄物処理法7条)。

許可の有無は、依頼する側でも照合できます。

多くの市区町村が、ホームページに一般廃棄物収集運搬業の許可業者一覧を掲載しているためです。

名乗った会社名がその一覧に見当たらなければ、少なくともその市区町村で家庭ごみを運ぶ資格はありません。

電話口で「許可は持っています」と言われたら、どの市区町村の許可かまで聞いてください。

遺品整理士の資格は、許可の代わりにならない

遺品整理士は、一般社団法人遺品整理士認定協会が認定する民間資格です。

国家資格ではありませんし、これを持っていれば廃棄物を運べるわけでもありません。

ホームページに資格の認定番号だけが大きく出ていて、一般廃棄物の許可番号がどこにも書かれていない業者もあります。

資格の有無と許可の有無は、別々に見てください。

無許可の業者に渡すと、行き先が追えなくなる

国民生活センターは、無許可の業者に引き渡した物が不法投棄される恐れを指摘しています。

トラックが走り去ったあと、その家財がどこへ運ばれたのかは依頼した側から確認できません。

回収そのものが安く済んでも、処分の中身が分からない取引になります。

許可番号の見方や、見積もりを取るときに確認する順番は不用品回収業者の選び方で解説しています。

不用品回収・粗大ごみ・出張買取・遺品整理は、それぞれ別のサービス

この4つは現場では混ざって使われますが、担い手も要る許可も違います。どれを頼むかで、費用も日程も、自分で動く手間も変わります。

サービス担い手要る許可向いている場面
自治体の粗大ごみ市区町村と委託業者自治体の事業なので依頼者側の確認は不要点数が少なく、自分で玄関前まで運び出せる
不用品回収民間業者一般廃棄物収集運搬業の許可、または市区町村からの委託量が多く、部屋からの搬出まで任せたい
出張買取古物商都道府県公安委員会の古物商許可値段のつく品がまとまって残っている
遺品整理民間業者運ぶなら一般廃棄物、買い取るなら古物商仕分けから清掃まで一括で頼みたい

1社が「買い取れる物は買い取り、残りは処分します」と言うなら、その会社には古物商許可と一般廃棄物の許可の両方が要ります。

片方しか無い会社は、片方の行為ができません。

買取だけを名目にして家財を全部積んでいく形は、許可の面から見て不自然です。

粗大ごみの申し込みから収集までの流れは粗大ごみの出し方で、仕分けの順番から業者に渡すまでの全体像は遺品整理とは何から始めるかで解説しています。

一般廃棄物収集運搬業と古物商許可、家庭の家財に要るのはどちらか

許可の話は条文を読むと固くなりますが、判断に使う部分は3つだけです。

一般廃棄物の許可は市区町村ごとに取る

一般廃棄物の処理は市区町村の責任で行われるため、許可も市区町村が出します。

隣の市で許可を得ている業者でも、実家のある市の許可が無ければ、その市の家庭ごみは運べません。

自分が住む街で評判のよい業者を、遠方の実家にそのまま呼べるとは限らないわけです。

実家の市区町村名で許可業者一覧を探すところから始めてください。

買い取るなら都道府県公安委員会の古物商許可

中古品を買い取って売る行為には、古物営業法3条の古物商許可が必要です。

捨てる行為と買い取る行為は別なので、許可も別々に見ます。

査定だけして値段がつかなかった物を「では処分しておきます」と持ち帰るのは、廃棄物の運搬にあたります。

そのとき一般廃棄物の許可が無ければ、頼んではいけない場面です。

産業廃棄物の許可では家庭ごみを運べない

産業廃棄物収集運搬業の許可は、工場や事業所から出る廃棄物のためのものです。

家庭から出た家具や布団は対象になりません。

名刺やホームページに産業廃棄物の許可番号だけが書かれている場合、その番号は実家の片づけの根拠にはならないと考えてください。

不用品回収の料金は、量・分別・搬出経路・日程で動く

同じ「2部屋分」でも、見積額は家によって変わります。

何が金額を動かすのかが分かっていれば、電話で伝える情報も、見積書で確かめる欄も決まります。

料金を左右するのは次の点です。

  • 積む量。トラックの台数ではなく、荷台に積める体積で計算される
  • 分別の状態。可燃・不燃・家電がまとまっているか、混ざったままか
  • 搬出経路。階数、エレベーターの有無、廊下や階段の幅
  • 解体の要否。玄関から出ないタンスやベッドを現場でばらす作業
  • 駐車位置。家の前に停められず、台車で運ぶ距離が長くなるか
  • 日程。即日対応、土日、夜間を指定するか

金額そのものは業者ごとに幅があり、品目別の単価制と積み放題のプランでも考え方が違います。相場の見方は不用品回収の料金相場で解説しています。

トラック積み放題は、積み方の上限まで書面で確かめる

積み放題のプランでは、荷台からのはみ出しや高さの制限が設けられているのが普通です。

国民生活センターには、当日になってから制限を告げられ、積みきれない分を追加料金で請求されたという相談が寄せられています。

何cmまで積めるのか、荷台からはみ出す家具は対象外なのかを、契約前に文字で確認してください。

見積書に書いてもらう4項目

口頭の総額だけで進めると、後から費目が増えても比べる材料がありません。次の4点は書面に入れてもらいます。

  • 作業内容と対象の品目
  • 料金の内訳(運搬費・作業費・処分費など)
  • 追加料金の有無と、発生する条件
  • キャンセル料の有無と、いつから発生するか

粗大ごみと不用品回収の使い分けは、量と締切で決まる

どちらが正解ということはなく、残っている量と、いつまでに空にしたいかで分かれます。判断の軸はこの2つだけと考えて構いません。

自治体の粗大ごみで足りる場合

残っているのがタンス2棹と自転車1台、といった数点なら、自治体の粗大ごみが第一候補になります。

手数料は品目ごとの処理券で払う形が多く、民間業者に一式を頼むより安く収まります。

ただし申し込みから収集日までに日数がかかり、1回に出せる点数の上限を設けている自治体もあります。

指定された日の朝までに、自分で集積所か玄関前まで運び出す必要もあります。

品目ごとの手数料の目安と処理券の買い方は粗大ごみの料金と処理券で解説しています。

不用品回収業者に頼んだほうが早い場合

家一軒分をまとめて出すとき、粗大ごみの申し込みを何十点分も入力する作業だけで日が暮れます。次のような条件がひとつでも当てはまるなら、業者を検討する場面です。

  • 売却や賃貸の引き渡し日が決まっていて、逆算した締切がある
  • 実家が遠方で、現地に行ける日が週末の1〜2日しかない
  • 2階の大型家具など、自分たちでは階段から下ろせない物がある
  • ごみ袋に入る量の雑貨が大量にあり、分別から任せたい

点数の少ない物は自治体へ、大物と大量の雑貨は業者へ、と分けて併用する家も多いです。全部をどちらかに寄せる必要はありません。

値段がつく家財と、値段がつかない家財

「まだ使えるのだから売れるはず」という感覚と、買取の現場の評価はかなりずれます。中古市場で値がつくのは、買い手が探している物と、素材そのものに相場がある物です。

買取に回しやすいもの

  • 製造から年数の浅い家電と、型番で相場を調べられる製品
  • 貴金属や地金など、重さで価格が決まる物
  • ブランドの食器やカトラリーで、箱と付属品がそろっている物
  • 工具、楽器、カメラなど、中古で探す人がいる分野の道具

値段がつきにくいもの

  • 大型の婚礼家具や桐たんす。状態がよくても、置ける家が減っています
  • 古い仏壇。サイズが大きく、引き取り先が限られます
  • 使用感のある布団やマットレス、ソファ
  • 量産品の食器や来客用の座布団など、家に大量にある日用品

買取がつかない物は処分費の側に回ります。

「買取で相殺できるはず」と見込んで予算を組むと、当日に足が出ます。

なお仏壇や位牌は、相続財産とは別に1人が引き継ぐ祭祀(さいし)財産にあたります(民法897条)。

誰が引き継ぐかを決めないまま処分すると、後から兄弟の間で問題になります。

訪問購入は、書面を受け取ってから8日間は断れる

業者が自宅を訪ねて買い取る「訪問購入」には、特定商取引法のクーリング・オフが適用されます。

契約書面を受け取った日から8日間は契約を解除でき、その間は物品の引き渡しを拒めます(特定商取引法58条の14・58条の15)。

その場で貴金属を持ち帰られそうになったら、引き渡しを断って構いません。

古物商許可の確かめ方と査定額の見方は出張買取業者の選び方で解説しています。

不用品回収のトラブルは、作業が終わってから起きる

相談件数は増え続けています。国民生活センターがまとめた不用品回収サービスに関する相談は、次のように推移しました。

年度相談件数
2018年度1,354件
2019年度1,457件
2020年度1,788件
2021年度2,231件
2022年度9月末まで857件

出典は国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」(2022年11月時点)です。4年で相談は1.6倍を超えました。

報告されている5つの型

公表資料に挙がっているトラブルには、共通した形があります。

  • 作業が終わってからの高額な追加請求
  • トラック積み放題で、当日になって積める量の制限を告げられる
  • 見積もり時の説明と、実際の作業内容や料金が違う
  • 断ろうとするとキャンセル料を求められる
  • 1台で済むはずが、複数台分として請求される

同センターの資料には、作業終了後に25万円を請求された事例が載っています(国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル」/2022年11月時点)。

荷物を積み終えたあとは、断って帰ってもらうという選択が取りにくくなります。

金額が動くのは、たいていこの局面です。

積み込みを始める前に止める

請求の場面で交渉するより、作業前に決着させるほうが簡単です。

見積書に書かれた総額と、追加料金の条件を読み合わせてから着手してもらってください。

金額の説明が口頭だけで済まされるなら、その時点で作業を始めさせないという判断もあります。

請求されてしまった後の対応先は、お住まいの市区町村の消費生活センターです。

会社名と許可番号を控えておけば、相談のときに話が早くなります。

無料をうたう回収がなぜ有料になるのかは不用品回収の高額請求と無料回収の落とし穴で解説しています。

家財を運び出す前に、相続の手続きで要るものを抜いておく

片づけを急いだ結果、手続きに必要な書類ごと処分してしまう事故が起きます。トラックに積む前に、家の中を一度だけ書類の目で見てください。

捨てる前に探すもの

  • 通帳、キャッシュカード
  • 保険証券、年金手帳
  • 不動産の権利証、登記識別情報
  • 遺言書
  • 印鑑、印鑑登録証
  • 貸金庫の鍵と契約書
  • 有価証券、借用書

仏壇の引き出しや押し入れの奥に、封筒に入ったまま残っていることがあります。これらを処分すると、口座の解約も不動産の名義変更も先へ進みません。

遺言書が出てきたら開けない

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、家庭裁判所の検認を受けてから開封します(民法1004条)。

封を切らずに持ち込んでください。

公正証書遺言と、法務局の自筆証書遺言書保管制度を使ったものは検認が不要です。

すべての遺言書が開封禁止というわけではありませんが、封のある物はそのまま置いておくのが安全な扱いになります。

相続放棄を考えているなら、家財に手をつけない

相続放棄の申述期限は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月です(民法915条)。

起算日は亡くなった日ではありません。

この期間に相続財産を処分すると、単純承認したものとみなされて放棄できなくなる場合があります。

値段のつく家財を売ったり捨てたりするのも処分にあたりうるため、借金の有無を調べている段階では片づけを止めておいてください。

期間内であれば、家庭裁判所に伸長を申し立てられます。

片づけを先送りすると増える負担

家財が残っていると、家を売ることも貸すこともできません。

相続税の申告と納付は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です(相続税法27条)。

不動産を取得したことを知った日から3年以内には相続登記の義務があり、怠ると10万円以下の過料の対象になります。

2024年3月以前に相続した不動産も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。

空き家のまま置いた場合も、放置だけで固定資産税が自動的に上がるわけではありません。

市区町村が「特定空家」または「管理不全空家」に指定し、勧告を受けた段階で住宅用地の特例が外れます。

段階を踏んで進む話ですが、いったん勧告まで行くと税額の前提が変わります。

家財を出した後の使い道を探すなら、空き家バンクの登録条件と使い方で解説しています。

よくある質問

「無料回収」のトラックに家電を渡してもいいですか

渡す前に、一般廃棄物収集運搬業の許可があるかを確認してください。

市区町村のホームページにある許可業者一覧に載っていない業者であれば、その市区町村の家庭ごみを運ぶ資格はありません。

国民生活センターは、無許可業者に渡した物が不法投棄される恐れを指摘しています。

積み込んだ後で料金を請求される相談も寄せられています。

自治体の粗大ごみと不用品回収業者は、どちらが安いですか

点数が少なければ自治体のほうが安く済むのが一般的です。

手数料が品目ごとに決まっていて、業者の作業費や運搬費が乗らないためです。

ただし収集日まで待つ時間と、玄関前まで自分で運ぶ手間がかかります。

家一軒分をまとめて出すなら、申し込みと搬出の手間を含めて比べてください。

作業が終わってから追加料金を請求されたら、払うしかありませんか

その場で支払う前に、見積書に書かれた内訳と、追加料金が発生する条件を照らし合わせてください。

書面に無い費目を口頭で説明されただけなら、納得できない旨を伝えて構いません。

話がつかないときは、会社名と許可番号を控えたうえで、お住まいの市区町村の消費生活センターに相談してください。

エアコンや冷蔵庫も一緒に持っていってもらえますか

品目によって扱いが変わります。

自治体の粗大ごみでは受け付けない品目があり、民間業者でも対応の可否と料金が分かれます。

見積もりを頼む時点で、メーカー・年式・台数まで伝えてください。

当日に「これは対象外です」と言われる形を避けられます。

遺品整理士の資格がある業者なら安心ですか

遺品整理士は民間資格で、廃棄物を運ぶ資格とは別のものです。

資格があっても、一般廃棄物収集運搬業の許可が無ければ家庭から出た家財は運べません。

資格の認定番号と許可番号の両方を確認してください。

買い取ってもらった後に、やっぱり売るのをやめたいと言えますか

業者が自宅を訪問して買い取る訪問購入であれば、契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます。

その期間は物品の引き渡しを拒むこともできます。

店舗へ自分で持ち込んで売った場合は対象になりません。

実家が遠方でも、自分の住む街の業者に頼めますか

一般廃棄物収集運搬業の許可は市区町村ごとに出されるため、実家のある市区町村の許可を持つ業者を選んでください。

広域で営業している会社でも、すべての市区町村の許可を持っているわけではありません。

問い合わせのときに、実家の市区町村名を挙げて確認するのが早いです。

まとめ

不用品回収を頼むとき、最初に見るのは料金ではなく許可です。

家庭から出た家財を運べるのは市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者か委託業者で、買い取るには別に古物商許可が要ります。

この2点を電話で聞き、市区町村の許可業者一覧と照らし合わせれば、無料をうたって後から請求する業者を見分けられます。

使い分けの軸は量と締切です。

点数が少なく自分で玄関前まで運べるなら自治体の粗大ごみ、家一軒分を日程を切って空にするなら業者、という分かれ方になります。

値段がつく家財は先に買取へ回し、通帳や権利証を抜き終えてから運び出してください。

相続放棄を検討している段階なら、3か月の期限を確かめるまで家財には手をつけないことです。

ぜひ本記事の許可の確認手順と、見積書に書いてもらう4項目を参考に、実家に残った家財の出し先を決めてください。

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