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仏壇じまいとは?閉眼供養から処分までの流れを解説

仏壇じまいとは?閉眼供養から処分までの流れを解説

実家の仏壇を片づけようと調べ始めると、最初に出てくるのは閉眼供養(へいがんくよう)の話です。

ところが手を止めるべき場所は、その前にあります。

仏壇本体を処分するのに役所の許可は要りませんが、中の位牌と本尊をどこへ移すかが決まっていないと、供養の日取りも引き取りの依頼もそこで止まります。

仏壇や位牌は祭祀(さいし)財産として、預金や不動産とは別に1人が引き継ぎます(民法897条)。

法律上はその1人で決められるのに、実際には後から叔父や叔母に異議を言われて話が戻ります。

順番を先に決めておけば、この戻りは減ります。

本記事では、位牌と本尊の行き先の決め方・閉眼供養を頼む相手・費用が変わる条件・親族への切り出し方を解説します。

仏壇処分より先に決まるのは、位牌と本尊の行き先

仏壇は、位牌や本尊を納めておくための箱です。

処分を頼む相手を探す前に、その中身をどこへ移すかを決めておくと、以降の手続きが一本道になります。

逆に中身が未定のまま業者に電話をすると、「供養は付けますか」「位牌はどうしますか」と聞かれて答えられず、見積りが出ないまま日が過ぎます。

中身の行き先は、だいたい次の3つに分かれます。

  • 今の住まいに置ける小型の仏壇へ移して、これまでどおり手を合わせる
  • 菩提寺(ぼだいじ)や納骨先の寺院へ納め、以後の供養を任せる
  • 過去帳に記録を残し、位牌そのものは閉眼供養のうえで手放す

どれを選ぶかで、頼む相手も費用も変わります。

寺院へ納める場合は、預かってもらえる年数と、その後の扱いを先に確認してください。

位牌や遺骨を寺に預ける形は「永代」と付く名前でも永久ではなく、三十三回忌や十七回忌までを個別に安置し、その後は他と一緒に合祀(ごうし)する運用が一般的です。

合祀のあとは取り出せなくなります。

年数と合祀後の扱いは永代供養の種類ごとの違いで解説しています。

本尊が掛軸や仏像の場合、宗派の本山や菩提寺で納めを受け付けていることがあります。ここも寺ごとの決まりなので、まとめて1回の電話で聞くほうが早いでしょう。

仏壇じまい・閉眼供養・お焚き上げは何が違うのか

この3つは同じことを指す言葉として使われがちですが、指している範囲が違います。使い分けができていないと、業者に頼んだ内容と実際にやってもらえることがずれます。

言葉指している範囲
仏壇じまい中身の行き先の決定から供養、搬出、処分までの一連の流れをまとめた呼び名。制度上の用語ではありません
閉眼供養僧侶に読経してもらい、仏壇や位牌を役目から離す法要。魂抜き・お性根抜きなど、宗派や地域で呼び方が変わります
お焚き上げ供養して焼却する形。ただし実際に火にかけるのか、合同供養のうえで一般廃棄物として処理するのかは依頼先で違います

注意したいのは「お焚き上げ付き」という表示です。

誰が読経するのか、個別なのか他家とまとめての合同なのか、証明書のようなものが出るのかまでは、この4文字では分かりません。

気になるなら、申し込む前に電話で聞いておいてください。

なお「墓じまい」は墓石を撤去して使用権を返すことで、仏壇の話とは別です。

両方を同じ年にやる家では、寺への切り出し方だけが共通します。

墓側の全体像は墓じまいの流れと改葬までの手順で解説しています。

改葬許可証が要るのは遺骨だけ|墓じまいとの違い

仏壇と位牌の処分に、行政の許可や届出は要りません。

墓地、埋葬等に関する法律が手続きを定めているのは遺骨の移動で、木や金具でできた仏壇はその対象外です。

そのため、閉眼供養をするかどうかも、いつ処分するかも、家の判断で決められます。

線が引かれるのは、仏壇の中に骨壺が置かれていた場合です。

手元供養として自宅に置いていた遺骨を墓地や納骨堂へ納めるなら、納める先の墓地管理者と市区町村で必要書類が変わります。

分骨した遺骨には分骨証明書(墓地管理者または火葬場が発行)が、墓から墓へ移すなら現在の墓地がある市区町村の改葬許可証が必要です。

許可証なしに墓から遺骨を動かすのは違法になります。

改葬許可証は、受け入れ先の受入証明書と現在の墓地管理者の埋葬証明書をそろえて申請します。

つまり納骨先が決まらないと申請すらできません。

仏壇の片づけと墓の話を同時に進めている場合、先に動かすべきは納骨先の選定です。

仏壇の引き出しから出てきた遺骨の扱いに迷ったら、自己判断で庭や墓の敷地にまくようなことはせず、納める予定の施設と市区町村の窓口に確認してください。

閉眼供養を頼む相手は、菩提寺があるかどうかで変わる

菩提寺との付き合いが続いている場合

まず菩提寺に相談します。

このとき、仏壇だけを処分するのか、墓も閉じるのかを分けて伝えてください。

仏壇の話だけを持ち出したつもりでも、寺の側では離檀の前段として受け取られることがあります。

「墓は当面そのままで、住まいが変わるので仏壇を小さくしたい」のように、どこまでの話なのかを最初に言っておくと、行き違いが起きにくくなります。

墓も閉じる話になると離檀料を求められる例があります。

法律上の支払義務を定めた規定はありませんが、請求そのものが起きるため、金額と何に対する費用なのかを書面で確認してください。

口頭のやりとりだけで進めると、後で金額が動いたときに拠りどころがなくなります。

菩提寺が分からない、または遠方の場合

親の代までの付き合いが途切れていると、どの寺に頼めばよいか分からないまま止まります。

この場合は、仏具店や仏壇の処分を扱う業者が供養の手配までまとめて請け負う形を使えます。

確認するのは、読経を誰が行うのか、立ち会えるのか、位牌の供養が料金に含まれるのかの3点です。

宗派が分からないときは、位牌の書き方や過去帳の記載、本尊の形が手がかりになります。

仏具店で見てもらえることもあります。

依頼先ごとの確認事項は供養の有無で確かめる業者の選び方で解説しています。

仏壇処分の費用は、大きさ・搬出経路・供養の有無で変わる

見積額が家ごとに大きく開くのは、仏壇そのものの値段ではなく、運び出す手間と供養の内容が違うからです。金額の目安は依頼先で考え方が変わるため、まず自分の家の条件を数字で押さえておくと比べられるようになります。

費用を左右するのは次の点です。

  • 外形寸法と重さ(床に据える台付きか、棚に載せる上置きか)
  • 置いてある階と、エレベーターや階段の有無
  • 玄関や廊下の幅、階段の曲がり、分解が必要かどうか
  • 店舗や寺へ持ち込むのか、自宅まで引き取りに来てもらうのか
  • 閉眼供養を付けるか、付けるなら個別か合同か
  • 位牌・本尊・仏具・遺影を一緒に出すか、仏壇本体だけか

見積りで抜けやすいのは、階段作業の割増、通路や床の養生費、壁に固定した金具の取り外し、位牌の供養料です。

総額だけを口頭で言われた場合は、この4つが入っているかを費目で聞いてください。

相見積もりを取るなら、仏壇の高さと幅と奥行き、置いてある階、エレベーターの有無、搬出経路でいちばん狭い場所の幅を最初に伝えると、現地調査の前でも比較できる数字が返ってきます。

依頼先ごとの費用の考え方は仏壇の処分費用の内訳と依頼先別の目安で解説しています。

仏壇処分の依頼先は寺院・仏具店・専門業者・自治体の4つ

菩提寺に引き取ってもらう

付き合いのある寺なら、閉眼供養と引き取りを続けて頼めることがあります。

寺の側に置き場や処理の手立てがあるかどうかで受け付けが変わるので、できるかどうかは電話で聞くのが早いでしょう。

運搬を自分で行うのか、寺が手配するのかもここで決まります。

仏具店・仏壇店に頼む

小型の仏壇へ買い替えるなら、古い仏壇の引き取りを同時に頼める店があります。

位牌の新調や本尊の納めまで一度に相談できる点が、この選び方の利点です。

買い替えを伴わない引き取りだけを受けるかどうかは店によって違います。

遺品整理業者・不用品回収業者に出す

家財をまとめて片づける場面ではこの形が現実的です。

ただし許可を必ず確認してください。

家庭から出た不用品を運んで処分するには、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が要ります。

買い取るなら都道府県公安委員会の古物商許可です。

産業廃棄物収集運搬業の許可では家庭ごみを運べません。

「無料回収」を名乗るトラックは、この許可を持っていないことがあります。

遺品整理士は民間資格で、これがあるから廃棄物を運べるわけではありません。

許可の有無とは別に見てください。

頼み方の手順は寺・仏具店・業者への頼み方で解説しています。

自治体の粗大ごみとして出す

仏壇は家庭から出る一般廃棄物なので、粗大ごみとして受け付けている自治体があります。

一方で、大きさや材質によって扱いが分かれることもあります。

受け付けの有無、手数料、解体の必要性は市区町村で違うため、清掃事務所や環境課に確認してください。

供養は別に済ませてから搬出日に出す、という組み合わせもできます。

仏壇処分で捨ててはいけないもの|位牌・過去帳・引き出しの書類

位牌・過去帳・本尊

過去帳には戸籍より古い代の名前や没年が書かれていることがあります。

手放す前に、開いて写真を撮っておいてください。

位牌の裏側の記載も同じです。

あとから法要の年回りを調べるときや、親族に説明するときに、この記録が根拠になります。

通帳・権利証・保険証券

仏壇の引き出しや扉の裏は、貴重品の置き場になっていることがあります。処分してしまうと相続の手続きが止まるものを挙げます。

  • 通帳・キャッシュカード・貸金庫の鍵と契約書
  • 保険証券・年金手帳・有価証券・借用書
  • 不動産の権利証と登記識別情報
  • 遺言書・印鑑と印鑑登録証

封をした遺言書が出てきた場合、その場で開けないでください。

自筆証書遺言と秘密証書遺言は家庭裁判所の検認が必要で、封を開けずに持ち込みます(民法1004条)。

公正証書遺言と、法務局の保管制度を使った自筆証書遺言は検認が要りません。

手続きには期限があります。

相続税の申告と納付は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内、相続登記は不動産を取得したと知った日から3年以内です。

書類を捨ててしまうと、この期間の中で再取得に時間を使うことになります。

申告が必要になる基準は相続税の基礎控除と申告の要否で解説しています。

骨壺と手元供養の遺骨

仏壇の下の扉に骨壺が置かれている家もあります。

遺骨は仏壇と一緒に出せません。

納骨先を決めてから、必要書類を施設と市区町村に確認してください。

仏壇処分を叔父叔母に切り出す順番と、手元に置く資料

民法897条では、墓や仏壇、位牌といった祭祀財産は相続財産とは別に1人が引き継ぐと定めています。

故人の指定がなければ慣習によって決まり、それでも決まらないときは家庭裁判所が定めます。

相続を放棄した人でも祭祀を引き継げます。

つまり、引き継いだ1人の判断で処分を決められます。

それでも事後に異議が出るのは、決定の内容ではなく知らされ方が原因になることが多い論点です。

順番は、同居していた家族と兄弟姉妹に先に話し、そのうえで叔父や叔母には決定の通知ではなく相談の形で伝えると波風が立ちにくくなります。

あわせて、位牌がどこへ行くのかを具体的に示してください。

「処分する」だけを伝えると、手を合わせる先がなくなったと受け取られます。

話をする場に持っていくものを挙げます。

  • 今の仏壇の写真と寸法、置いてある部屋の様子
  • 位牌の一覧(誰の位牌が何本あるか)と過去帳の写し
  • 菩提寺に確認した内容のメモ(供養の可否、位牌の預かり、日程)
  • 移す先の案内(個別安置の年数と、合祀後は取り出せないこと)
  • 引き取りの見積書

先祖に申し訳ないという気持ちは、資料では消えません。

それでも、手を合わせる先が用意されていることが分かれば、話は費用と日程の相談に移ります。

なお、処分を選ばずに今の住まいへ置ける小型の仏壇に替える形も、同じ一覧の中の選択肢です。

仏壇処分を後回しにすると、実家の解体や売却の日程に挟まる

家財の片づけが進むと、最後に仏壇だけが残ります。処分の判断が付かないまま解体や引き渡しの日が近づくと、供養の日程を寺の都合と合わせる余裕がなくなり、家財の搬出と同じ日に押し込むことになります。

実家を売る予定があるなら、税の期限も絡みます。

相続した空き家を売ったときの譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度は、1981年5月31日以前に建築された家屋であることなどの要件があり、2027年12月31日までの譲渡が対象です(租税特別措置法35条3項)。

相続人が3人以上の場合、2024年1月1日以降の譲渡では1人あたり2,000万円に下がります。

適用できるかどうかは個別の要件しだいなので、売却の見通しが立った段階で税理士に相談してください。

売らずに置いておく場合も、費用は減りません。

全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%で過去最高です(総務省 住宅・土地統計調査/2023年時点)。

倒壊のおそれや衛生上の問題があると市区町村が判断すれば特定空家に、そうなるおそれがあれば管理不全空家に指定され、勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例(6分の1)が外れます。

放置で自動的に税額が上がるわけではなく、指定と勧告の段階を踏みます。

墓も同じ年に閉じるなら、寺への相談は一度にまとめるほうが話が早く進みます。撤去や納骨先まで含めた費用の組み立ては墓じまいの費用の内訳で解説しています。

よくある質問

閉眼供養をせずに仏壇を処分してもかまいませんか

法律上の義務はありません。

許可も届出も不要で、供養をするかどうかは家の判断です。

ただし後から親族に知られたときに、供養を済ませたかどうかが話題になります。

菩提寺との付き合いが続いているなら、一度相談しておくほうが波風は立ちにくくなります。

仏壇を粗大ごみに出せますか

受け付けている自治体があります。

仏壇は家庭から出る一般廃棄物なので、制度上は粗大ごみの枠に入ります。

ただし大きさや材質による扱いの違い、解体の必要性、手数料は市区町村で異なるため、清掃事務所や環境課に確認してください。

位牌だけを残して仏壇を処分してもよいですか

できます。

位牌を今の住まいの小型の仏壇や飾り棚へ移し、仏壇本体だけを処分する形です。

位牌の置き方に決まりを設けている宗派もあるので、菩提寺があるなら聞いておくと迷いが減ります。

「無料回収」の広告を見つけましたが、頼んでよいですか

会社名と、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を確認してから判断してください。

家庭から出た不用品を運んで処分するにはこの許可が必要で、産業廃棄物の許可では運べません。

なお、業者が自宅を訪問して買い取る訪問購入は、契約書面を受け取った日から8日間クーリング・オフできます。

その間は物品の引き渡しを拒めます(特定商取引法58条の14・58条の15)。

仏壇の処分に相続人全員の同意が必要ですか

法律上は必要ありません。

仏壇や位牌は祭祀財産として、預金や不動産とは別に1人が引き継ぎます(民法897条)。

ただし同意が不要なことと、黙って進めてよいことは別です。

兄弟姉妹と、故人の兄弟にあたる叔父叔母には、位牌の行き先まで含めて先に伝えておくほうが後の揉め事が少なくなります。

仏壇の中に骨壺が入っていました。どうすればよいですか

仏壇と一緒には出せません。

墓地や納骨堂へ納めるなら、納める先の管理者と市区町村で必要書類を確認してください。

分骨した遺骨には分骨証明書が、墓から墓へ移す場合は現在の墓地がある市区町村の改葬許可証が必要です。

実家の仏壇を自分の家に引き取ることはできますか

できます。

搬入経路の幅と設置場所の寸法を先に測っておいてください。

台付きの仏壇はそのまま入らないことがあり、その場合は分解と再組み立てを扱える業者を探すことになります。

運搬中の破損の扱いも、頼む前に確認しておくと安心です。

まとめ

仏壇の処分そのものに許可や期限はありません。

動き出す順番だけが決まっていて、位牌と本尊の行き先を決め、菩提寺に相談し、それから引き取りの見積りを取る流れになります。

費用は仏壇の大きさと搬出経路、供養の内容で開くため、寸法と階数を控えてから問い合わせると比べられます。

親族への切り出しは、決定の通知ではなく、手を合わせる先が用意されていることを示すところから始めてください。ぜひ本記事の依頼先ごとの違いと、話し合いの場に持っていく資料の一覧を参考に、まず位牌の行き先から決めていってください。

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